とびら
きみが生まれてまもない頃
ぼくもここに生まれた
知ってるかい?
きみとは同い年だったんだよ
ただ 今日でお別れだね
ぼくは粉々になり 屑となる
2度と逢うことはない
きみを初めて見た日
みんな嬉しそうに笑っていたよ
きみが初めてぼくに触れた日
とても とても 小さな手だったな
きみが楽しそうに帰ってきた日
なんだか ぼくも楽しくなったよ
きみが泣きながら帰ってきた日
とても とても 心配したよ
きみが怒りながら出ていった日
なにもしてあげられなくて 悔しかったよ
きみが寂しそうに出ていった日
とても とても 大きな手だったな
そういえば
久しぶりに帰ってきた きみの腕の中には
なぜか あの日のきみが眠っていたね
ぼくには よくわからないけど
とても とても 嬉しくなったよ
ぼくは たくさんの きみを送り出した
ぼくは たくさんの きみを迎え入れた
すべて 昨日のことのように 覚えている
すべて 今日の日に 終わってしまうけど
『また どこかで 逢えるといいな』
『また どこかで きみに逢いたいな』