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一緒に椅子を作ってくれたあなたたちへ、本当にありがとう


先日家族と話をしてる時、「人生のバイブル」の話になったのですが、スッと思い付かず悔しい思いをしました…(姉や母はすぐに何冊か答えていた)


そもそも人生のバイブルの定義とはなんだろうと調べたら「人生を送る上での指標」らしいです。
自分の性格や人柄を形作ったキッカケ、とも言えるかもしれません。


母は本がとても好きで子供に絵本をよく読んでほしいタイプだったこと、そして私は四人兄弟の末っ子だったこともあり、本当に沢山の絵本に囲まれて育ちました。

囲まれていただけで、全部を読んでいたわけではなく、好きな本が数冊あるぐらいでしたが。笑
本が好きだなと思い始めたのは本当にここ数年の間です。



でも"自分という人間を形作った本"とは何だろうと考えた時、思い浮かんだのは絵本でした。


ただ、バイブルと聞かれて思い付かなかった通り、

「この本のこの主人公に救われた」
「このお話に勇気をもらった」

とかは全くないんですよね。



私の好きなお話は特に何も起こらない。

めっちゃ努力して何かを掴むとか、
仲間と協力して上を目指すとか、
自分はこれでいいんだ!と気付くとか、
そういうんじゃない。



ただ生活をしてる。
少しの楽しみを見つける。
目の前の現実を淡々と生きている。


そういえば、そんな物語が私は好きでした。



Fさんの『20代で得た知見』にこんな言葉があります。

さすがに絵本はもうこの年齢では眩し過ぎる。
でも、かつて信じていた言葉、小説、映画音楽ドラマ、場所景色、先生、なんでも構わない。
そこに帰らなければならない。
その大切な人が現れる前に、平然とたった一人で生きていた、その頃の己の正義と愛、哲学に立ち戻らねばならない。

「あなたがいなくなった後の椅子」より


これは『エルマーのぼうけん』の翻訳者として知られる渡辺茂男さんの
「実在しない生き物が子供の心に椅子を作り、それらが去った後、実在する大切な人を座らせることが出来る」という言葉を基に書かれた文章です。




読んだ時、
ああ、そうか、と思ったんです。

色々なお話の、色々な生き物が、私の心に椅子を残してくれたんだ、と。


家に残っている数少ない絵本を読み返してみると、少しだけ、あの頃の自分に会えた気がするのです。


平然と一人で生きていた、自分。
今よりずっとつよくてやさしかったわたし。





お月様取ってくれとか頼んだよね。

サンタクロースの世界を覗いたり。

面白そうだから家出しようとしたけどやめたっけ。

かいじゅうたちの王様になったこともある。

クリスマスにはジンジャークッキーを焼くのが定番なんだよね。



すごくたのしかったよね。



眩しい世界を一緒に遊び尽くしてくれたあの子たちは、実在しないけれど、ずっと私の過去には存在し続けています。

あなたたちと作った椅子に、誰かを座らせられる日が来るまで、ぼちぼち頑張ってみようと思ってるよ。




画像お借りしました。
ありがとうございます🙇‍♀️

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