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猫の足。

「猫の手も借りたい猫の手は、痒いところに届かない手だけど、それでもかまいませんか?
 痒いところに届くのは、手じゃなく足なんですけど。

 猫の足でよろしければ、貸しましょか?」

 狐につままれたような、とは聞くけれど、猫につままれるような出来事に出会うとは思ってもみなかった。

 猫が賢くなったのか、人がおばかになったのか。それもこれも、逃れられない壁に囲われているせい。みんな庇護のバリアに守られていると信じきっているからなんだね。
 海の向こうで始まった戦争の業火は、すぐそこまで迫っているように思えてならないんですけど。

 誰かがついうっかり核の赤いボタンを押しちゃわなきゃいいのだけれど。
 人はどんどん愚かになり、猫の足でも借りたいほど追い詰められても、今やきっと猫はその足で足蹴にしちゃうんだろうな。

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