見出し画像

おとなのきろく VOL.1 さきさん



カフェ ケシパールにて

さきさんのはなしを聴きたいと考えたきっかけ

おとなのきろく、初めてのお相手は神戸出身、神戸在住のさきさん。
会社員であり、パートナーと共に2人のお子さんを育てる母親でありながら、「子どもたちの未来をより、幸せにするため、モンテッソーリ教育を伝えていきたい」という熱い気持ちを持っています。

美味しいチーズケーキのお店でマリアージュしてくださったコーヒーと共に聴かせて頂きました。

筆者とさきさんの出会いは、筆者が働いている、おやこの世界をひろげるサードプレイス PORTOという有料の遊び場施設にお子さんと遊びに来られていて、よく顔を合わせるようになったことがきっかけでした。

当時育休中だったさきさんから、筆者も経験している『育休』をテーマに参加者の皆さんと育休だからこそ抱える、”ぐるぐる”や”もやもや”を話す育休トークをご提案頂き、約1年半、延べ30人の方々とお話する機会を作ってきました。そして、この春、さきさんが職場復帰される前に、さきさん自身のこれまでとこれからをインタビューを行わせて頂きました。

育休トークはこんな雰囲気で。

弁護士になりたかったけれど

祖母の繋がりから、家族ぐるみでお世話になっていた、いわゆる”まちべん”である弁護士さんとの関わりを通して、かっこいいーという印象から、高校生の頃より自身も志すようになりました。

もともとリサーチすることが得意なさきさんは、法曹界を目指す上で進学するならどの大学がよいかを調べて、志望校を定め、勉学に励みました。

無事、憧れていた志望大学の法学部に進学。
しかし、その大学は関西圏の法曹界を目指す学生がこぞって通っていたことから、ハイレベルな学生たちと肩を並べて学びながら、その中で一握りのみがその先へ進むことを許される狭き門であることから、この世界の厳しさを肌で感じる日々を過ごしました。

憧れの大学生活と両立させる難しさ

必死に食らいついて学ぶ中で、母の病気が発覚。
その時点で余命半年との診断を受け、母子家庭だったさきさんは、入退院に付き添うなど色々と慌ただしく過ごしているうち、少しずつ大学へ足が向かなくなってしまいます。

それでもなんとか周りの力も借りながら、法学部の学生と、バイト、母の看病、そして家事に奮闘する日々を続けていきますが、母との時間を少しでも長く過ごしたいと考え、きっぱりと大学3年で中退。その後、看取ります。

当時、さきさんは21歳。
若さも相まって、周りに迷惑かけたくない。また同じような経験をした友人もいないし、心配かけたくない、弱い自分を見せるのが怖い。
「わたしは一人で生きていかないといけない」と奮い立たせるとともに、
「わたしは大丈夫。」といつも自己暗示を掛け、
「これがやりたい」よりも「学歴がなくても、収入が安定的にもらえるところ」を選択して、就職しました。

会社員として、ひとりで生きていく。


契約社員から正社員、とキャリアアップをしながら、寂しさ、悲しさを押し殺して、どんどん仕事に没頭していきます。

そんなとき、身体に異変がおきてしまいます。

ある日突然、コンビニのおにぎりを食べて嘔吐してしまいます。原因を突き詰めていくと、添加物が合わないことがわかり、自分の身体には合わない食べ物があるのかもしれない、ということを知りました。

これまでは朝まで遊んで、翌日朝から仕事でも、全然平気だったさきさん。身体そのものも強いし、メンタルも強い、と考えていたそうですが、その当時、転勤した先が激務な状況であったこともあり、心身ともにボロボロになるのに、身体がどんどん太っていくことの違和感や、体質的にむくみやすいことなども気になるようになり、得意のリサーチ力で次は自分の深堀りを始めます。

心身ともに健康なわたしを探して

この日のランチは豆腐屋さんにて

心身ともに健康な自分の身体やメンタルを保つためにはどんなものを食べてどんな生活をするのがよいのか。
このままでいいのか?自分の人生どうしたいのか?社会人になってからずっと走り続けてきて、初めて旅行に行ってみたり、時間を見つけて本を読んで考える日々を過ごしていました。

自分の心と身体について少しづつ見えてきたころ、職場の先輩に無理矢理参加させられた、婚活パーティで、同じく無理やり連れてこられた、パーソナルトレーナーをしている現パートナーと知り合います。

ちょうどその頃、自身でもパーソナルトレーナーを探していたこともあり、生徒と先生という関係から、いろんな話をするようになります。

さきさんとは物事の捉え方が異なるパートナーは、悩みもポジティブに還元してくれ、心も身体も健康に変わっていくのを感じたそうです。

こうして、公私ともにさきさんのサポートをしてくれるパートナーと結婚、第1子を妊娠します。

自分のやりたいことはこれかもしれない


2020年、ちょうどコロナ禍での妊婦生活、長い産休がスタートします。
急にたくさんの時間が出来たさきさんは、育児について知らないことがないようにするため、ここでも得意のリサーチ力を発揮して、たくさんの本を読んで知識をたくさん詰め込みます。

