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リベラルが進めるデジタルドルの導入は中国共産党型監視社会の足がかりか

デジタル人民元に対するドル覇権を維持するためにFRBがすべきこと

昨日の「米議会に決断を丸投げしたバイデン政権、デジタルドル導入に立ちはだかる隘路」の続編です。

前回は、デジタルドルを推進するリベラル派が唱える「貧困層など弱者の金融包摂」が、実はアングラ現金経済のデジタル技術による見える化と監視を狙ったものであり、中国のデジタル人民元(e-CNY)が米ドルの基軸通貨の地位を脅かすことを防ぐというデジタルドルの目的についても、著名エコノミストたちが、「デジタル人民元脅威論」が誇張されたものであると示していると論じました。

では、中央銀行デジタル通貨(CBDC)発行の目的が金融包摂のためではなく、米ドルの基軸通貨としての地位防衛でもないとすれば、デジタルドル推進派の真の狙いは何なのでしょうか。

そこには、国民を政府からの福祉補助金に恒久的に依存させる「大きな政府」のデジタル版の遠大な構想と、従来は民間が担当してきたリテール金融に対する統制とともに政府の金融・福祉サービスに対する国民の依存度を高め、さらには金融包摂を口実に低所得層や貧困層の経済、生活、行動を監視しようとする意図が隠れていないのか――。

底辺の経済では、現金の匿名性がアンダーグラウンドな環境を提供しており、取引データが可視化されるCBDCで現金を置き換えて取り締まろうという狙いなのではないか――。

そうした文脈において、デジタル人民元とデジタルドルは、同じコインの表と裏、すなわち表裏一体ではないでしょうか。

監視統制的なデジタル人民元をまねたデジタルドルの発行・流通は、「通貨冷戦」での負けを意味します。それは、統制からの自由を重んじる民主主義の敗北でもあるのです。

通貨発行権を持つ官と、実際の金融業務を担当する民の棲み分けに基づく二元金融システムを維持しつつ、民間の暗号資産を規制して安心・安全な金融商品に仕立て上げることこそ、暗号資産を禁止した中国に、米国が「米国らしく」勝つ道であると説きます。

ご一読ください。

https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/69224



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岩田太郎
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