舞台感想 配信 花組 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ公演『冬霞の巴里』千秋楽
本当に、梅田芸術劇場はお席をご用意下さいませんねえ。
年会費払って一度もチケット買えなかったっていう悲惨な経験を今年もするのかなあ。
もう梅田芸術劇場は、イープラスでしか足を運んでないんだよ!
このところずっとよ!いーかげんにせー!!
でもねえ、配信の充実に満足しておりまして、
もう、配信あるならいいんだもん。
配信 冬霞の巴里を拝見しました。
先月だったかな、歌劇誌でのしゅこ先生とひとこちゃんの対談を読んで、うわあ、やっぱり見たかったなあと改めて思ったのですが、いやあ、素晴らしい世界感ですね。
対談でひとこちゃんが、Fantasmagorieの意味を聞いていて、幻燈で幽霊を映し出すようなものだとおっしゃっていた気がするんだけど、成程成程。
なっとくですわ。
まさに、舞台全体がFantasmagorie~って感じでしたね。
プロローグからそうですけれど、食卓から手が出てきた時にゃあ、驚きましたわ。
ストーリーは復讐もので、ギリシャ悲劇をベースにしているとのことですが、オリジナルストーリーと考えて問題ないようなお話です。
父を叔父に殺されたと思っているオクターブと姉のアンブルは、祖父の葬儀をきっかけに戻ってきて復讐をしようとする。
オクターブとアンブルはアナーキストであるヴァランタンたちが住む下宿に住み、アナーキストたちは富裕層にテロを仕掛けている。
父を殺した叔父、母、ブノワへのオクターブと姉の復讐と、アナーキストたちの富裕層へのテロという二種類の物語が上手くからんでいます。
復讐に対する思い、迷い、覚悟はそれぞれの立場によって違います。テロも富裕層に対する貧困層からの復讐でしょう。
そして、復讐とは?
誰かにとっては悪人であっても、別の誰かにとっては大切な人。そんな大切な人の命が奪われたら……
だが、悪人の命が奪われることによって救われる人がいるのだとしたら……
何が正しく、何が間違っているのか?
人の立ち位置によって、正義は変わってしまう。
そんな物語を、三人の復讐の女神エリーニュスや、オクターブの父オーギュストを交えながら描かれます。
現実と幽霊と思い出の中の幻が混在する不思議な世界。
Fantasmagorie~
こんな世界感好きよ。しゅこ先生、センスいいなあ。
龍の宮では観客を水の底に誘い、今回は幻燈を見せて煙にまいたって感じ。
この作品は出演者全員、ものすごく演じていて楽しかっただろうし、良い経験をしたのではないかと思います。
だって下級生まで皆、生き生きと演じておられましたもの。お化粧とか工夫するのも楽しかったんじゃないかなあ。
ひとこちゃんは、なんといっても苦悩する美しさが素晴らしくて、彼女の代表作になるかもと感じました。
星空美咲ちゃんは銀ちゃんに続いての大役ですが、落ち着いたものでたいしたものです。
愛蘭みこちゃんが達者!Dream onの時最下級生だったと思うのですが、あの時から視線泥棒だなあって思って見てました。芝居もこんなに上手なのね。
でも、なんといっても聖乃あすかちゃんの新境地。
彼女は優等生で、努力家で、いい子だと思っていたけれど、どこか物足らなさを感じていたのですね。
でも、このお役を経験したことで、今後化けるかもしれないなあって感じました。良い経験したねえ。
最も難しいお役は、和海しょうさんのオーギュストだったと思います。
思い出の中のオーギュストや、幽霊のオーギュストなど演じ分けが必要で、かつその本性は……本当に難しかっただろうなと思います。
もう少し、ひとでなし感(人でない方とひとでなしの両方ね)がでると良かったんだけどなあって思うのは、私の贅沢?
でも、本当に頑張っておられたと思います。
いやあ、フィナーレはかっこよかったし、満足、満足。
最近の女性演出家は、美しい作品を作られるので観ていると嬉しくなります。
大劇場デビューが楽しみだ。