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日々棒組み918 中村主水で思うことなど

「必殺」の話をもう少し。

必殺シリーズに中村主水というキャラクターを見た時、あまり良くは思いませんでした。
私にとって藤田まことはお笑いの人だったからです。『てなもんや三度笠』の面白いおじさん。
なんでしょう。「必殺」というハードな世界にお笑いの人。
だめ。
しかも家に帰れば妻と姑にいいように扱われ、カッコ悪いったらありゃしない。
だめ。
そう思ってました。
殺し方も刀で斬るだけ。
ふつう。
ありがち。
ほかでもよく見る。
骨とかバキバキしたりちっこい何かで急所を刺すとかのほうが珍しくて好き。

そんな中学坊主でした。
でも今ならわかります、主水の良さ。
職場や家庭と、裏稼業との落差がカッコよさを生み出しているということを。
そして、家庭での立場のつらさも、今ならわかります。
職場での昼行燈ぶり。主水の、仕事ができない演技も、会社で日々「仕事してます演技」をしている私にはよくわかる。ベクトルは正反対だが。
そして家でのあれこれ。あれは本気なんだろうな、きっとつらいだろうなぁ。今ならわかります。ええわかりますとも。
時々へそくりを見つけられて取られちゃうし。つらいだろうなぁ。

まぁだけど。
主水がせっせと人を殺して貯めたへそくり。
それを見つけてはそのお金で「おいしいものでも食べに行きましょう」だの「お芝居でも観に行きましょうか」だの「そろそろ新しいお着物を」だのせっせと散財する妻と姑。
人殺しで稼いだ金で贅沢してるのってなかなか闇の構図だなと思いました。
中学生の時はそんなこと思いもしなくて、ドラマをゆるくしているせんとりつが大嫌いでしたが、大人になった今観ると面白くてしょうがないせんとりつ。

BS朝日さんには必殺シリーズの再放送をずっと続けていただきたいと、そう思っております。いつまで観られるかわかりませんが、死ぬ時には、
「ああ、今日の必殺を観てから逝きたかった」
と言いながら事切れるのが人生最後の願いです。
あそうそう、それまでには「お葬式代くらいは自分で賄える保険」にも入っておきたいと思います。

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