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【ブックレビュー】「断片的なものの社会学」岸政彦

※本の詳細な内容については触れていませんが、一部ネタバレを含む可能性があります。ご了承ください。

「断片的なものの社会学」の内容

この本は社会学者である岸政彦さんが書かれた本で、紀伊国屋じんぶん大賞2016を受賞しています。ちなみに、2020年に紀伊国屋じんぶん大賞を受賞した「居るのはつらいよ(東畑開人著)」も面白かったです。

「断片的なものの社会学」は装丁にセンスを感じます。表紙はシャッターが閉まった商店らしき建物と車の止まっていない駐車スペースの写真です。この本の内容とマッチしているように感じました。

本の内容は、著者が社会学者としてインタビューをするなかで出会った人や著者自身がこれまでに経験したこと、考えてきたことを「断片的」に抜き出して一冊の本にしたという感じ。イントロダクションとあとがきを抜いて、17の章立てとなっており、どこからでも読めます。タイトルに「社会学」と入っていますが、社会学の知識がなくても読めます。

「断片的なものの社会学」の感想

電車で高校生や女性グループが話している会話の「断片」が面白くて、ついつい聞き入っていることがあります。その人たちは、もちろん知らない人たちで、その人の背景や文脈はわからないけど、その断片から何かを推測したり、何かを知ったりすることは面白く感じてしまいます。でも、「断片」だからこそ、すーっと流れていって、次の日にはその会話の内容を忘れています。

上に書いたように、この本は人の「断片」を取り出している本で、いつのまにか流れていってしまうような断片的なものやバラバラで解釈できないものに物事の本質が隠されているように感じました。私自身、人と話をする仕事をしていると、「この人は〇〇なことがあったから、××な考え方をしているのでは」と考えることがあります。その人の人生をつなぎ合わせて、解釈して、腑に落ちようとする。でも、解釈できないこと、「断片」としてただそこに「ある」ものもあります。いや、むしろこの世はつなぐことのできない「断片」だらけなのかも。そういう「断片」をすーっと流さず味わうこともとても大切なことだなと感じました。

あくまでも個人の感想でした。


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