語り継がなきゃ。
「知らなかったの? なら、話してあげる。あの日起こったこと」
覚えている記憶を、話せる誰かに語り継がなきゃ。
「あのね、いちど地面がガコンと沈んでね」沈んでね。
「へこんだところになだれ込んできたんだよ」きたんだよ。
「波が松林を越えるなんて考えたこともなかった」沈んでね。
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震災遺構は、学区隣の小学校だった。踏み荒らされた校舎が、校舎に突き刺さった幾多の叫び声が、語り継ごうと声をあげていた。
あの日、まさか、が起こってしまった。
また起こらないとも限らない。
だから耳を傾ける。語り継ごうとしている人の声に。
教訓とするために。