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人肌恋しく。
秋が実らせ葉が落ちて、暮れゆく今日の落日は、凛としていて淋しみ、虚空。
おでん、ぬる燗、湯けむり、人肌。支えの杖は、ぬくもり、人肌。冬が来る前に、抱擁の、人肌が。
人は、1人と1人が身を寄せ合って支え合い。1が1にその身をまかせて「人」と言う。
肌ふれあうも他生の縁。どこぞで嗅いだような懐かしきあの匂い、そういえば遠い日にめぐりあい、消えたはずの過去の記録から、ふれあう肌が擦過の熱で火をつけて、燃えさかった炎からのぼる煙に微かに昔の記憶を喚起され。
燃えるは炎上ほどの烈火でなくて、萌えに燃え程度のけなげなゆらぎ。
人肌というのは、燃えすぎもせず、足りなくもなく、自分に邪魔をしない、なくてはならない空気のようなもの。
とくに落ちゆく秋のこの時期に、いつもよりそれをいくらか強く意識する。
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