「まだ早いと思うんじゃがのう」
おとうは一足先に向こうで待ってる。
荷物もまとめておいた。
引っ越し屋さんが明日には届けるって。
忘れ物はないと思うが、あればあとで届けるから、おかあは何も心配することねえ。
特老姥捨山。
ここらへんで一番人気の永住型コンドミニアムだあ。
おかあもやっと六十。ついに入居できる年になった。
でもまだ六十。人生半ばをちょっと過ぎたくらいだ。
まだまだこれから。
楽しんできてけろ。
※童話『姥捨て山』は60歳になると山に捨てられてしまうという物語。
寿命が延びた現代社会。
作者が今に生きていたら、いくつで山に捨てることにするだろう?
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