こどもたちに自分と同じ思いをしてほしくない

特に、さきさん自身が睡眠障害気味で辛かった経験から、自分の子どもに対して、おとなが管理しているうちは、生きていくために必要な力を身に付けさせたい、と考えるようになりました。

自分で寝る力を身に付けられるようにするにはどうしたらよいか、
また、自身の体質に合わない添加物との向き合い方から、子どもにとって身体にやさしい食べ物を調べて考えたり、と一生懸命子育てに励み、大切に思うがあまり、プラン通りに育児が進められるよう、どんなタイムスケジュールでこどもと過ごすかなどをパートナーとも共有しやすいようにノートに記載し、その通りに過ごすことを自分に課すようになりました。

そうして、産後2.3ヶ月が経った頃、ホルモンバランスの影響もあり、メンタルが崩れてしまいます。パートナーと共有しているはずのプラン通りに物事が進まないことに対してイライラしたり、日常のいろいろが嫌になってしまう。

そんな状況で悩みながら過ごしていたさきさんは、お子さんが10ヶ月の頃、ふと冒頭の遊び場施設へ遊びに訪れました。

そこで、筆者を含む、常駐している保育士や子育て中のおとなの方々と話したり、子どもたち同士で関わりあい、刺激を受けている様子を見て、
「子どもを育てるって教科書通りにすすめなくていいのか!」と感じるのと同時に、「わたし、子どものことを見ていることが好き。今後子どもたちが幸せに過ごせる未来を作りたいな」と考えている自分がいることに気が付きました。

子どもが生きる未来をよりよい環境にするために

自分のやってみたいことが見えたら、またリサーチ力。
自分はどんなことが伝えたいだろう。
数多ある教育、子育て、育児の考え方を読んだり、聴いたりした中から、さきさんが出会ったのは、モンテッソーリ教育でした。

「子どもには生来、自立・自律(発達していこうとする力、自己教育力)があり、その力が発揮されるためには発達に見合った環境(物的環境・人的環境)を整えていくこと」が必要である、というメソッドに惹かれ、
第2子を妊娠中に半年かけて、国際モンテッソーリ協会(AMI)のアシスタントの資格を取得しました。

そしてモンテッソーリ教育を学んでいた同志とオンラインコミュニティで知り合い、2024年現在一緒に教室を作る準備を始めています。

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

【取材後記】
今回が初めての「おとなのきろく」。
これをいつかやってみたい、と考えていたものの、自分に出来るだろうか、や、こんなことに本当に意味があるのか、と悶々としていたところ、
2023年の最後に「育休トーク」を開催した際に、来年度の目標を話そう、という流れから、この「インタビューをしたい」という言葉をいいと思う!と応援してくれたことがきっかけでした。

宣言したら、やるしかないなと腹が決まって、インタビューし、何度も推敲して今回の記事になりました。

筆者がインタビューしてみて考えたことは、信念に基づいた行動はきっと人に届く。そして、それをわたしは信じたい。という考えでした。

さきさんの育児に対する向き合い方や、モンテッソーリを伝えていきたいという思いには、自身の経験が根付いていることがわかり、子どもたちに対して、いつも丁寧で一生懸命な姿に納得がいきました。

誰かがやっているから、とか、流行っているから、とかではなく、
さきさんなりのエビデンスがあって、日々の子育てに向き合っていることがわかると、さきさんの言葉や行動に説得力が増すというか、向いたい道に立てたフラッグがしっかり深く根付いているなという実感しました。

誰かが何か行動を起こしたとき、経験年数や場数で評価されることが多く、筆者自身もその人がどんな資格を持っているのか、など、持っているもので判断してしまうことがあります。
また、どんな仕事もPCやスマホがあれば、小手先でなんでもできてしまうし、何ならAIがやる方が早いことも実際にあります。

それでも、人の心を奥底から震わせるのは、やっぱり人の本気で深さや熱さ、重さだとわたしは信じたいです。

コスパ、タイパなどと言われる世の中ですが、こういう熱くて本気な人と出会ったこと、感じたことはしっかり残ると思うから、その方がどうしてこの考えに至って、この行動をしているのか、わたしが聴き伝えたい、残しておきたいんだということにも気付きました。
最後になりましたが、さきさん。
このような機会を頂き、本当にありがとうございました。
今後さきさんがさきさんなりのやり方でモンテッソーリ教育を伝えることで、一人でも多くの子どもたちの未来が幸せに輝くことを心から願っています。(みほ)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?