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舞台感想 ミュージカル 七色インコ

七海ひろきさんが七色インコを演じるミュージカル「七色インコ」を観てまいりました。
手塚治虫原作の作品です。
手塚作品、色々見たり読んだりしています。
「リボンの騎士」とか「ジャングル大帝」とか「鉄腕アトム」は子供の頃にアニメで見ていました。
「ブラックジャック」とか「火の鳥」はもう少し成長してから、読んだり、映画を観たりした記憶があります。

しかし、「七色インコ」は存じ上げませんでした。

こりゃ、読まなくては……
ということで、e-bookで購入しました。
7巻まであります。


観劇前に原作を読むべきか否か?

七海さん演じる七色インコは代役専門の役者なのですが、代役をしながらドロボーをするのです。
警察は、七色インコの正体がわかっているのです。しかし、証拠がなくて逮捕できないやっかいなドロボーなのです。
七色インコを逮捕しようとする警察官が、有紗瞳さん演じる千里万里子。
これ手塚先生が当時の人気漫才師「海原千里・万里」からとったのだとか。若い人はご存じないけれど、海原千里は上沼恵美子さんですからね。
元気よく怒って突っかかっていくのに、好きな人にでれ~としてしまうキャラ。確かに、ちょっと、イメージあるかも。

原作の方は、一話完結で、どこかで演劇に関係する物語となっております。

漫画を読むのは久しぶりです。
昔はあんなにサクサク読めたのに、年取ってくると漫画を読む速度も低下するようで、7巻読み終えるのにそこそこ時間を費やしました。
でも、読んでおいて正解!
二時間半ノンストップでスピーディーに進んでいく物語についていくには、予備知識があった方が良いと思います。
但し、驚くような結末なので、驚きたい人は読まないで行って、集中して見るべし!

東京公演観に行く前に読みたいけれど、7巻読むのはちょっと大変という方に教えちゃいます。
一巻の第1話 ハムレット
三巻の第4話 青い鳥
七巻の第2話 終幕
の三本を読んでおけばOKです。

セットや演出で感じたこと。

大阪3公演という短さ。
こんな短くて採算取れるの?と心配してしまいましたが、東京が14公演もあるから大丈夫なのかな?
本来は、東京だけという演目だったけれど、宝塚出身の人気者が出演するから大阪公演を頑張って用意してくれたのかな?ってなんとなく思いました。それなら、本当に感謝です。
文化って、西低東高ですものね。東京に行かなくちゃ見られない演目多いですから。

舞台セットは、大きな額縁のようなセットがいくつかありまして、その額縁にたくさんの白い衣装がかかっています。
その額縁のセットを出演者が様々に動かして、色々な場面を表現するのです。そこにかかる白い衣装に映像を映し出したり、ライトの色で表現したり。シンプルな舞台セットを上手く使っていました。

普段、宝塚の豪華な舞台セットを見慣れているのでシンプルだなって思うのですが、考えてみればこれくらいシンプルにして予算も抑えなくては採算とれないですよね。
こういうアイデアこそ大切だと感じます。

ちょっとズレるけれど、先日上田久美子さんのゲンロンカフェを視聴したのですが、くーみんが、エルベの潤色した時に古い映像を見ていて一場面しか使われていないセットがあって、驚いたという話をしておられました。
でも、太っ腹なオーナーが「やりたいようにやりなさい」と予算を出して文化を支えた時代はすでに過去のもの。
現代では、興行として利益を出さなければ続けられないのがエンタメの世界ですよね。
だからこそ、演出家のアイデアとか、色々なプロデュース力とか、予算の使い方とか、宣伝とか、頭を使わなければいけない。
「よく考えられているなあ~」と観客を感心させてくれる演出の作品を観ると、こちらの満足感も高いですね。

この舞台はよく考えられていて、上手いなあって思いました。
セットもシンプルだし衣装だって何枚も着替えるわけじゃないけれど、それで充分。

スペシャルカーテンコールを撮影OKにして観客を宣伝に使ってしまう。最近よく見られますが、これも良い宣伝だと思いますよね。
Xに流れて来るこういう映像を見て、行きたくなっちゃうケースもありますから上手いと思います。
この作品でも、スペシャルカーテンコールは撮影OKでした。
映像を見返しながらニヤニヤすることもできますからね。これ、最高!

