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任国に飛び立つ前に国内の離島、海士町へ。地域のなかにどっぷり入り込むという経験。
任国への派遣前に、日本各地の地域に入り込み、現場で課題解決にチャレンジするJICA海外協力隊 グローカルプログラム。
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島で働き、そして暮らす。
数ある活動拠点から海士町を選び、そこでの約2か月間の滞在で得たものはなんだったのか。
代表して、お2人のグローカル生にお話しをお伺いしました。
海士町の歴史の奥深さにどんどん惹かれていった。もっと深く、海士町を知りたい、伝えたい。(林 風笑さん)
派遣先はタンザニア。
海士町では観光協会と教育委員会伝承郷育係で活動していた林 風笑さんにお話しを伺いました。
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自分は日本のことをどれだけ知っているだろうか?
これからタンザニアに行くことを考えたとき、ふとこんなことを思ったんです。
日本についてまだまだ知らないことだらけ。今まで行ったことがない場所に住むことで、任国で日本のことを聞かれたときに自分の引き出しを増やしておきたくて。
海に囲まれた場所で暮らせること、それから働きたい事業所を自分で選べることに惹かれ、海士町に来ました。
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本土からフェリーで3時間かかる遠い島だから、閉鎖的な場所なんじゃないか?
こんなイメージをもって辿り着いた海士町。
来て早々から、島の方々がとてもあたたかく歓迎してくださったことが驚きでした。
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話を聞いてみると、島流しによって島外からいろんな人が行きつく場所であった昔の海士町には、外から来た人を受け入れる文化が色濃く受け継がれているのだそう。
今がこうやって過去のできごととつながっていることを知ったとき、
「もっと海士町の歴史を学んでみたい!」
と思うようになりました。
ある日訪れたのは、暮らしの文化の違いや島の歴史を感じられる場所のひとつである、海士町民具展示館。
あまり人が訪れない現状があることをそこで聞いたとき、なんだかもったいないなと感じて。
私がはじめて行ってワクワクしたときのように、もっといろんな人たちに、
「この昔の道具、なんかおもしろい!」
「もっと海士町を知りたい!」
そんな風に思えるきっかけを届けたくて、民具館のPR活動に取り組ませていただくことになりました。
民具館により多くの人が訪れるようにするべく開催した「出張民具店」。
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これまでイベントを企画する経験はあまりなく、最初は自分ひとりでゼロから考えるのはかなり難しかったです。
息詰まったときには事業所の方にも相談できるようになっていき、少しずつ進めていった企画の準備。
一つの型や完璧さにとらわれず、でも目的は見失わず、
イベントのカタチはいろんな方法を試してもいいんだ、と思えるようになりました。
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ひとりで抱え込まずに、誰かに相談をしたり、誰かと一緒にいいものをつくっていく。
ゼロから企画をつくりあげる経験から得たこの学びを、これからもさまざまな場所で活かしていこうと思います。
「ないものはない」
島に来て、よく目にしていたこのことば。
実際に島で2か月間生活してみて、本当にその通りだなって実感しました。
本土にいたときは、常に周りにお店がそろっていて、「無かったら買えばいい」って思いながら生活していました。
でもこの島は、コンビニもなければ、住んでいた地区には商店すらもないような、なにもない環境。
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あるとき出会ったおじちゃんによると、
例えば鉄の杭が手に入らないときは、先祖代々受け継がれている知恵をもとにしながら腐りにくい木材で代用するのだそう。
「そういう知恵がたくさんあるから、自分たちでなんでも、どんどんできるようになっていくんだよね」
これから任国に向かう前に、島の方から「生きる力」を学ばせていただきました。
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地方創生が必要な地域って、日本の各地にまだまだ他にもあると思うんです。
海士町に来てみて思ったのは、ここは島だけど考え方や取り組みが先進的であること。
私には、田舎だけど思い入れのある地域があって。
もちろんいつかは海士町にまた帰ってきたい。
ただ、ここで得た経験や学びを、自分から、別の地域にも広げていきたいなと思っています。
