腹が立つほど暑かったので映画『網走番外地 決斗零下30度』を観たら
地球温暖化も年々進み、ここ日本の夏も過酷な暑さとなりました。
こんな時には気分だけでも涼しくなれそうな映画を観るに限ります。
というわけで。
こんなこともあろうかと、こんな暑さも来ようかと、東京MXで放送されたのを録画しておいた『網走番外地 決斗零下30度』(1967)を鑑賞。
なんたって「零下30度」。
申し分ない涼しさ。つか寒さ。指もちぎれる零下30度。バナナで釘が打てる(かもしれない)零下30度。
大人気「網走番外地シリーズ」の第8作だそうです。
『網走番外地 決斗零下30度』
そんなにアバシリバンガイッチャーではないのでよくわからないのですが、過去作のクライマックスらしいシーンから始まります。主人公橘真一(高倉健)が人殺しだとよくわかるようになってます(「たちばなしんいち」と入力すると「立ち話んいち」と変換するぞMacOS)。
冒頭の殺人シーンは橘真一の夢だったようで、目覚めると雪原を走る蒸気機関車の中でした。
そこで橘真一はひとりぼっちで乗車している幼い女の子と出逢います。4歳くらいでしょうか、荷札がつけられていて、「気付いた方はこの子を表記の場所まで届けてください」、とか書いてあります。
なんだこりゃ?と思いますが、荷札を裏返すと届け先の住所とそこで引き取る人物の名前が書かれています。
それは真一と旧知(ムショ仲間)の大槻(田中邦衛)の名前でした。面倒見ないわけに行かなくなっちゃいました。
でもこの子、なかなか懐いてくれず、なんか生意気なことばかり言います。
舌足らずで大人びたことを言うところが可愛いでしょと言いたいのでしょう。長いセリフだと最後の方が何言ってんのかわかんなくなったりします。本人が何言ってんのかわかってないのでしょう。
そのあと「腕と度胸と正義の心」を持っている男をスカウトしている謎の美女、そして真一より俺を雇えと言ってくる謎のマジシャン(マジックは初代引田天功)とも出逢います。
さらにチンケな詐欺師コンビの事件に遭遇しますが、その詐欺師コンビも真一のムショ仲間でした。なんだこりゃ?ムショ仲間鉄道か?ムショ鉄か?
女の子と一緒に汽車を降りる真一に詐欺師コンビが、真一の行き先で「鬼寅(嵐寛寿郎)が待ってるからなー!」と叫びます。
なんでしょう。何かと都合がいいっていうかなんていうか北海道はムショ仲間だらけみたいです。
放送時間から考えると大幅にカットされているとは思いますが、この、「お馴染みさんが次々登場」の都合良さはカットとか関係ありませんよね。
そんななのであまり期待せずに鑑賞続行。いいよ雪原が涼しげだから。心の冷房です。部屋も冷房してるけど。
行き着いた先は鉱山で、女の子は大槻の娘チエだとわかりますが、鉱山にはマムシと呼ばれるボスがいて、いきなり真一と殴り合いになります。
マムシを演じているのが田崎潤(東宝)。
東宝特撮ファンには、“頼れる司令官”もしくは “口うるさいけど部下思いの上司” というイメージの田崎潤ですが、ここではならず者たちのボス。
真一に負けそうになると自分の靴を脱いで投げつけたりするユーモラスなシーンもあり、そもそも田崎潤が明るいキャラクターなので、きっと真一とは和解して、お互い認め合うような展開を予想していました(「お前ぇなかなかやるじゃねぇか」「お前もな」みたいな)が、そんなことには全くならず、最後まで卑怯なマムシ野郎でした。それでいいのか田崎潤。「信じられるのはムショ仲間だけ」という掟でもあるみたいです網走番外地シリーズ。
話は鉱山の権利問題をめぐり展開して、争いごとが大きくなっていきます。
ここで汽車であった謎の美女とマジシャン野郎が再登場します。マジシャン野郎はマジックで悪いやつと戦うのかと思ったら普通に拳銃出してました。引田天候さんのマジックは汽車のシーン限定だったみたいです。
丹波哲郎が渋い役回りで出ていましたがなんだか行動が変でした。そのキャラでそんなことやらんだろう、みたいな。
ノーカット版ならもう少し理解できるのかなぁ。でもなぁ…。
哲郎の妹役で大原麗子が出ていましたがとっても可愛らしかったです。
というわけで、極寒の北海道で繰り広げられる、涼しくなりたい猛暑の夏にぴったりのアクション映画でした。