見出し画像

二人のためのレシピ|5.ステーキピラフとレモンバター

洋風炊き込みごはんの「ピラフ」は、洋食店や喫茶店で今も根強く支持されている人気の定番メニュー。

西洋料理としてのピラフはメイン料理の「付け合せ」の位置付けですが、日本ではもちろんごはんが主役。シンプルなおいしさのピラフとその上にどんと厚めのステーキをのせた「ステーキピラフ」は、わんぱくな見た目にまず心が躍り、人によってはノスタルジーを覚える、性別年代を問わず愉しめる一品です。

ステーキに添えるレモンバターは今でもステーキ専門店や洋食屋さんで見ることがありますが、ひと頃はファミレスのステーキにも必ずのっていた、特に昭和世代には懐かしい味わいではないでしょうか。

牛肉にバターを付けて食べるというのは、聞くだけではやや脂が強すぎるように思えるのですが、レモンとパセリを練りこんだレモンバターはさらりと溶けて爽やかにお肉と馴染み、却ってさっぱり食べられるから不思議です。

懐かしさを感じる方も、新しく知る方も。豪快さと上品さを合わせ持つ一皿をぜひ試してみてください。

今、心にいるその人とご一緒に、ぜひどうぞ。

ステーキピラフとレモンバター【材料】2人分

〈野菜のピラフ〉
・米…1.5合(225g)
・玉ねぎ…60g
・いんげん…5本
・バター…15g ※〈炒め用〉10g+〈仕上げ用〉5g
・鶏ガラスープの素…3g(小さじ1)
・塩…2g(小さじ1/2)
・水…270cc(お米と同量、=1.5合)

〈レモンバター〉
・バター…30g
・レモン汁…5g(小さじ1)
・パセリ…あれば適量
・塩…1g(2つまみ程度)

・牛ステーキ肉…300〜400g(お好みの量で)
・にんにく…3かけ
・オリーブオイル…大さじ1〜2
・塩こしょう…適量

今日のレシピのポイントは「基本のピラフの炊き方」です。バターを「炒め用」と「仕上げの混ぜ込み用」の2度に分けて加えることで、野菜だけでも十分に風味豊かなピラフが出来上がります。今回は牛ステーキと合わせるためにあえてシンプルにしていますが、ピラフ自体にエビやチキンを加えて具沢山にアレンジすることもできますので、覚えておくと懐かしいおいしさがいつでも楽しめますよ。


1・ステーキに添えるレモン風味の合わせバターを作ります。バターは薄切りか小さい角切りにしてボウルに入れ、早めに冷蔵庫から出して室温に馴染ませておきます。気温が低く時間をおいても硬い場合には、電子レンジで5〜10秒ずつ加熱して柔らかくすると良いですが、液状になるほど溶かすとバターの状態が変わってしまうので、形を保ちながら柔らかくなる程度で止めてください。

レモンを絞り、種は取り除きます。生パセリがあればみじん切りに。(ドライでも構いません)

2・バターが柔らかくなったら、ゴムベラでまずバターだけを練り、塩とレモン汁を少しずつ加えて都度練り合わせます。一気にレモン汁を加えると分離して全く馴染まないので、少しずつ少しずつ加えるようにしてください。

パセリを加えて練り合わせたら、レモンバターの完成です。使うまで冷蔵庫で冷やしておきましょう。

飲食店の場合は一度に大量に作るので、棒状に巻いて固めたものをスライスしたり、口金で絞り出して料理に添えます。今日は分量が少なくすぐに使いますから、形は問わずそのままボウルの底で平らにならしておくか、ココットに移すなどで構いません。先日100円ショップで見つけたチョコレート用のモールドが大きさも形も丁度良かったので、私はそれを使って固めました。

3・野菜のピラフを炊きます。今回はお鍋で炊く方法をご紹介しますが、炊飯器で炊くこともできますので、作りやすい方法でお試しください。

玉ねぎを7mm角(1cmよりもやや小さめ)に切り、インゲンも同じくらいの大きさに小口切りにします。ます。お米はさっと洗って、ザルに上げて水気を切っておきます。

蓋のできる鍋に〈炒め用〉のバターを入れて弱火にかけ、バターが溶けたら玉ねぎを加えて炒めます。時々混ぜながら、玉ねぎに透明感が出るまで炒めてください。そこへ水気が切れたお米と、インゲンを加え、お米全体にバターのツヤを行き渡らせるように炒め合わせます。

中火にして、水、鶏ガラスープの素、塩を加え、一度鍋底からしっかり混ぜてから蓋をして炊いていきます。(炊飯器の場合は、お米を加えて炒めたところから内釜に移して炊飯してください)

