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島で暮らした3ヵ月、島体験生と10の質問。

離島、延長、迷ったけど離島。
同じシェアハウスだった仲良し3人が思う、島で暮らした3ヶ月とは?

島体験
隠岐島前3町村(海士町・西ノ島・知夫村)で、仕事や普段の暮らしを通して、島を知ることができる3ヶ月の滞在型インターンシップ制度。

今回は、2023年度4-6月期の島体験生である、深田彩実さん、早川万琴さん、伊佐遥花さんに10つの質問を通して、3ヵ月の島体験を振り返っていただきました。

伊佐さん(左前)、深田さん(右前)、早川さん(一番後ろ)

早速ですが、よろしくお願いします!!

━━Q1.まず島に来るまでの経歴を教えてください!


深田さん:
島に来る前は、新卒で東京のIT企業で2年間働いていました。
転職を考えていた時にテレビで大人の島留学を知り、興味を持ったことがきっかけです。
大人の島留学には2023年1月に応募し、前職は3月末で退職、4月から海士町に来ました。
退職してすぐに違う仕事に就くよりも、知らない場所で新しいことに飛び込んでみるのも楽しそうだなと思って、「とりあえず3ヶ月行ってみよう、それから考えよう」という気持ちでした。

早川さん:
私は、株式会社海士のインターンに応募したのが、海士町に関わる一番初めのきっかけでした。
そこで「島体験という制度があるのでどうですか」とご提案いただき、特に深く考えず「じゃあそれで」と決めたんです。
だから、最初から”島暮らし”にフォーカスしていたわけではなかったですし、実際に来島するまで、海士町がどんな町なのかも、島体験という制度がどんなものなのかも、実はほとんど知りませんでした。
来島前は東京の大学に通っていましたが、島にいる間も休学せず、オンラインで授業を受けながら生活していました。

伊佐さん:
就活が始まる前に、自分を見つめなおす時間を取りたいと思って一年間休学することを選びました。(休学は2023年の3月に申し込みました。)
休学期間に、何をしようかと調べていたところ見つけたのが島体験です。
大学で観光やまちづくりについて学んでいて、同じゼミの友人が「海士町というところがおもしろいまちづくりをしているよ」と紹介してくれて、大人の島留学の存在を知りました。
調べてみると、観光系以外にもたくさんの事業所があって様々な職種でチャレンジができること、シェアハウスでの生活も楽しそうでした。
休学期間に様々な場所に行ってみたい私にとって、3か月という長すぎず短すぎない期間も魅力的で参加を決めました。


━━Q2.様々な事業所がある中で、来島してからはどんなお仕事をしていましたか?

深田さん:
元々学生時代は観光関連の仕事に就きたいと思っていたため、島体験生の頃から現在に至るまで株式会社海士に勤務し、ホテルEntôでフロントスタッフとして働いています。
チェックアウトやチェックインをはじめとした主なゲスト対応や、フロント業務に伴う日常業務(当日・翌日のチェックイン準備、荷物預かり、焚き火などのアクティビティ準備、電話対応など)を行っています。

早川さん:
Entôというホテルで、フロント業務を中心に働いていました。
宿泊の予約管理などといった事務的な仕事から、焚き火を囲みながら宿泊ゲストの方とフリートークをする“火守番”の仕事まで、幅広く“観光”や“サービス”に関わらせていただきました。

伊佐さん:
私は、AMAホールディングスという会社で働き、主にわがとこバスツアーという島民向けに島の事業者を紹介するバスツアーの運営・当日のバスガイドをしていました。

ツアーで訪問させていただく事業所さんと、当日の流れを話し合ったり、旅のしおりづくり、移動中のアクティビティの準備、広報など全般的にやらせてもらいました。
経験も少なく未熟な点が多い私に、仕事を任せてくださったり、挑戦させてくださった職場の方には本当に感謝しています。


━━Q3.大人の島留学で1年という選択肢もありながら3ヵ月を選んだ理由は?


