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あの絵日記はもう描けないのですか?

 かつて、沖縄の子は日中の暑を避けて、陽の落ちた夜の涼で遊ぶと聞いた。エアコン普及黎明期のことである。
 今や東京のほうが当時の沖縄より暑い。だが、夜に外で遊ぶ子なんて見かけたことはない。エアコンが普及したこともあって、東京の子は外では遊ばない。ましてや夜に外だなんて危険極まりない。身の危険は太陽ばかりにではなく、人為的に引き起こされるーーそっちのほうがはるかに怖い。このような理由から、灼熱の屋外からばかりでなく、人から伸びる魔の手を避けるために屋内で遊ぶ。

 時代は本のページをめくるようにして、物語を少しずつそれでも確実に前に進めていく。ページの先にはいつだってあと戻りできない進展が待ち受けている。

 そこに陽に焼けたランニングシャツ姿の子供はもういない。

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