ミュージカル七色インコのストーリー

ハムレットの公演を間近に控えているのに、主演俳優が出演できず困っている演出家。七色インコという代役専門の役者を頼むことになりますが、その報酬は「劇場で何が起きようと見て見ぬふりをすること」
七色インコはドロボーだったのです。
警察もそのことは知っているのですが、証拠がつかめず逮捕できません。
千里万里子は、七色インコを捕まえようと劇場に乗り込みますが、七色インコに「どっきん♡」 まさか七色インコに恋したの?
万里子はそんな自分の気持ちが信じられません。
そんな時、万里子の知人の少女が怪我をします。犯人逮捕の為に七色インコに助けを求める万里子。
そして、犯人は開発中のロボットだということがわかるのです。
強欲な社長鍬潟隆介が経営する会社が販売しようとしている危険なロボット。七色インコは、それを阻止しようと製品発表会に乗り込みますが……

七色インコと鍬潟隆介には、深い因縁がありました。
七色インコはなぜ、役者になったのか?
七色インコはドロボーとして稼いでそのお金を何に使うつもりなのか?
七色インコは最終的に何をしようとしているのか?
七色インコと千里万里子にはどんな関係があったのか?

冒頭に演じられるのが、復讐劇であるハムレットというのも、一種の伏線になっていたのだと思います。
そして、七色インコの幼い日の悲しみや若き日の恋が様々に明らかになっていきます。原作を知らなければ、「えー? そうだったの?」とびっくりするような話ですよ。

原作に忠実なので、舞台だけの結末があるわけではありません。
少々詰め込み過ぎた感じで、説明っぽいシーンがありました。そこらへんは、ちょっと睡魔に襲われそうになるかもしれません。
主役は七色インコですが、幅広い役に見どころがあるのでスターだけがスポットライトを浴びるわけではないところは、なかなか良いなと感じました。カイちゃんファンは物足りないかもしれないけれど……
こういう作品は、演者のモチベーションを高めると思います。
そういう意味でも、上手い作りの作品だったと思いました。

出演者の感想

七色インコの七海ひろきさん。
私は、卒業後のカイちゃんの舞台を観るのは初めてです。
凄い活躍だなあって、感心していたのですが、久しぶりに観るとそのカッコよさが増していて、びっくりしました。
卒業すると皆綺麗なお姉さんになってしまうOGの中で、男役として以前より輝きを増して活躍する俳優となっている。驚きですよね。
本当に素敵! 剣で戦うシーンの身のこなしとか本当に軽やかで、ご卒業後に経験したすべてが花開いているのだろうなって想像します。

千里万里子の有紗瞳さん。
くらっち、可愛い!!! 
原作通りの可愛さ、愛嬌。
滑舌も良いし、歌も上手いし、久しぶりに観られて嬉しかった。
くらっちとカイちゃんが剣で戦う身のこなしが素晴らしくって、素敵なアクションシーンでした。
感情豊かなお芝居もとってもよかったです。
鳥アレルギーの痒~いも、体を縮めて本当にちっちゃくなっちゃったみたい。見せ方の上手い俳優さんです。

私は主にこのお二方を観に行ったわけですが、他のキャストの方も素晴らしかったですよ。

狐川イナコを演じられた岡村さやかさんは、歌がとってもお上手でした。
鍬潟隆介を演じられた郷本直也さんの千秋楽ならではアドリブは、大爆笑をとっていて、初めて見る観客を爆笑の渦にまきこむ空気や間のとらえ方が、只者ではないと思いましたね。