深田さん:

初めから1年暮らす勇気がなかったというのが1番正直なところです。
3ヶ月の方がハードルが低かったからですね。

転職するまでのインターバルのような感じで最初はあまり長く滞在するつもりはなかったのですが、結果的に気づけば島で1年を過ごすことになりました。

早川さん:
大学を卒業するまでの1年間、島暮らしだけじゃなく、色々とやってみたい気持ちもあったし、3ヶ月って決まっているからこそ、頑張れたり感じられたりすることもあるのかなと選びました。
学生にとっての1年って結構大きい気がしていて、3ヵ月の方がハードルは低いのかなって感じます。

伊佐さん:
休学期間の1年間は、新しい環境に身を置き、たくさんの人と出会い、自分の将来について考えたいと思っていました。
長く同じ環境にいるというよりも、新しい環境に飛び込み、自分がどう感じるのかを知りたかったので、3か月を選びました。


━━Q4.島体験3ヵ月ならではの良さは?

深田さん:
期間が短いからこそ中身が濃いものになると思います。
「3ヶ月しかないからあれもこれもやらなきゃ!」という感じでみんな行動していたような気がします。
あとは、島体験生は毎週1回は全体での研修があったため顔を合わせる機会が多く、仲良くなりやすかったのではないでしょうか。

研修の様子

早川さん:
島体験の魅力は色々ありますが、個人的には「同期がいる」「同じ時期に島に来た人がいる」というのが、すごくありがたかったなと思います。
完全に一人で0から島での暮らしを始めるとなるとすごく大変だけれど、同期がいるおかげで悩みを共有できたり、集まりに誘ってもらって輪が広がったり、色んな面で支えられました。
3ヵ月は何かをするには短いし、何もしないには長すぎて、正直悩んでばかりいましたが、3ヵ月で離島か延長かを決めなければならなかったからこそ、自分自身としっかり向き合うこともできたのかなと思います。

伊佐さん:
毎日忙しく、ただ過ごしているだけではあっという間に時間が過ぎてしまうと思ったので、島体験が始まる前に自分の中で目標を立てて、「何を得たいのか」、「そのためにはどのように行動しようか」意識しながら過ごしていました。
島体験中は、毎日がとても充実していて、3か月があっという間でしたが、目標を振り返り、自分を見つめなおす時間を作っていたので、短い期間内でも、自分が学びたいものを得ることができ、後悔なく離島することができました。

━━Q5.なぜ離島or延長を選択しましたか?

深田さん:
4ー6月期の滞在だったため、色々な人に「海士は夏が楽しいよ!」と言ってもらったことが大きかったです。
夏の海士を知りたいという好奇心と、夏が繁忙期であるホテルEntôの力になりたい気持ちが主な決め手だったと思います。
3ヶ月はとてもあっという間で短く、「もう少しここで過ごしたいな~」という思いもあって延長を決めました。

早川さん:
直前まで、延長しようと思っていました。
3ヵ月間空回りしてしまっていた気がして、せっかく島に来たのに何もしてない、誰の役にも立ってない、みたいな後悔があったんです。
でもふと、この後悔がある今だからこそ島を出るべきなんじゃないかって思って。
何かに満足して、やり切って、わかった気になって島を出たら、ただの良い思い出で終わっちゃう。
でも、上手くできなかった自分、かっこ悪かった自分を悔やんでいるからこそ、この島で暮らした3ヵ月はこれからも自分の中で生き続けて、糧になってくれるんじゃないかって思ったんです。
3ヵ月で離島したからこそ、この後悔には価値があるんだと思えます。

伊佐さん:
最初から3か月と決めていて、延長の選択肢は自分の中にはありませんでした。
しかし、同じ時期に来た同期の島体験生がほとんど延長することを選んだので、みんなと離れるのがさみしくて...。
一瞬延長も考えましたが、留学など新しい環境でもチャレンジがしたいと思い、離島を選択しました。


━━Q6.同じシェアハウスに住んでいるもの同士で違う選択。離島や延長に迷いはなかったですか?


