見つめるべからず
コンビニの駐車場で
友達が出てくるのを待っていた
入口から出てきた小学生くらいの男の子が
手に持っていた黄緑色の箱
あれは..チョコビ?
小さい頃、テレビでしか見かけなかったそれ
どんな形でどんな味がすんだろう..?
彼は駐車場の端っこで
その箱を開けはじめた
思わずぼーっと見つめてしまう
袋に手を入れて口に入れた
..おいしいのかなぁ?
また袋に手を入れようとした瞬間
動きが止まった
急に遠くから
男の子がタタタと走ってきた
「はい!」
「え?」
「お姉ちゃん、欲しいんでしょ?」
心を読まれたようでドキッとした
「..いいの?
ありがとう」
ちょっぴり恥ずかしくて嬉しかった
こんな遠くからでも
視線に気がつくなんて、
なんて小学生だ
気配も視線も消すのは得意なのに..
この子には通用しなかったのか
キラキラとした視線を送ってしまったか
彼がくれたひとかけらは、
幼い頃に想像した味と
かけ離れてはいなかった
美味しかったよ
ありがとね
あんまり見つめちゃだめなんだと
学習した日