あの街の冬
あの街には
めったに雪が積もらない
教室の窓の向こうには
いつもチラチラと粉雪が舞っていた
雲間から射す光に
白く照らされて落ちていくのを
窓際の席からじっと眺めていた
「行ってきていいぞ」
担任によっては、
雪が降り出したら
早めに授業を切り上げてくれた
校庭に出ると
風に巻かれた粉雪が
身体にぶつかる
冷たい風に耳が痛くなって
手がかじかむ
掌に落ちてはスッと消えていく
小さな結晶
懐かしいあの街の冬
坂本龍一
この曲のはじまりは、
風に舞う雪を思い出す
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写真 ゆうや様