読書感想文 マカン・マラン
ネタバレ、あらすじありの読書感想文です。
タイトル マカン・マラン
作者 古内一絵
出版社 中央公論新社
あらすじ
春のキャセロール
貧血で座り込む塔子を助けてくれたのは、ドラァグクイーンのシャール。
夜のカフェのオーナーだ。
忙しくて食事をとらない塔子にシャールが出したのは春野菜のキャセロール。その美味しさにに塔子は感動する。
会社では早期退職面談が近づき社員は喧々諤々。塔子は昇進を言い渡される。だが、塔子のとった行動は……
塔子は、一時の安寧と引き換えに、他人の目で値踏みされる生活から脱却したのだ。
金のお米パン
シャールの中学時代の同級生柳田は中学教師をしている。生徒璃久が母の作った料理を食べなくなった。その原因を探る柳田だが……
世界で一番女王なサラダ
専門学校を出て自分の名前の入らない記事を書くライターのさくら。
まるで成功者のように出身校の冊子に近況を載せるが、本当は空っぽなライターだと自己嫌悪に陥っている。
シャールに贅沢なサラダを食べさせてもらったさくらは……
大晦日のアドベントスープ
ドラァグクイーンのジャダは、元ヤンで昼間は宅配の仕事をしている。
マカン・マランの地上げを阻止しようとするのだが、シャールは借地権を手放すという。だが、お正月に皆で食べる中国のスープ、フォーティーアチャンを楽しみにしているお婆さんは……シャールは皆の止まり木なのだ。
感想
先日読んだ、「山亭ミアキス」が好きだったので、古内一絵さんの他の作品も読んでみようと思って読んでみました。
この方の短編、とても読後感が良いです。
4篇の短編ですが、マカン・マランというドラァグクイーンの作るまかない料理をだすカフェが舞台。
どこか生きるのに疲れた登場人物が、シャールの料理で癒され、満腹になり、気持ちを切り替え、新たな一歩を踏み出すお話です。
人の心の動きを巧みに描く方なので、様々な場所で共感を感じ、登場人物と一緒に怒ったりできます。
それに出てくる料理が、美味しそうで美味しそうで。
料理の描写力の素晴らしさに、ため息です。
ダメです。読んでいたらお腹がすいて……
いつもなら自宅で適当にすませる昼食ですが、思わず食べに出てしまいました。物語とは全然関係ないけれど、その昼食はこちら。
いやはや、満足しました。
読書で心が満腹、ランチで胃袋が満腹。
本を読む楽しみも、さまざまなものです。
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