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【22.楽典のこと✏️】臨時記号・調号・長音階

今回は臨時記号としての、あるいは調号としてのシャープ・フラットとナチュラルを解説します。

臨時記号の種類

今回の記事では上記の3種類の記号を主に扱っていきます。難易度の高い曲になってくるとまた2種類ほど増えますが、今回は解説に含みません。

上記の臨時記号は読んで字の如く臨時に付けられる記号です。音符の左側についてその音に変化をもたらします。その変化とは「半音上げる」「半音下げる」「変化した音をもとの高さの音に戻す」という具合に変化をもたらします。ではその半音とは何でしょうか?

全音と半音の関係図

半音というからには対になる全音という言葉があるのですが、これは音と音の関係です。鍵盤があるとよく理解できると思いますので、鍵盤と照らし合わせてみてください。「あ」と「い」の間には黒鍵があります。また「い」と「う」の間にも黒鍵があります。このような場合に「あ」と「い」、「い」と「う」の関係は全音であると言えます。「う」と「え」の間、「き」と「く」の間には黒鍵はありません。このような場合の「う」と「え」、「き」と「く」の関係は半音であると言えます。この半音の関係というのが臨時記号で半音上げる・下げるというときの半音と言えるのです。
半音ずつ上行する時の音の進み方は、
「あ」「た」「い」「ち」「う」「え」「つ」「お」「て」「か」「と」「き」
半音ずつ下降する時の音の進み方は、
「き」「と」「か」「て」「お」「つ」「え」「う」「ち」「い」「た」「あ」
になります。
半音上げる・・・鍵盤の右方向に一つ鍵盤を上げる
「あ」の音にシャープが付いているならば「あ」の代わりに「た」を弾くことになります。「あ」のすぐ右隣の音は「い」ですが、「あ」と「い」の音の関係は全音ですので上げ過ぎていることになります。また「う」の音にシャープが付いているならば「う」の代わりに「え」を弾くことになります。「う」のすぐ右隣の音は「え」ですが、「う」と「え」はそもそも半音の関係でしたのでそのまま「え」を弾けば良いのです。
半音下げる・・・鍵盤の左方向に一つ鍵盤を下げる
「き」の音にフラットが付いているならば「き」の音の代わりに「と」を弾くことになります。「き」のすぐ左隣は「か」ですが、「き」と「か」の音の関係は全音ですので下げ過ぎていることになります。また「く」の音にフラットが付いているならば「く」の代わりに「き」を弾くことになります。「く」のすぐ左隣の音は「き」ですが、「く」と「き」はそもそも半音の関係でしたのでそのまま「き」を弾けば良いのです。


臨時に付けられた記号はどこまで効果が持続するかについては特別なルールがありますので譜例とともに解説します。

臨時記号の解説譜例

①ト音記号やヘ音記号のすぐ右隣に書かれている記号は臨時記号とは少々意味の異なる記号です。形は臨時記号と全く同じものですが、こちらの記号は調号と言われるものでその曲が何調の曲であるのかを意味します。(調号につきましてはこの記事の後半で解説します。)調号で書かれている記号はこの譜例ではシのフラットです。調号で書かれている記号は五線のどこの位置に書かれたシの音符にも有効です。譜例のようにト音記号で書かれている楽譜が途中でヘ音記号に変化したとしてもシにフラットが付くことは変わりありません。
②1拍目のファには何も付いていないのでファを弾きますが、2拍目のファにシャープがついていますのでこのファは半音上げてファのシャープを弾きます。次の3拍目のファは2拍目のファにシャープがついたことによりシャープの効果が続いています。臨時記号はその小節内有効なのです。演奏する方向が楽譜の左から右に進んでいきますので2拍目のファにシャープがついていても1拍目のファには何ら影響しません。そしてシャープがついている小節を過ぎると効果がなくなりますので、次の小節のファは何もつけないファになります。
③2拍目のシにフラットがついていますので4拍目の裏拍に当たる1オクターブ上のシにもフラットをつけたいところですが、こちらのシは何もつけないシになります。臨時記号は1オクターブ以上離れている音には効果がありません。
④2拍目のシにフラットがついています。3拍目の裏拍のシはヘ音記号となっていますが、2拍目のシと同じ高さのシであることから1小節内有効でフラットのついたシになります。
⑤タイで繋がった二つの音は繋いで弾くことになっていましたね。ですから臨時記号は1小節内有効でしたが、繋がれている間はシャープのついたファを弾くことになります。しかしタイが終わって、小節も新しくなっていますので、2小節目の2拍目ファは何もないファを弾きます。


調号のお話に入っていく前に、全音・半音の関係を思い出してください。
初めの関係図で示した通り、
あいうえおかきく=全音 全音 半音 全音 全音 全音 半音
という関係でしたね。
このあいうえおかきくをそのままドレミに置き換えてみますと
ドレミファソラシド=全音 全音 半音 全音 全音 全音 半音
となります。これがハ長調となります。

長音階の作り方 ト長調


長音階の作り方 ヘ長調

ト長調・ヘ長調の作り方として示した通り、全音・半音の関係は非常に重要なポイントと言えます。この全音・半音の並びは長音階であれば必ずこのような並びになります。(短音階の場合はまた違ったものになりますので次回以降に改めて解説します。)
ト長調であれば必ずファにシャープが付きますし、ヘ長調であれば必ずシにフラットが付きます。では文字ではなく、これを楽譜に起こしてみましょう。

ト長調・ヘ長調の楽譜

この譜例では1 オクターブ分しか示しておりませんが、どこの位置に書かれていてもト長調であればファにシャープが、ヘ長調であればシにフラットが必ずつきますので、一括して(という言い方はどうかと思いますが😅)ト音記号やヘ音記号のすぐ右隣の位置にシャープやフラットの記号を書いてこの曲がト長調・ヘ長調で書かれているものだと示すことができるのです。これが調号です。そして調号で指示されたシャープやフラットは楽譜の中の音符の左隣には書かれないことになります。ですから調号で書かれたシャープやフラットの音を見逃さないように注意しながら演奏する必要が出てきます。調号として書かれるシャープやフラットの書き方にも決まりがありますが譜例の通りト長調・ヘ長調の場合はあの形になります。シャープやフラットが2つ、3つと増えていくときの決まりもありますのでこちらも徐々に学習されると良いでしょう。


今回の記事は頭が混乱してきそうな内容でしたね。一回で理解できないこともあるかとは思いますが、ゆっくりでも理解してほしいと思います。何調の曲かがわかっていると譜読みにも役立ちますし、調性によって曲の雰囲気が違ってきますので曲を理解するのにも重宝するでしょう。長音階のみの解説でしたが、短音階の解説ではまだまだ複雑になってきますので、皆様によくご理解いただけるように私も勉強しなおしております。ご一緒に学習してまいりましょう。最後までお読みいただきありがとうございます☺️次回もよろしくお願いします🙇‍♀️

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