二人の時間

トントントントン 

まだ 薄暗いのにだれだろう

「はい どちらさま?」 

「わたしは朝といいますが
 こちらに夜さんはきていますか?」 

「ああ きていますよ」 

「どうぞ」 

「いや ここで結構です すぐ終わりますから」 

「夜さーん」 

「はーい?」 

「お客さんですよ 朝さんが来てますよ」 

「おっと もう そんな時間か」 

夜は ゆっくりと立ち上がり

そのまま 朝の近くまでいくと

コソコソと 何かを囁きはじめた 


ニコリとすると 朝と夜はこちらを向いた


「それでは わたしたちは これで失礼します」  


「ええと お気をつけて」 


朝と夜は おじぎをすると いそいそと出ていった 




ドアも閉めずに 出ていった

開けっ放しの ドアの外  

二人の時間が 混じり合う

はずかし気もなく トロトロと

また 明日 と 溶けていく




#詩 #自由詩 #こころのなか #言葉屋
#朝 #夜  

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