洋風の料理であるピラフのレシピは、市販の洋風スープの素やコンソメで炊き込むものが多いですが、私がよく使うのは中華調味料の「鶏ガラスープの素」です。鶏出汁がベースで、洋風のスープの素に比べて味わいがシンプルなところが他の調味料でさらに味付けしてもくどくなりにくく、大変使いやすいのです。(洋風スープの素は鶏以外に牛や豚のエキスも含まれていることが多く、複雑味が特徴)

そうは言っても普通に使えばやはり中華風味が目立ってきますから、通常の使用量の半量程度に減らして使うのがコツです。

3〜5分ほど経つと蓋の隙間から湯気が漏れてきますので、それを確認したらごく弱火にして、そこから9分炊いていきます。

4・炊飯時間が経ったら火を止めて中をのぞき、水がすっかりお米に吸い込まれていれば炊き上がりです。〈仕上げ用〉のバターを散らして全体を大きく混ぜ合わせたら、あとは蓋をして蒸らしておきます。

バターは使いたいタイミングですぐに使えるように、1cm目安の角切りにしていつもストックしています。溶けが早く、1かけらが約2gになるので、その都度計らなくても量の見当が付けやすくて便利です。

5・ごはんを蒸らしている間に、ステーキを焼きましょう。
にんにくを2〜3mm厚さの薄切りにして、芽は焦げやすいので取り除いておきます。フライパンにオリーブオイルとにんにくの薄切りを入れてから弱火にかけます。にんにくはとても焦げやすいので、冷たい状態から弱火でジワジワゆっくり加熱するのがポイントです。

ほんのり縁が色付いてきたら裏返してさらにジワジワ加熱を続け、徐々に表面が色付き始めたら、そこからは目を離さずに「まだ少し色が薄いかな?」と感じる内にキッチンペーパーの上に引き上げておきます。箸先の感触がフニャっとしていても冷めるとカリッとなり、油から上げても色付きが少し進んで丁度良くなります。

「丁度良い色」と思ってからでは結果色付きが進んで少し焦げたような苦味が出てしまうため、早めを心がけて油から上げるようにすると市販品とは一味違うガーリックチップになりますよ。

6・牛ステーキ肉は、両面に塩こしょうをしっかり目に振ります。あとでレモンバターを添えますが、ステーキソースほどの味のインパクトは無いので、お肉はこの塩味で食べられるくらい強めに振っておくとバランスが良くなります。フライパンに残ったガーリックオイルを中火でしっかり温めてから、表になる面を下にしてステーキ肉を入れ、一度入れたら数分はあまり触らずに焼きます。

焼き時間は厚みによりますが、まず1〜3分程は触らずに焼き続け、上の面に肉汁が滲み出してきたら焼き色を確認して裏返します。裏面の焼き時間も厚みによって、好みの焼き加減で仕上げてください。

7・ステーキが焼けたら、あとはピラフと一緒に盛り付けて完成です。ステーキは気取らず食べやすく切って盛り付けてしまいましょう。焼きたての熱々を切るとたちまち肉汁が流れ出してしまいますので、バットに取って2〜3分休ませることで熱さと肉汁が落ち着いて切りやすくなります。

ピラフの上に食べやすく切ったステーキをのせ、レモンバター、ガーリックチップを添えたら完成です。

ステーキピラフの愉しみ方

まずはわんぱくにステーキからガブリといきましょうか。

豪快な盛り付けとは裏腹にレモンバターの香りがとても爽やかで、すぐもう一口かぶりつきたくなるすっきりとした後味です。ピラフで追いかけると、今度は豊かなバターの香りと野菜の甘さが穏やかに落ち着かせてくれます。塩の効いた食べ応えのある牛ステーキにレモンバターの軽快な風味、そしてピラフの優しさのバランスが絶妙です。

グリーンサラダを並べるとヘルシー感が加わって、より気兼ねなくもりもりと食べられるかもしれませんね。

もしもピラフ自体を具沢山にしたい場合には、初めにチキンやエビをバターでソテーして一度取り出しておき、チキンなら水を加えて炊き始めるときに一緒に加え、エビなど魚介類なら炊飯後に鍋に戻して蒸らすと、固くならずに程良く火が通ります。

休日のお昼ごはんなどにぴったりの懐かしの味わいを、ぜひ試してみてください。

それでは今日はこのへんで。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

いいなと思ったら応援しよう!

美窪たえ|おとな料理制作室
お読み頂きありがとうございます。 これからもおいしいお料理とおいしいお酒をたくさんお届けします。