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剪定二ヶ所

11月24日、二ヶ所の現場を見て回ることになった。
一つ目は小学校のヒマラヤスギの剪定、もう一つは河原の水防林の剪定だ。
どちらも高所作業車を使うほどの結構な高木だ。


片側が平らなヒマラヤスギ

一件目の小学校では、外側の枝の剪定はほぼ終わっており内側から作業車を使って剪定作業を行っていた。外側は今流行りのハーフサイズのクリスマスツリーのようにきっちり整えられていた。
小学校構内での作業は、校庭の一角をカラーコーンで規制して行われていた。ちょうど私が訪れた時は、業間休み(中休みという地域もあるらしい)で子供たちが校庭で遊んでいるところだった。

業間休み!あったあったそんなの!!なつかし~~~~~~
といった感じでノスタルジーに身を震わせつつも、ボールがこっちに飛んできたりして、子供たちが寄ってこないかハラハラしていた。
しかし、誘導員さんがしっかりと周辺を監視してくれているし、小学生たちも現場に近づかないよう遊ぶ場所を移動してくれたりしたので全くの杞憂だった。最近の小学生は賢いなぁ~偉いなぁ~(年配しぐさ)


もさ

高所作業車に職人さんが二人乗り込み、ヒマラヤスギの剪定に入る。
一人が切り一人が枝葉を所定の場所に落とすことで、素早く作業が進む。
規制された枠内に一つ一つ枝葉を落としていき、下で別の職人さんが処理をする。子供たちは意に介さずバスケットボールをしている。(広報の小学校は外にバスケのゴールなかったからかなりカルチャーショックだった)


剪定はスムーズに終わり、次は幹に絡みついたツタを取る作業だ。
これが結構手ごわい。幹の表面をびっしりと覆う葉の様子を見るだけで、ツタの頑丈さが伝わってくる。
のこぎりを片手にツタを切りつつ、もう片方の手でツタを引きはがしていく。
が、引っ張っても伸びるだけでツタが外れない。
ツタ同士が複雑に絡み合っているので、一ヶ所切ったところで剝がれないのだ。
…これ剪定より大変なのでは?

正直大きなカブを見ている時の気持ちになった。まだまだツタは取れません。
うんとこしょ、どっこいしょとは言わずとも、かなり力を込めてぐいぐい、と引っ張っている。
ようやく一ヶ所がずるりと引き剝がされる。
すると、他のツタも芋づる式(まさにツルなのでこの喩えはどうなのか)で一気にズルズルと取れていった。

き、気持ちいい~
これ見てる方も気持ちいいんだから剥がしている職人さんはもっと快感だろうな。
引き剥がされたツタは遠目からみてもかなり頑丈そうで、もさもさとしていた。


ツタの行方を見届けて、二件目の河原の水防林。川のある地域に住んでる方ならわかると思うが、よく河原にサッカーや野球のできる小さな広場があるのを目にすると思う。(するよね?)そこの脇に生えている松林を剪定するのだ。


現場に着くと、パッカー車がものすごい音を立てていた。剪定した松の太い枝を処理している最中だ。メキメキ、とかじゃない。ゴッゴッ、といっている。岩を砕く時こんな音がしそうだ。しかししっかり中に引き込まれていく。パッカー車はすごい。


奥では別の職人さんが高所作業車に乗って松の枝を落としていた。松はそれぞれ癖のある生え方をしている。たまに盆栽で見かけるようなほぼ真横に生えている松や、針金のようにうねっている松の木もある。
高所作業車のバスケットの寄せ方を考えないと、まず剪定する枝に届かないだろう。
しかしさすがは職人さん、手足のようにカゴを支えるアームのようなもの(調べたらブームというらしい)を操作して、サクサク作業を進めている。いかんせん操作がうますぎる。こんなすいすい動くの!?と思うくらいにはすいすいとブームを操っている。
車の配置もちょうどいい位置にある。時に少しだけ車を移動させながら、ブームを調整してはどんどん剪定を行っていく。
職人さん、スゲー
☝字にすると間抜けだが、率直にこの感想しか出てこなかった。

しかし、ここの松林はかなりのボリュームだ。水防林なので当然だが密度がしっかりある。前の日は3人でやったそうだが、この日は2人。半分ほど既に剪定が終わっているとはいえ、結構手ごわそうだ。しかし、ペース的にはもう少しで終わりそうなのだという。


下では別の職人さんが落とされた枝を適度な大きさに切断しながら、パッカー車にもりもり食べさせている。食べさせているという表現がしっくりくるくらいには生き物に餌をやる光景に似ている。
だんだんパッカー車がかわいく見えてきた頃、一通り周辺の剪定が終わったからか、高所作業車が移動を始める。
高所作業車はそこそこ大きい車なので、そもそもどうやってこの入り組んだ林に入れたのか不思議だ。
松の木の隙間を縫って高所作業車が動き出す。松林を抜けてまた少し先の松林に入っていく。うねる松の木の間を抜けながら、木に寄せていく。
どうしたらそんなに運転がうまくなるんですか。

あれよあれよと位置を決めた高所作業車は、また車体を安定させるために4本の突っ張り棒をにょきにょきと伸ばし(アウトリガというらしい)、職人さんがまたバスケットに乗り込む。
職人さん、スゲー(本日2回目)


二ヶ所の剪定の現場を見て回ったが、どちらも子どもたちと密接に関わる場所が現場だった。
小学校での剪定は、子どもたちからどのように見えているだろうか。
広場を使う子供たちは、松林の変化に気付くだろうか。

きっとどちらもなんてことない風景で、子どもたちは気づかないかもしれない。
だからこそこうして広報が発信を行っている。まず知ることから必要だからだ。
だけどそんな縁の下の力持ち的な造園業の良さを、いつか気づいてくれる子が一人でもいてくれたらいいな、なんて密かに思うのだった。