見出し画像

月輪

窓を開ける

真夜中を照らす白い月

真下にある影を
隠すようにそっと腰掛ける

風に揺れるざわめきに
耳を澄ます

夜風はまだ夏と秋の間を
彷徨っているようだ

さらわれる髪に
重ねた年月の長さをおもう

グラスに映る月の波

ほんのりと
酔ってしまえば

隠そうとする
心はどこかへ去る

まっすぐに月を見つめて
ただ、思いの丈を
感じるままに

生きるということ

たとえ、
ままならない願いが
そこにあったとして

感じてはいけない想いなど
ありはしない

月はただ
この心の在りようを
うつす鏡のように

凛と
夜の真ん中に
輝いていた


写真 有さま