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『私の推しは悪役令嬢。』の人権感覚がめちゃくちゃで頭が痛い

  • アニメ第1話見た感想→厄介セクハラレズビアンに主人公に意地悪ヒロインとか、2023年のアニメとは思えないキャラクター造形の古臭さに軽く引く。(原作通りとはいえ)

  • アニメ第2話見た感想→女湯で女相手に興奮鼻血表現してるの、アウトでしょ…。もう2023年やぞ…。

 『私の推しは悪役令嬢。』(以下、『わた推し』)はアニメの前からあれこれ述べてきましたが、アニメはまともに改変する気がないようで、とても頭が痛いです。

 下記のはアニメ放送以降ですが。


 驚いたことに、原作『わた推し』は今時こんな恥ずかしいレズビアン表象をしているくせに、同性愛差別をしているモブ相手に説教するんですよねえ。

「ご自分の性的指向がたまたま多数派であったからといって、それがそのまま少数派を攻撃していいことにはなりません。それは単なる数の暴力であって正義ではありません」
「くっ……」
 私の主張にはいくつか机上の空論というか、理想論も含まれている。だが、地球のマイノリティ論で論理武装しているため、旧態依然とした考え方しか持たない彼女に、議論で負ける道理はない。
「理屈はどうでもいいわ!気持ち悪いのよ!」
「結局、そこですよね。生理的な嫌悪感なんです。自分たちには理解出来ない。理解したくない。だから攻撃する」
「それのどこがいけないのよ!?」
「いいですか、それこそを差別というんです。教会の教えは、精霊神の下の平等を謳っているのではなかったのですか? あなたの価値観は、教義に反してはいませんか?」
「!」
 そこまで言うと、修道女は顔を青くした。信仰に篤い修道女ほど、その教義から外れることを恐れる。彼女はきっと敬虔な精霊教徒なのだろう。
「私はあなたを論破したり貶めたりしたい訳ではありません。同性愛者に対する偏見から自由になって頂きたいだけです」
「……」
「理解しろとはいいません。でも、せめて尊重して否定しないで頂けませんか?」
「……あなた自身も同性愛者なの……?」
「はい」
 彼女は攻撃的な色を収めて歩み寄る姿勢を見せた。この修道女は決して悪人ではない。繰り返しになるが、彼女の考え方はこの世界の多くの人と形を同じくする一般論なのだ。彼女はそれを言葉にしたに過ぎない。
「すぐには……無理。でも、あなたが言いたいことは一応、理解出来た。考えてみるわ。反論を思いついたら、またぶつけるかもしれないけど」
「ありがとうございます。十分です」
 それまではらはらしながら見守っていたもう一人の修道女と一緒に、彼女は去っていった。思わぬ時間を使ってしまった。しかもなんだか、私らしからぬ難しい話をしてしまったし。これは早くクレア様成分を補給しないといけない。戻ったらとりあえずクレア様にセクハラしよう。

いのり。『私の推しは悪役令嬢。2』Kindle版 第六章 ユーの秘密 より

――戻ったらとりあえずクレア様にセクハラしよう! 何を表現したいのでしょうか、この作品は。自身が買春した少女相手に説教するおじさんか何かなのでしょうか。

 多少細かいことを述べると、同性愛差別を説教する相手が男性ではなく女性なのも振り幅が減る要素です。もちろん同性愛差別をする女性は世の中に多くおりますが、同性愛というのはジェンダー解体や性の開放に、ど真ん中とまではいかないものの、けっこう関わってきたりします。一般論として女性よりも旧来ジェンダーにこだわりの強い男性相手にやったほうが、その主張は強く伝わるでしょう。


 そんなセクハラに肯定的な『わた推し』ですが、アニメ2話放送後の原作者の発信にも頭を抱えざるをえません。

 いやはやビックリしました、肯定的なセクハラ表現に反感を覚えるのは「色々な価値観や好み」だそうです。虐待の話で、虐待を行う人自身にも過去に虐待を受けた経験があっても一切考慮すべきではなく、虐待は絶対悪だみたいによく言われるものですが、何故セクハラになるとそれが当てはまらないのか私にはよくわかりません。


 とにかく、『わた推し』に関しては人権感覚がめちゃくちゃです。ポリコレ的なものを投げ捨てるアホコメディならまだ許容できたかもしれませんが、そうではないのだから私はとても頭が痛いです。


 本記事で引用した原作小説は上記のKindle版であり、紙版のものではありません。なお、Kindle Unlimited対象となっております。(2023年10月14日現在)

 テレビアニメ版はこの記事を書いた時点で第2話の放送が済んだところです。サムネイルで引用をしているのはスマホでパソコン画面を撮影したので汚いです。

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