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「戦国時代の日本で黒人奴隷が流行」は定説になりつつある…トンデモ説が欧米で"史実"扱いされる恐ろしい理由

プレジデントオンラインに寄稿しました。

フランスのゲーム企業ユービーアイソフト(UBI)が11月に発売予定のアクションアドベンチャー『アサシン クリード シャドウズ(Assassin's Creed Shadows)』(監修は米ダートマス大学のシュミット堀佐知准教授)が日本人ゲームファンの間で大炎上し、一般世論にも飛び火しています。

ゲームの舞台は、外国人がそこかしこに住んでいる今の日本ではなく、安土桃山時代の戦国日本です。にもかかわらず、ゲームの主人公が黒人の侍「弥助」に設定されていることを問題視する声が一部で上がったのです。

確かに、このゲームにおける戦国時代の描き方には違和感があります。公開されているゲームプレイ映像では、甲冑姿の弥助が村の中をのし歩き、村人が弥助に恭しく頭を下げる様子が見てとれる。ただ、帯刀が右であったり、仏像の手が左右逆、畳が正方形だったりと、衣装・道具・装置の時代考証ミスが目につくのです。

こうした中UBIは7月に、関ケ原のPR活動などをおこなっている「関ケ原鉄砲隊」が使用している旗をコンセプトアート内で無断使用したことを認めて謝罪しています。

ただ最大の問題は、主人公「弥助」の設定にあると言えましょう。

欧米社会において、特にアカデミズム界隈の知識人たちが、自分の正当性を主張する材料として、黒人差別問題が使われることがあるからです。

「差別的かつ前時代的な日本人ネトウヨを正す英雄的な欧米人研究者」という言説の中で、「弥助=侍」説のエビデンス欠如という学問上の問題が、政治的正しさを基準とするマイノリティー差別問題にすり替えられています。

そうした言説は、エドワード・W・サイードが「オリエンタリズム」と呼び痛烈に批判した、「西洋人によって東洋が研究・記述・支配される思想」にほかならなりません。「弥助=侍」説は、「新たなオリエンタリズム(neo-Orientalism)」の側面を持つのです。

論考を試みました。ぜひご一読ください。

ヤフコメです。

5ちゃんねるです。


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岩田太郎
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