偏愛する絵3選
以下は私が酷愛する絵3選である。
①アントナン・アルトー「無題(n°5)」1919年頃
『デッサンと肖像』という絵を(高価な本なので)図書館で見ていただくにしくはないが、ネットだと一応「アントナンアルトー 絵 花」とやると画像が出てくる。赤と緑と黄色を基調とした、“いわゆるアルトー”とは全然かけ離れた絵だ。“いわゆるアルトー”とは晩年のデッサンや自画像、あのおぞましい系のものである。それも嫌いではないが、私はギャップでやはりこの絵を愛する。アルトーにこんな優しい絵が描けたとは驚きである。
②小林正人「画家とモデル Artist and the Model」2019年
これは馬に乗った人の絵とおぼしき迫力あふれる作品である。以前展覧会があったときに、この絵の前に4時間くらいいてしまった。私はまず問答無用で馬と馬の絵が好きだが、その中でもこの描き方は、素人ながら自分が何度も挑戦して何度も失敗している描き方を見事に成功させているなと感動した。自分の絵の技倆はそれ以来全く変わらないが、その道の遥か遙か先にはこのような偉人の姿があるということを知れただけでも満足だった。
③Tadashi Hayakawa「I’m Still Alive!」?年
日本名は早川忠さんだったはずだが、その名前で検索しても出てこないので、私の記憶違いか、あるいは日本ではあまり活動されていない方なのかもしれない。英語のサイトがある。以前銀座を歩いていたらたまたま個展をやっているのを見つけ、そこでまたぞろ2時間以上いてしまった。絵の素晴らしさについて早川さんにもお伝えすることができた(そして確かその後期間内にもう一度訪れたはずである)。昔の私はずいぶんと行動的であったように思うが、それはよいとして、やはり私は迫力溢れる抽象画というものが大好きらしい。一番はそこから元気をもらえるからだろう。
以上、どメジャーな絵ではないものについて書いてきたので、これらすべてをすでに知っていたという人はいないだろう(いたら連絡欲しいくらいである)。ということはここから何かの発見を得てくださったはずで、それが何かの糧になってくださればとても嬉しい。