深田さん:

私は自分が残りたいという気持ちで延長を決めたため、あまり迷いはありませんでした。
私のシェアハウスでは6人のうち3人が離島しましたが、他の島体験の同期は残る人が多かったことと、1年間滞在する大人の島留学のメンバーもいたので、それも残るきっかけの1つだったと思います。
離島するメンバーと残るメンバーがいるのは寂しかったですが、みんなそれぞれの選択を応援していました。

早川さん:
むしろ、同じシェアハウスに住んでいたからこそ、自分らしい選択をできたのかなと思っています。
離島する子の考えも、残る子の考えも聞けて、一人ひとりがちゃんと自分の選択をしていたからこそ、私も自分自身が納得できる選択をしようと思えた気がします。

伊佐さん:
シェアハウスのメンバーとは想像以上に仲良くなり、家族のような存在になったので正直離れるのはすごく寂しかったです。
でも、離れることになってもそれぞれの道で自分のやりたいことを頑張ることがお互いにいい影響を与え合うと思っていたし、みんなとなら絶対また「会える、会う!」と思っているので離島を決めました。
各々が自分にとって何が一番いい選択なのかを考えているのを感じたからこそ、自分自身の選択を信じようと思いました。

━━Q7.一緒に暮らしたシェアハウスでの思い出は?


深田さん:

毎日みんなで食卓を囲んでいたことです。
島生活にもシェアハウス生活にも慣れていない中で、日替わりで夕食当番を決めて6人分の食事を作り、一緒に食べていました。
食事の後もリビングで仕事のことや将来のことについて話し合ったりするような、とにかくいつもみんなで一緒にいて、まさに共同生活という感覚でした。
今もみんなで連絡を取り合っていますし、4-6月は特に濃いシェアハウスの思い出がたくさんありますね。

早川さん:
一緒にご飯を作って食べたこと。
遅番で帰りが遅くなる時でも、帰った瞬間にシェアメイトがご飯を温めて出してくれて。
家に帰って温かいご飯があるってほんと幸せじゃないですか。
どんなに疲れた日でも、みんなで美味しいご飯を食べれば元気になれました。
予定が合う時にはピザパーティーや沖縄パーティーをしたり、一緒に魚を捌いたり、シェアハウスでの暮らしは本当に楽しかったです。

伊佐さん:
みんなでご飯を作って食べた後に、リビングで本を読んだり勉強したりするのが日常のなかで、同じ空間にいるけれどそれぞれが好きなことをしている時間がすごく心地よくて、好きでした。
あとは、私の地元である沖縄の料理をみんなで作ったり、三線(中国から沖縄に伝わって生まれた弦楽器)をみんなで覚えて歌ったりしたことです。
私の大好きな沖縄の料理や音楽をみんなが楽しんでくれて、沖縄を好きになってくれたことがすごくうれしかったので印象に残っています。


━━Q8.大人の島留学1年の人と島体験3ヵ月の人。ここが違うなと思ったところは?


深田さん:

私の場合は大人の島留学生と同じタイミングで4月の来島だったため、3ヶ月を過ごす中で、あまり大きな違いは感じませんでした。
ただ、3ヶ月で離島した仲間をみると、一緒に過ごした時間は短くあっという間だったように思います。

早川さん:
島体験のほうが学生が多い気はするので、若さもあるし3ヵ月っていうこともあるし、「とりあえずやってみる!」「楽しんでみる!」みたいな活気?はあるのかな(笑)
でも、私は「島体験で3ヵ月しかいないから」って考えすぎて何をするにも一歩引いてしまっていた気もして、島体験とか大人の島留学とか関係なく、気にせず過ごした方が絶対得るものはあるんじゃないかなと思います。
区別はあるけど、同じ時期に島にいる仲間というだけなので。

伊佐さん:
島体験生のほうが期間が短いので、仕事や暮らしの面で何かチャレンジしたいという気持ちや焦りが大きかったような気がします。
私自身も、時間の流れが思った以上に早かったので、離島日が近づくにつれて、焦る気持ちが大きくなったりしました。

同じタイミングで来島した同期たち


━━Q9.島での3ヶ月間を振り返ってどうですか?


