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メッセンジャー。

 芥川賞受賞作『ブラックボックス』。急いで読み終える必要がないので、続きを読む日があったり、なかったり。急かされていないせいで道まだ半ばに至らず、だら読み真っ只中。

 1冊読破は、諸般の事情で割り当てられる読書時間の器によって違ってくる。いつものこと。
 ただ、贔屓作家の新作となると、こうはいかない。「買った」と宣言するや、はやる気持ちが読速(造語)の背中を押す。読み終えるのが惜しいくせに、読書速度が加速する。
 対して受賞作は長閑なもので、ひねもすのたりのたりかな。
 ま、よいんの波間に揺れながら行く感じ。
 
 なぜか、と考えたら、好みのジャンルともしれないし、文体に慣れていないせいもある、というところに行き着いた。
 ま、つまりは寄り道が多いせい。

 またしてもお約束の読中感で拍子を抜いてしまったかもしれない。
 ま、作品自体もこのように、主人公が先細る人生の予感に苛まれながら、課された業務に没することでひとときの不安逃れを織り込んで、のらりくらりと日々を浪費していくわけさ。

 主人公は、依頼されたメッセージを自転車で届ける運び人。ふだんは自らの意思を語ることのないメッセンジャーの思いが、文学作品というパッケージになって、私たちの目に届けられている。

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