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そこのあなたもデジタルレイバーなのよ!
ゆるりゆるりと非定型業務従事者に関する研究をしている私としては、ちょっと気になることがありました。
オフィスにおける事務作業などの定型業務を自動化するソフトウェア(RPAなどですね)周りの話題で、数年前からデジタルレイバーという用語が使われているではありませんか。
むむ、、、
本業で、業務改革・業務改善系、自動化系のソフトウェアを扱っていたりもするし、気になってしまった。この話はほっておけないぞ!
と思って、ちょっと調べてみたら、デジタルレイバーを部下にする云々、という書籍まで出版されちゃっているじゃぁないですか(RPA推進本のようなので読んではないですけど)。
そうなると、やっぱり、セットで上司はAIでしょ!
とか思ってしまう。自分も管理職なわけですが(笑)
「もう、管理職もAIで良いんじゃない?」
「やっぱり、AI上司よね」
なんて言って、周囲には結構白い目で見られているのですが。。。。
話がそれましたが、こっちの研究(AI上司についての深堀り)ではなく、今回の話題は、デジタルレイバーですよ!
デジタルレイバーってなんのこと?
まず、日本語サイトを調べてみました。
次のように説明されていました。
RPAに代表される自動化ツールにより産み出されたソフトウェアのロボットを労働力として扱う考え方です。 これまでホワイトカラーと呼ばれる労働者が行ってきた作業を、ロボット(デジタルレイバー)に任せることで、企業の生産性を大きく向上させることが期待されています。
デジタルレイバー(digital labor)とは、「仮想知的労働者」のことを指します。しかし、労働者といっても人間ではなく定型作業を自動でこなしてくれるロボットのことを指します。
メールの送受信
Web上のデータ取得
給与管理
伝票整理
予算管理
などの、バックオフィスを中心とした業務には非常に効果を発揮します。
そう、事務ロボットか、という話ですね。
つまり、日本語のデジタルレイバーは、これまで人がやっていた定型業務をデジタル化(というか自動化)することを意味しているようですね。
ちなみに、noteでも「デジタルレイバー」をキーワード検索してみました。
37件の記事がヒットしました。ざっくり眺めるとやはり、RPA絡みの内容のようです。
ただですね、海外論文でDigital Labor (or digital labour) は、上に書いたような、そのようには定義されてませんのよ。
では、世間では(グローバルには)どんな議論がされているのか気になりませんか?
Digital Laborの定義
Digital Laborは、例えばこのような定義です。
「本業の合間にプラットフォームベースのビジネスモデルに取り込まれ価値を生むような一連の人間による活動」(Fumagalli et al., 2018)
また、こちらはわかりやすいかなあ、と思う定義。
「インスタグラムやFacebookのようなソーシャルメディアへの投稿により価値創造するようなオンライン活動」(Paakkari et al., 2019)
つまり、
そう、このnoteを読んでくださっているあなたも、既にデジタルレイバー、という話なのですよ。
ちょっと面白い話題
文献を見ていて、何だろう。。。と引っかかった、ちょっと面白い話題も紹介します。
インターンとDigital Laborは似ている、という主張です。どうも、やりがい搾取の話のようで、面白いというか、怖い話ですかね。
「インターンとデジタルレイバーは、どちらも未来志向の投資活動のように見え、彼らは、経験+露出=雇用機会という想定で投資をするのである」
「しまいには、どちらも搾取と自己犠牲を助長する条件下での活動をするのである」(Corrigan, 2015)
そもそもの考え方の違い
最近の学術的な文献を見てみると、Digital Laborの定義はビッグデータを活用する壮大なビジネスモデルに価値提供する活動(労働)ととらえていることがわかりました。
何か自分にとっての良い経験や価値と信じて行う行動が、知らず知らずに壮大なビッグデータを活用したプラットフォームビジネスへ貢献しているというものなんです。
Facebookを始めた頃は、個人情報を提供する点は随分と気になったものですが、ここまで、ソーシャルメディアが浸透してくると、どうでしょうか。
投稿自体へのためらいはもう殆ど無くなってきました。
閲覧履歴から、お薦め記事が出てくる、購入履歴からお薦め商品が出てくる、なんていうのは、分かりやすいのですが、ビッグデータは、コンピュータ処理能力が向上すると新たな価値を生む可能性があります。
私たちは、そういったビジネスモデルを想定したプラットフォームにもう乗り込んでしまっている訳ですね。
最後に
菅政権発足の時期に書いた記事ということで、覚え書き。
デジタル庁新設、というニュースが流れています。
日本ではデジタルレイバーとは、デジタル化=自動化 という視点で人の代わりに働く(=ロボット)の話をしていることが分かりましたが、デジタル化は、価値創造につながるモデル無くしては成り立たない、という本質の話になってしまいました。
ガンバレ日本!
引用文献:
Paakkari, A., Rautio, P., & Valasmo, V. (2019),"Digital labour in school: Smartphones and their consequences in classrooms Learning", Culture and Social Interaction, 21, 161-169.
Fumagalli, A.; Lucarelli, S.; Musolino, E.; Rocchi, G. (2018), ”Digital Labour in the Platform Economy: The Case of Facebook”, Sustainability 2018, 10, 1757.
Corrigan, T. F. (2015), "Media and Cultural Industries Internships: A Thematic
Review and Digital Labour Parallels" Triplec, 13(2), 336-350.
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