舞台感想 ミュージカル「Death takes a holiday」
梅田芸術劇場で「Death takes a holiday」を見てまいりました。
主演はWEST.の小瀧望さん。
演出は生田先生。
去年、宝塚歌劇で上演された作品です。
舞台感想 宝塚歌劇 月組公演 DEATH TAKES A HOLIDAY|おとぼけ男爵
久しぶりに記事を読み返してみたら、公演中止期間もあったし、私自身もまだコロナでビクビクしていたのだなあ……って感じます。
わずか一年と少し前……そう思うと、この一年の変化が夢のように思えます。
さて、今まで男性アイドルが主演なさった舞台で私が観たことあるのは
堂本光一さんが主演された
舞台感想 チャーリーとチョコレート工場|おとぼけ男爵
香取慎吾さんが主演された
舞台感想 テラヤマキャバレー|おとぼけ男爵
ですね。
どちらも、スター感が凄かったなという印象です。
でも、お二人ともアイドルというよりは、すでにベテランの域の元アイドルですからね。貫禄を感じるスター感だったのです。
今回主演の小瀧さんは、WEST.のメンバーでもある現役アイドル!
どうなのかしら? 評判は良いようだけれど、歌とかさ、どうなの?
って訝しんでいたのです。
いや、ちょっと、目から鱗……
今のアイドルって凄いのねえ~
ネタバレありの舞台感想です。
ストーリーは私の中で咀嚼された内容で、記憶の基づいて書いているので、実際とは少し違うかもしれません。それも感想の一部ってことで。
私の観た日のキャストはこちら
死神 サーキ 小瀧望
グラツィア 山下リオ
エリック 東 啓介
コラード 内藤大希
アリス 皆本麻帆
デイジー 斎藤瑠希
ヴィットリオ 宮川 浩
ステファニー 月影 瞳
ダリオ 田山涼成
エヴァンジェリーナ 木野 花
フィデレ 宮下雄也
ロレンツォ 飛行教官 西郷 豊
物語はこんな感じ。
第一次世界大戦、スペイン風邪、多くの人々が命を落とした時代、疲弊していたのは人間だけではなかった……
人の命を奪い続ける死神もまた疲弊していた。彼は疑問に思っていました。
なぜ、人は戦争で多くの命を無駄にしているのか? 人は命をどう考えているのか? 生きるとはどういうことか? 愛とはなんだ?
闇に覆われた夜の道。
貴族の娘グラツィア(山下リオ)は婚約者コラード(内藤大希)にもっとスピードを出すように煽ります。その結果、車は事故を起こしグラツィアは車の外に投げ出されます。
グラツィアの命を奪うべき死神(小瀧望)は、疑問に思います。
なぜ、若者はこんなにも命を粗末にするのか?
死神はグラツィアの命を救い、人間を知る為に2日間の休暇を取ることにします。そして、グラツィアの父のランベルティ公爵(宮川浩)を脅します。ロシアの王子サーキに化けた自分を客人として2日間もてなすようにと。
ハンサムな王子サーキの登場に公爵家の女性たちはメロメロになります。
公爵夫人ステファニー(月影瞳)、グラツィアの兄ロベルトの未亡人アリス(皆本麻帆)、女性使用人もソワソワしています。
そして、グラツィアはコラードとの婚約を破棄してしまいます。
サーキが死神であることを知っているのは、公爵と使用人フィデレ(宮下雄也)だけ。
公爵はなんとか二日間を乗り越えようとしています。
サーキは侯爵家で様々なことを知ります。
人間の生活や、朝食に食べる目玉焼きのおいしさなど。
人間的な感情を理解するうちに、サーキとグラツィアは惹かれあいます。
公爵家の人々も、色々な想いを持って生きています。
グラツィアの祖母エヴァンジェリーナ(木野花)は認知症で夫の死を受け入れられず、彼女のことを思い続けている医師ダリオ(田山涼成)を夫と間違え続けていましたが、サーキが来てから正気を取り戻しているようです。
公爵夫人は戦死した息子の部屋を片付けられず、息子への想いは募るばかりです。
ロベルトの戦友エリック(東啓介)の妹デイジー(斎藤瑠希)は婚約破棄されたコラードに気があるのですが、コラードの目にデイジーは入りません。
サーキは人が一日でも長く生きたいと願う気持ちや愛する人と離れたくない気持ちを理解することで、グラツィアと離れがたくなります。
サーキはグラツィアを連れていこうと考えます。
だが、それはグラツィアにとって「死」を意味します。
