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自分のボードゲームをボロカスに言われた日。
このnoteは「ボドゲのことを全く知らなかった僕が、いきなり全財産をかけて、ボードゲームを作って売る」というアホな製作過程を、ほぼリアルタイムで書いているので、ぜひ面白がっていただけると嬉しいです!
前回の話から見たい方はこちら!
最初から見たい方はこちら!
(この話は6話目ですが、ここから読んでも問題ない内容です!多分!笑)
ボードゲームの試作品を作り、何度か友達にプレイしてもらって自信のついた僕たちは、初めて外部のテストプレイ会に向かっていた。
このテストプレイ会は参加者全員がボードゲーム制作をしている方で、いうならば僕たちの大先輩達の集まりにお邪魔しに行くという感じだった。
「プロから見て、僕たちのボードゲームってどれくらい面白いのかな?」
「ボドゲ作っている人達ってどんな感じなんだろうね」
道すがら、僕たちはそんなことを話しながらドキドキとワクワクが織り混ざった気持ちになっていた。当然不安はあるものの、これまでのテストプレイ会での友達からの評価が高く、僕は正直少し調子に乗っていたのだ。
会場に到着
「「こんにちはー!今日はよろしくお願いします!」」
僕たちはお昼から参加したため、午前中から始めていたみなさんのお昼休憩のタイミングで合流することができた。
主催の方とみなさんに挨拶を済まし、お昼休憩が終わるのを待っていたところ、なんと午後イチバンのテストプレイは僕たちのゲームからだった。
まずは他の方のゲームをプレイして、どんなものなのか様子見ができるのかなと思っていたので、急に緊張感が増したが、それでも当初の自信はまだあったため、意を決してゲーム開始の準備をしていった。
そして前に自分で開催したテストプレイ会と同じく説明書を配り、僕たちからの説明は極力行わないように様子を見守った。
…
……
説明書を読むにあたって一瞬の静寂な時間が流れる。
「みなさん大丈夫そうですかね?じゃあ始めていきますか。」
主催の方の、淡々とした合図から僕たちのゲームは開始されていった。
「…え?」
僕は思わず声が出てしまった。
あまりにも淡々としていて気づかなかったが、説明書を読んでからゲームを把握するまでの時間が早すぎたのだ。
これまで友達とプレイした時は、質問を受けたり、ある程度の時間をかけてルールを把握してもらっていったのに、ものの数分でみなさんルールを把握しているみたいだった。
ほんの些細なことだったが、一瞬で「ここにいる全員がプロなんだな」ということが感じられ、背中にひんやりと汗が流れた。
そして着々とゲームが進行していく。
そう、着々と進んでいくのだ。
これは悪い意味での「着々」だった。
ゲームには製作者が考える「盛り上がりポイント」があると思う。
ババ抜きで言うところのババを引いた瞬間や、そのババを誰かに渡す瞬間などだ。
僕たちが作っていたゲームは正体隠匿と言われるジャンルで、嘘をつきながら敵を出し抜き、自分たちのチームが勝利するようにコマを進めていく…といった内容だ。
僕たちの考えていた盛り上がりポイントとしては
「敵に正体がバレる」
「勝利を確信した瞬間に味方だと思っていたプレイヤーから裏切られる」
「これまでの形勢がひっくり返る、大どんでん返しが起こる」
あたりを考えてゲームを作っていた。
しかし、このテストプレイではそういった行動が起きなかったのだ。
言うなればババ抜きで、ババを持った最初のプレイヤーからババが移動せず、そのまま全員のカードが捨てられてゲームが終了した…そんな感じのことが起きたのだ。
これは運の要素もあるし、僕たちのゲームの作りの甘さでもあった。
これまで行ってきたテストプレイとは違う展開に焦る僕…
そんな僕の焦りとは裏腹に着々と進行していくゲーム…
そして最後まで大した盛り上がりポイントを迎えることもなく、予定よりも早い展開でゲームは終了してしまったのだった…。
ゲームの感想戦
「今のシステムだと、ゲームが終わらないケースがあるので、その修正が〜〜」
「カード宣言のタイミングだけど、今は手札を見てからなので〜〜」
