明石家さんまが好きだ。

漁港の肉子ちゃんの宣伝文句の「みんな望まれて生まれてきたんやで」というのが、そんなわけねえだろと軽く炎上していた。
俺はそれを見ながら、「生きてるだけで丸儲けって考えてるやつが作ってんだから、そりゃそうなるだろ」と思っていた。

明石家さんまを尊敬している。
さんまのお笑い向上委員会は、俺の思想を変えた。
具体的に言うと、明石家さんまの「最終的に笑いになれば勝ち」という価値観に、俺は大きく影響を受けている。
先日のM-1に対する「ただのテレビ番組やん」も痺れた。

さんまのお笑い向上委員会は、自分の中で純粋な芸人へのリスペクトが生まれた最強の番組だ。
だから今でも、一番好きなTV番組はコレだと言っている。これ以上のバラエティ番組は無いと思っている。

向上委員会で好きな芸人がたくさん増えた。
この番組では、しばしば芸人がスベる。スベってから、それを大爆笑に持っていくまでが芸人の腕の見せ所で、それを見るのが俺は大好きだ。
さんまだけじゃなく、今田や宮迫、陣内のリカバリーは天才だ。
この番組で汗かいてる宮迫が大好きだった。アメトーークよりもこっちに帰ってきてほしい。プレイヤーの宮迫は本当に面白い。
魔王ことザブングル加藤は、他の番組で見てもワクワクする。予定調和を破壊して、予測不可能な領域を常に生み出す。
俺は事故を起こしてほしいのだ。
自由に振る舞われて死ぬほど苦労する周りが、何よりそれを面白くオトさなきゃいけない本人の苦悩とそこから生まれる笑いが、たまらなく好きなのだ。
ナダルのバズーカっぷりも最高だ。
彼が口を開くと、全員黙る。
明石家さんまがどう処理するか。
処理できなかった時のナダルもまた最高だ。
自分で必死に処理しない。
スベりましたけど?でまた胸を張る。それが上手い。
若林が春日にやって欲しかったものが、ナダルなんじゃねえかなと思っている。
ぼる塾のはるちゃんの笑い声も素晴らしい。
彼女も明石家さんまイズムというか、全ての状況が笑えるくらい楽しいというある種の破壊性、諦観、凶暴性を帯びた爆笑をしていると思う。
今年最初の柏餅の回で、彼女だけが爆笑している時間があった。
俺はもうそれを見ながら、スベっている状況すらも笑って楽しんでいる彼女の視点が素晴らしいなと思っていた。
んで、先日のモザイクくっきー回での即興漫才。全員ドン引きの状況。でも彼女は笑っている。楽しんでいる。最強。
スベっても迷惑かけても楽しいからオッケーという彼女はこの番組において最高だと思う。
周りがどうにかしてくれるし。俺はそれを楽しく見るし。

つまり何が言いたいかというと、スベるという事象は存在しないということだ。
明石家さんまはスベった芸人を見て白飯を食う。
全然面白くないゴー☆ジャスが、今田の横にいれば爆笑をかっさらう。
スベるというのは、ウケるまでやってないというだけなのだ。思考がそこでストップしてしまっている。諦めているのだ。
面白くなるまでやる。全員でそれを面白くする。
それを一生懸命にやるから、芸人はプロなんだと思う。
だから俺は、芸人を心から尊敬しているのだ。
ま、本当にクソスベったらオンエアに乗らないだけなんだけどね。

面白くない、つまらないと他者を判断する人間がいる。
それは相手を面白くしようとしていない、自分の努力不足だと言いたい。
相手が面白くないんじゃなくて、お前が面白く見れてないんだよ。
俺は、どんな些細なことでも面白いと思ったら笑う。面白いものを素直に面白いと思う。
今の俺の精神の指標は、面白いかどうかになっている。そして、この世界は大体のことが面白いのだ。
面白いと思えたら、何でも楽しくやれてしまうのだ。

まあ、それだけ明石家さんまに精神を侵されているので、これだけ尊敬している人がプロデュースした映画を見ないわけがない。
というわけで漁港の肉子ちゃんを公開初日に見てきた。
本当は同日公開の閃光のハサウェイを見るつもりだったけど時間が合わなかったので漁港の肉子ちゃんにしたのだが、まあ漁港の肉子ちゃんにもめちゃくちゃ思い入れはあるということだ。お笑い向上委員会に出てる芸人が声優やってるしね。ジョニ男とか、まんまだった。
結論を言うと、べらぼうに泣いた。
予想していたものと違うものが出てきた。
笑えてしょうがないものだと思っていたのに、笑えてめっちゃ泣けてまだ笑わせてくるものだった。
肉子ちゃんの生き方は、傷ついてもなお笑う、明石家さんまイズムに溢れていた。彼女の精神はきっと「生きてるだけで丸儲け」なのだろう。
肉子ちゃんはピュアだ。だからこそ、全面に出てくる感情が胸を打つ。嘘のない純粋な気持ちは、見ていて心にじんと響くのだ。
そしてそれはそれとして、家族愛に俺は弱いのだ。

いい映画だったと心から言える。
西加奈子のストーリー素晴らしい!
さんちゃん、あんたは凄いよ!!

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