公爵は自分の命を投げ出してもグラツィアを守りたいと死神に申し出るのですが……
死神が選んだ結末とは……
コメディタッチの作品ですが、愛する人を失った喪失感や守りたいと願う自己犠牲の愛、戦争を引き起こしてしまう人間の身勝手さや命を粗末にする若者の無謀さなども描かれていて、奥深い作品です。
本当にね、人間は様々な「愛」で生かされているんだなって思いますよ。
小瀧さん、歌がとてもお上手です。アイドルの歌はいまいちじゃない?って思っていたので、自らの思い込みに深く反省です。
柔らかな低音が美しく、とても丁寧に伸びやかに歌い上げる方です。
死神の不穏な空気を醸し出す声と、王子サーキであるときの明るい声の使い分けも見事でした。
そして、さすがアイドル。
ルックスもスタイルも抜群で、かっこいいったらありゃしない。
甘いルックスなのに、ポスターでは不穏なムードを醸し出していて、役の雰囲気の掴み方の上手い方だと思いました。
タップは初挑戦だったそうですが、見事ですね。
歌も演技もダンスもこなすアイドルってさすが、選ばれた人だなあって感心しました。
山下さんのグラツィアは、真っ直ぐな歌声。素直で丁寧に演じておられると思いました。滑舌も良いし、こちらもビジュアルが抜群に美しい。
サーキとグラツィアのツーショットの美しいこと。
お二人とも真摯に役に向き合い、丁寧に演じておられるなあという印象でした。
ただ、いかにもミュージカル的な歌や演技とは少し違う感じに思えました。
アリスを演じる皆本麻帆さん、ステファニーを演じる宝塚OGの月影瞳さんの歌が上手い! さすがですよねえ。
パンチが効いていて、いかにもミュージカル。
キャストが今まで演じてきた場所や経験の違いがそういう違いにつながるのかな?って感じました。
でも、それを柔らかく融合させるような存在が、田山涼成さん演じるダリオと木野花さん演じるエヴァンジェリーナです。
さすがベテラン俳優。歌は感情に溢れたセリフのようで、人生経験の長い人間をキュートに演じておられてとても印象的でした。
宝塚と違い、歌、演技、ダンスの経験や練習方法の違うキャストが集まる作品では、キャストの毛色が違うところが面白みでもありますが、違和感を感じる部分もありますよね。
それを融合させるようなベテランの存在で、作品が上手くまとまったように思います。
サーキの上半身裸のサービスショットもあります。おばちゃん、思わずオペラでガン見。体型を美しく保たなくてはいけない役者さんって、本当に大変だなあ~
意外に思ったのが、拍手。
宝塚って観客の気持ちが拍手で表される部分があって、歌い終わったり、踊り終わったりした時に、わああああって拍手で盛り上がるんですよね。
意外と、その拍手がおとなしめ。
でも、終演後は皆スタンディングオベーションでした。
観ていて面白かったし、楽しかったし、主演の方がとても丁寧に演じておられるのに好感を持ったのだけど……真面目で丁寧に演じるが為に、役の魅力が際立たない感じもあるように感じました。
本当に、舞台って不思議で、難しいものですね。
私が宝塚ファンだからかもしれないけれど、作品のコメディ感は宝塚版のおだちんと佳城さんのやりとりの方が面白くって、笑えたな。
でも、総合的には音楽が良いし、演者も若手からベテランまで幅広く、アンサンブルの技術力も高くて、良い作品に仕上がっていたと思います。
観劇後は、堺筋本町の食生生で夕食を食べました。
ここの中華、ちょっと贅沢だけど美味しいんだよな~
遠方だからランチに行ったことはないけれど、いつもコース料理の中に麻婆豆腐豆腐を入れてもらえるようにお願いして、コース料理を頂きます。
今回は、オマール海老のエビチリが最高に美味しかった!
観劇とディナー、なんて贅沢な一日。
でも、今月は私のお誕生日月なので、お誕生日のお祝いも兼ねての観劇&ディナーだったのです。
また一つ年を重ねたよ……
体や頭の老化を実感し、気を落とすことも多い今日この頃。
でも、無事に一年過ごせたことには大感謝です。
無事に老いることができてありがとうって思わなくっちゃね。
来年のお誕生日も、無事に迎えられますように。
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