「今は手札4枚だけど、たとえば山札を無くして全て手札にしてみれば〜〜」
ゲーム終了後から、間髪入れずに色んなフィードバックが飛んできていた。
これもまた、友達とやったテストプレイとは違う驚いた点で…
面白かったのか
つまらなかったのか
こういった感想が一切なく、よく言えば真剣に、悪く言えば淡々と、ゲームをよくするアイデアや意見が飛んできた。
これはその後の他の方のフィードバックを見ていても同じだったので、こういうものなんだろうなと思う。
ただ、この時はまだ他の方のゲームを見ていなかったので、何も感想を言われない状況を悪い意味で受け取ってしまっていた。
というのも、僕も今のプレイには参加していたわけだが、製作者の僕ですらこの1回のプレイではあまり面白さが感じられなかったのだ。
「なにも面白くない」
言われてもいないそんな言葉が頭をよぎる。ただ皆さんはゲームをよくするために真剣に協力してくれているんだと思い、出てくるフィードバックを全て活かそうと前向きにメモを取りながら聞いていた。
聞いていたのだが…
…
……ついに来たのだ。
「◉◉××□□△△〜〜」
敢えて詳細は記載しないが、とある方から結構キツい発言が出ていた。
ストレートに「つまらない」と言われているわけではないが、遠回しに、鼻で笑うような形で、心にくる言い方をされたのだった。
この文章を記載している今となっては冷静に考えることができているが、これを言われた瞬間の僕は…
これほどのことを言われるくらいに、僕のゲームは面白くなかったんだ…
僕たちはまだゲームを出すレベルになっていないんだ…
恥ずかしい…。
…早く帰りたい。
……。
段々とそんな気持ちになっていた。
鋭い刺し傷の入ってしまった僕の心では、他の方の善意の改善案さえも、「面白くないんだぞ」と突きつけられている感覚になってしまっていた。
最初は井の中の蛙で調子付いていた僕だったが、今はポッキリ心を折られてしまい、表には出さないよう振る舞いながらも明らかにテンションが下がってしまったのだった。
そして少しの休憩を挟み、他の方のゲームのテストプレイをしたり、雑談をしたりしてその日はお開きになったのだ…。
振り返り
この日の僕の感情としては、かなり酷評を受けた…そんな気持ちだった。
ただ、その後メンバーと改めてメモを見返しながら反省会をしたところ、決してそんなことはなかったのだ。
ある方の言葉がキツかっただけで、他の方の意見はゲームをより良くするために言ってくれているとてもタメになる内容だった。
どんなところにも言い方が上手ではない人はいるものだと思う。
その人の言葉に振り回されすぎては正確なモノの捉え方はできないと思うので、そこはもっと冷静に切り替えられたら良かったなと今は振り返れる。
また、この内容を読んで「テストプレイ会って殺伐とした怖いところなんだ…」と思われた方には、そうではないよ、ともお伝えしたい。
文章が長くなるので割愛したが、僕のテストプレイの後の時間には他の方と交流したが、とても気さくで良い方ばかりだった。
冷静に振り返れば、僕のゲームに向けられた意見も前向きなものばかりだったし、
その後の交流ではゲームの作り方の話…
デザインをするにあたっての生成AIの話…
販売部数や金額の決め方など…
かなりタメになる、ここにも書きたい内容が盛りだくさんだったのだ。
なので総括としては、お世辞抜きで参加して本当に良かったと思うし、ボードゲームを作る人なら必ずテストプレイ会は参加すべきものだと胸を張って言えるものだった。
テストプレイ会の翌日
そんな風に、僕は冷静になって振り返りをできていた。
あくまで傷ついたのは1人の方が言葉が鋭いタイプだっただけだ。
…
だけだが…
このままでいいわけがない。
まず、ゲームを進めていくにあたって「盛り上がりポイント」が発生しなかったことは、僕たちのゲーム作りの甘さだ。
発生しない可能性があったとしても、それこそババ抜きでババが最後まで回り切らないくらいの確率にしておく必要がある。
そしてプロの方から出てきた意見から、改善箇所はたくさん見つかった。
凹んでなんかいられない。
だって、もっと面白くなることがわかったのだから!