熱意を持った人たちに囲まれて。ちいさな島の図書館で学んだ、人を巻き込むことの難しさとおもしろさ。(杉山 あゆなさん)
派遣先は東ティモール。
海士町中央図書館で活動していた杉山あゆなさんにお話しを伺いました。
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任国の東ティモールに行くまでの間で、なにかできたらいいな。
ちょうどそう思っていたときに、JICAのグローカルプログラムのことを知ったんです。
最初は、海士町といったら海で囲まれていて、地元の愛知県からかなり遠く離れたちいさな島。
ただそれぐらいのイメージしかありませんでした。
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実際に島で暮らしはじめてみると、思ったより気候は涼しくて。
でもそれ以上に、海士町には若者やIターン移住者がたくさんいることにとてもおどろきました。
事業所として働かせていただいていた海士町中央図書館も、職員の方のほとんどがIターン移住者。こんな世界もあるんだなって。
図書館では普段の開館準備だけでなく、司書の方と小学校に出向いたり、ちょっとした企画の方も主催させていただりしました。
実際に取り組んだものは主に2つ。
1つは「Life is learning」というカードゲームを用いた対話イベントです。
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「あなたが、いちばん大切にしたいことは何ですか?」
「時間もお金もあったら挑戦したいことは何ですか?」
このような質問が書かれている一枚一枚のカードを用いて、参加者のみなさん同士で自分の価値観や考えを共有しました。学校の先生や大人の島留学生、ご年配の方など多くの方に集まっていただけたことがうれしかったですね。
もう一つ行った企画は、こども達に本を身近に感じてもらうことを目的とした「読書郵便」というもの。
島にたった2校しかない小学校。国語の授業の一環でこども達に本を一冊読んでもらい、その本にまつわるクイズをハガキに書いてお互いに送り合ってもらいました。
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準備段階では、自分は新卒で教員経験がなかったし、これまでも自分から主体となってなにかを企画したことがあまりなくとても手探りな状態で。遠慮をして自分から人に「頼る」・人を「巻き込む」ということが苦手だったため、はじめのうちは自分一人で進めようとしてしまっていました。
そんなとき、図書館のスタッフの方が「お疲れさま!」って声をかけてくださったり、思い切って相談してみたときには直接たくさんアドバイスをしてくださったりして。
みなさん本当にあたたかく、まっすぐに向き合ってくださり、ふりかえると自分はとてもありがたい環境で働かせていただいたんだと感じています。
当日の段取りや進行など、あらかじめもっと綿密に計画を立てる。
内に閉じずに積極的に周りの人とコミュニケーションを取る。
なにか一個、自分から企画をしてみるという経験を通して、
さまざまな学びがありました。
任国でも、前のめりに、いろんな人と関係性をつくりながら活動をしていきたいです。
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もし海士町に来ていなければどうなっていただろうか――
おそらく自分は、なんの使命感も持たずに任国と向き合っていたんじゃないかなと思います。
「地方創生」において、まさに最先端にある海士町。
役場の方や町長さんはとてもフランクで距離が近く、関わるたびに大人の島留学生や島体験生からもたくさんの刺激をもらう日々でしたね。
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図書館の館長さんもスタッフの方も、ちいさな島の図書館をどのように充実させるか、そこに情熱をかけ、誇りを持ちながら働いている。
これからも自分が主体となって問題解決に取り組んでいきたいと思うようになりました。
地域をよりよくしていこうという方々の想いを真近で感じるなかで、「自分もこういった姿勢を持たなければ!」とすこしずつ意識が変わっていった気がします。
お世話になった方からは民謡を教えていただき、踊るときに手に持つしゃもじもいただきました。
今は任国の東ティモールと海士町の小学校をつないで一緒にキンニャモニャ踊りをすることが夢ですね。こども達がお互いの国の文化を知るきっかけになればうれしいです。
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日本に帰ったらまたいつか、この自由で、あたたかくて、いろんな人たちの想いで溢れる海士町にも戻りたいなと思います。
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(R6年度大人の島留学生:髙橋)