見出し画像

読書感想文 黛家の兄弟

ネタバレ、あらすじありの読書感想文です。

タイトル 黛家の兄弟
作者   砂原浩太朗
出版社  KODANSHA

あらすじ

家老である黛家の三男新三郎と下士の三男圭蔵。身分は違うが同じ道場に通う二人はお互いをかけがえのない友だと思っている。
新三郎は圭蔵を側仕えとして伴い黒沢家に養子にはいった。黒沢家は大目付の家であり、妻りくは大変な美人であった。
藩では次席家老の漆原内記が権力を持っていた。内記の娘が藩主の子又次郎を産んだからだ。新三郎の兄壮十郎は、内記の息子伊之助の横暴なふるまいに我慢できず伊之助を斬り殺してしまう。喧嘩両成敗で壮十郎は切腹となる。それを言い渡すのは目付けの黒沢家。新三郎であった。
それから十三年。元々世継ぎだった右京正就は、蟄居させられていた。その正就が死ぬ。新三郎改め織部正は目付けとして吟味し、毒殺であったという声を無視して病死と判断する。
今や織部正は漆原内記の懐刀と言われているのだ。漆原に有利な行動をとる織部正と兄の黛清右衛門は対立する間柄となっていた。
漆原は又次郎に本藩から嫁をとり、藩主を追い落とそうと画策していた。
それをさせるまいとする黛清右衛門。
そして、内記の息子弥四郎は、清右衛門を陥れ、加えて織部正まで排除しようと考えている。
織部正の傍には、いつも圭蔵がいて織部正の為に動いているが……
様々な思惑が渦巻く中で、織部正のとる行動はいったい……

感想

砂原浩太朗さんの文章、めちゃくちゃ好き。
高瀬庄左衛門御留書もそうだったのだけど、とても詩的で美しい。
こんな文章を書けるようになりたいなあ。

内容も品が良くていいんですよ。

最近人気の歴史小説はアクション重視な感じがするんですよね。今村翔吾さんなんか、生き生きとしたアクションシーンを書かれますからすごく人気あるますよね。でも活劇って感じになるんですよね。

でも、私は静かな侍が結構好きで、そんな静かな侍が一人の女性を愛し続けるってな世界観も好きなんですよね。
でも、部分的にアクションシーンもあるんですけど、それはまたとても映像的でドキッとしますしね。
本当に、上手いなあと感心します。
静かでロマンティックな世界が、とても美しい文章で書かれていて、いいんですよ。

まあ、物語は新三郎の人生が語られる、新三郎の成長物語。

とても丁寧に描かれていて、様々な伏線は最後に回収されるし、驚きもあるし、読み終わった時の満足感は、格別でございます。

BS時代劇にして下さいませ、NHKさん。いいと思うよ。


この作者の他の作品の感想


いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集