深田さん:

それぞれの理由や期待を持ってこのプログラムに参加している島体験・大人の島留学の同期とたくさん話をする中で、島に対しても人に対しても自分がどんどんオープンになっていくことがわかりました。
たとえ海士町を離れたとしても、心を通わせることができた頼もしい同世代が全国にたくさんいると思うととても心強いです。
また、身近に接するホテルEntôの同僚や島の移住者の方々も海士町に来るまでに様々なバックグラウンドがあり、「こういう生き方もあるんだ~」と気づけたことがとても刺激になりました。
月並みな言葉かもしれませんが、周囲にロールモデルがたくさんいることで自分の視野が格段に広がったし、自分はここにいてもいいんだなと思える場所ができました。

早川さん:
「目の前にあることを大切にしよう」と強く思うようになりました。
「これって何のためになるんだろう」と、考えるばかりで頭でっかちになることがどうしても多くなっていたけれど、目の前にあることに誠実に取り組むことで見えてくるものもあったり、目の前の人が笑っていてくれるだけで救われたり、目の前の一つひとつに感謝して、小さな幸せを見逃さないようにしようという気持ちは、3ヵ月で学べたことなのかなと思います。

伊佐さん:
一言では表せないくらいたくさんあります。
特に学んだのは「豊かさ」についてです。
海士町には、お店や娯楽が少ないです。
その分、自分たちで過ごしやすくするための工夫や、生活の中で楽しさを生み出すようになりました。
ものも情報も簡単に手に入れることができる便利さが当たり前になっていた自分にとって、海士町での生活は、日々の選択をより丁寧にすることの大切さに気づかせてくれました。
また、海士町ではコミュニティが小さい分、モノの流れがすごく見えやすいです。
私たちの当たり前を支えてくれている人がわかるので、当たり前に感謝するようになりました。
これまで「豊かさ」について曖昧なイメージでしたが、海士町で生活してみて、日々の暮らしに愉しみと感謝を見いだせることが豊かさなのではないかと思うようになりました。
それが私の中の大きな学びです。


━━Q10.最後に島体験を検討している方へメッセージをお願いします!


深田さん:

私は島体験から結果的に滞在を延長しましたが、1年はちょっと不安だという方や、少しでもいいから隠岐での暮らしを体験してみたいという方にはぴったりだと思います。
もしかすると私のように、仕事や暮らしが自分に合って長く滞在することになるかもしれません。
そんな偶然も楽しみながら、飛び込んできてみてはいかがでしょうか!

早川さん:
3ヵ月は短いけれど、価値ある時間だと思います。
それに、やってやろうと意気込むより、等身大の姿で来るほうがきっと大切なことに気付けるはず。
なので変に気張らず、「とりあえず」で来てみてもいいんじゃないかな、きっと、喜びも苦労も、全部大事な御守りになると思います。

伊佐さん:
海士町で過ごした三か月間は私にとって大切なものになりました。
ともに生活した仲間との出会いも今後の人生の宝物です。
私は、島体験を通して、自己理解を深めることができたので参加して本当に良かったと思います!
島体験を検討している方は、来島前に自分なりの目的や目標を立てることをお勧めします。あっという間に過ぎていく日々の中で、楽しむ心を忘れず過ごしてほしいです。

修了式後に4-6月期の島体験生で

━━お忙しい中、ありがとうございました!

選択は人それぞれですが、価値ある3ヵ月には変わりないはず。
島という環境で暮らしと仕事に挑戦してみませんか?

(R5年度 大人の島留学生:渋谷)


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