ある種、最初のテストプレイ会で痛い目を見て良かったと思う。
僕の反骨精神に火がついていた。
他の方のゲームをプレイしたり、客観的に自分のゲームを見てみた自己評価として、僕たちのゲームは面白いと思う。
ただ…それではダメなんだ。
僕が目指しているのは「面白いゲーム」ではなく、
「最高に面白いボードゲーム」
70点の出来ではなく、有名なボードゲームに並ぶような100点…いや、120点の面白さを叩き出したいのだ。
身の程をわきまえない、調子に乗った目標かもしれないが、モノ作りをするものとして、この気持ちは忘れてはいけないなと感じた。
そこからは、ひたすらに改善案を考えた。
ご飯を食べている時やお風呂に入っている時、布団に入った時にも常に頭では
「どうしたらいいんだろう…」
ということを考えていた。
結果アドレナリンが出て眠くならず、布団から飛び起きて夜通し案を書き出したりした。
ちなみに…
このアドレナリンと夜のテンションでできた改善案は、すで元の内容とは全く違うゲームと化してしまい、新たなゲームが誕生したのだった笑
そんなこんなで修正をどんどん出しながら
「これは完璧だ!!」
と思っては
実際にテストプレイしてみて
「全然良くないじゃん!」「なんでだよ!」
ということを繰り返していった。
どんどん元のゲームから離れていって、また一周して元の内容に戻る…そしてまた改善案を考える…
そんな不思議な体験をしていた。
そして…
考え抜いた改善案がある程度固まった段階で、僕たちは2度目の外部のテストプレイ会に申し込んだのだった。
2度目のテストプレイ会
今回参加したのはボードゲームカフェの店長さんが開催しているテストプレイ会だった。もちろん前回とは参加者も場所も違うが、前回と同じ方もいた。
この方は前回のテストプレイ会で鋭い言葉をかけた方ではなく、かつ前回は別の卓にいて僕たちのボードゲームをプレイしていない方だった。
「お久しぶりです!!」
と元気よく挨拶を済ませて、いざ第2回のテストプレイが始まった。
今回はルールを多少変えたこともあり、僕自身の口から説明を行った。
「〜〜って感じのゲームなんですけど、みなさん質問とかありますか?』
「「オッケーです。」」
やはりボードゲーマー達のルールの理解度は速すぎる。
改めて驚きと感心をしながらゲームが開始された。
…
…ゲームが着々と進行していく。
ただ…
今回の「着々」はとてもいい着々だった!!
全員が各々の目的に沿って、ある人は嘘をつき、ある人は正直なのに疑われながら…
あーだこーだ言い合って楽しくゲームが進んでいた。
そして僕たちが改めて考えていた盛り上がりポイントも何度も発生し…
「じゃあここでこのカードを使いますね!」
「「……!?!?!?」」
特大の裏切り、大どんでん返しも起きたのだった。
僕はゲーム終盤まで優勢だったのだが、この裏切りによって最後は負けてしまったのだ。
そんなこんなでゲームは終了し…
ついに感想戦に入った。
僕からは恐る恐る…
「まずは率直に面白いのかどうか、忖度抜きの感想をいただけると嬉しいです…!」
と質問をした。
すると前回のテストプレイでもお会いしていた方が
「私はそもそも正体隠匿が苦手で、誘われても私以外でやってね〜というくらい苦手なジャンルなんですが…」
「このゲームは面白かったです!最後のどんでん返しとか超盛り上がりました!」
という意見がいただけたのだった。
この意見を皮切りに他の方からもどんどん意見が集まり
「パスの際のデメリットはいろんなパターンがあって…」
「敵を推理するのは、逆に自分も推理される危険もあるから…」
「どんでん返しが起きやすいカードをもっと入れても面白くなりそう…!!」
など、どの方も愛や気遣いに溢れる方ばかりで、前向きに、良い意見がたくさん集まった。
最後は皆の発言が止まらなくなり、主催の方から一旦ストップがかかったくらい、良い意見の応酬が起きたのだった。
参加者の中には、なんと2000部を超える大大ヒット作を生み出している方もいて、その方からも翌日DMにて「面白かったので期待してます!」というとても嬉しいご連絡もいただけたのだ。
もちろんゲームとしてはまだまだ改善を続けていくが…
今回は大成功と言っても問題なかったと思う。
第1回のテストプレイ会の悔しさのおかげでここまで自分のゲームに向き合い、練り直すことができたし、最高に面白いボードゲームに1歩近づけたんだと思う。
今後も発売ギリギリまで改善は続けていき、絶対「最高に面白いボードゲーム」を作るんだ!と心に決めたのだった。
…そして
時は少し遡り、テストプレイと同時に進めていた重要な仕事があった。
それは…
デザイナー探し。
実はテストプレイをしていく中でも、先輩方から生成AIのことやデザインのことは色々聞いていた。
中にはそこまで売り上げに関わってはこないという意見もあったが、個人的にはとても大事なことではないかなと思っている。
僕たちは「最高に面白いボードゲーム」を作るために、どんなデザインがいいのだろうか…
どうやってお願いしたらいいのだろうか…
色々話し合い、考えていた。
そう、色々話して考えてはいたのだが…
まさか…
まさかこの時は、あんなにもすごい、有名デザイナーさんに出会えるとは、夢にも思っていなかったのだ…。
…続く。
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