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8月26日、時を越えて、ヒルデガルトのヴィジョン、見えてしまいそうな、スペイシーな歌声...

イギリスのピリオド界で活躍してきたソプラノ、グレース・デイヴィッドソンが歌う、ヒルデガルト・フォン・ビンゲンの聖歌集。

ヒルデガルト・フォン・ビンゲン(1098-1179)。
ドイツ西部の地方領主の家に生まれるも、こどもの頃は病弱で、生死の境をさ迷うような状況に陥ったことも度々だったとか... そうした中、幻視を見るように... やがて修道女となり研鑽を積み、1141年、幻視から得た啓示をまとめた『道を知れ』を著述、40代となり、神秘家として活動を始める。それからしばらくして作曲にも取り組み出す、ヒルデガルト...

彼女にとって、音楽もまた啓示によるものだった?時代はゴシック前夜、未だ制約的だった同時代の聖歌と聴き比べると、ヒルデガルトの聖歌には、何か捉われない自由さがあって(即興的?)、そのふわっと浮き立つようなメロディーに、この世ならざる表情が見受けられる気がする。神秘家の音楽... なんて言ってみたくなる、独特な存在感を放っている。

というヒルデガルトの聖歌を、9曲、独唱で歌う、デイヴィッドソン。まず、癖のない美しいソプラノにただただ魅了されます!で、その美しいソプラノには洗練が感じられ、ヒルデガルトの音楽を中世から解き放つかのよう... すると、その音楽、ニューエイジっぽく響き出し、さらにさらに超越して、スペイシー!遠い銀河を遊泳するような感覚に...

つまり、これは、ムジカ・ムンダーナ(中世における音楽概念、"宇宙の音楽"... )か?デイヴィッドソンのどこまでも広がってゆきそうな澄んだ歌声に触れていると、ヒルデガルトのように、宇宙のヴィジョン、見えてしまいそうな気がしてくる。

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