6番線にゆられて
夕暮れ時
誰もいない部屋に、
さよならを告げてドアに鍵をかける
合鍵がポストに落ちる音がした
もう、
ここを訪ねることはないだろう
何度も君と歩いた道を
振り返ることもなく、
ひとり歩く
いつもの場所で
バスを待つ
ぼーっとしていると
目の前にバスがやってきた
扉が開く
いつもの窓際の席に座る
流れていく街並み
君との思い出たち
この景色にも、さよなら
どこからともなく、
涙がポツリと落ちてきた
当たり前の景色は今、
過去へと変わっていく
君との日々は
二度と戻らない
伝えたかったことは全部
あの手紙に置いてきた
窓の外の景色がかすんでいく
まるで、
長い夢をみていたみたいだ
写真 山崎 貴大さま