あと、青いロボットを演じておられたのはどなただったのかな?
機械仕掛けの動きが不気味で怖い。どこか哀れな人間っぽさも感じられてすっごく良かったです。上手いなあって感心しました。

滑舌の良くない役者さんや、歌が不安定な役者さんもおられました。
そりゃ、その日の調子もあるでしょうしね。
でも、公演を重ねるうちにそういう方が上手くなっていかれると、一層良い作品になるだろうと感じました。

雑感と今後の宝塚への想い

2時間半休憩なしのノンストップで、出演者も大変だと思うけれど、様々な登場人物をバランス良く配置した上手い演出だったなって感じました。

ほら、宝塚ってスターがでずっぱりじゃないですか。それは宝塚の魅力でもあるけれど、今後の問題点でもあると感じるのでね。

「セットや演出で感じたこと。」の項でふれたシラスで配信されたくーみんのお話。こちらなのですが、とても興味深かったのでリンクを貼っておきます。

上田久美子 聞き手=上田洋子 上田久美子の The 舞台の哲学──すべては宝塚からはじまった? @KU_projectumi @yuvmsk #ゲンロン240821 | ゲンロン完全中継チャンネル | シラス (shirasu.io)

ちなみに、それに対する私の感想を書いた記事はこちら。
読んで頂けると嬉しいな。
上田久美子さんのメセナ|おとぼけ男爵 (note.com)

くーみんは、宝塚の悲しい出来事についても、かなりつっこんでお話しておられてその勇気に拍手です。
あの出来事に関して触れることは勇気が必要だと思います。
そういえば、
七海ひろきさんは、あの出来事のすぐ後にご自分の気持ちを語られていて、その姿勢に感動を覚えました。
人として尊敬できる方だなと感じました。
そして、それが彼女の今の活躍につながるのではないかと感じます。
尊敬できる人だからこそ、カンパニーがまとまると思うんですよね。

宝塚でトップスターになるということは、在団中の目標ではあるだろうけれど、ならなかったとしても輝かしい未来を築きあげることができる。
そんな、見事なお手本を見ているような気がします。

ちょっと、話が変わりますが、
さっき届いた宝塚グラフ10月号を読んでいたんですよ。
彩風咲奈さんのサヨナラ特集だったのですが、そのインタビューの中で咲ちゃんが、「主演だから幸せというよりも、周りに誰がいてその人と何を作るか」を楽しみにしているというようなことをおっしゃっていたんですよね。
これを読んで、トップスターの印象が少し変わりました。
そりゃ、人によるとは思うけれど、トップがこう考えるなら宝塚のスターシステムに多少の変化があってもいいんじゃないかな?

もちろん、スターが大活躍するスターにあてがきのような作品があってもいいと思います。逆に、主役はスターだけどスター以上に活躍する様々な役が存在して適材適所に役者が配置される作品なんかもあれば面白いのになあって思います。

宝塚歌劇も変革の時期ではないかと思ったりするんですよね。

なんか、舞台感想からかなりそれてしまいましたが、七海ひろきさんの活躍ぶりを見ていると、そんな気持ちになってしまいました。

とても良いカンパニーって感じがしました。
そして、それは七海ひろきさんの人間性の素晴らしさから生み出されているようにも感じました。
東京公演も無事走り抜けられますように。

座席とランチの話

今まで、チケットぴあで、良席だったことはなかったんです。(普通又はがっかり席)でも、チケット取れただけでもありがたいと思わなくちゃって思ってて、良席を期待するなんてことが、今までなかったんですよね。
ところが、今回の席!
二列目の通路側!!!!
ひゃああああああ、見間違いかと、何度も、何度も、発券されたチケットを見たのですが、超弩級の良席!!!
こういう席は、ファンクラブか関係者しか持っていないのかと思っていた。
チケットぴあでもあるのね、こんな良席!
そうなのか、これからも使わせて頂きます。
チケットぴあ様、ありがとうございました!

ちなみに、観劇前のランチは、森ノ宮キューズモールの
食堂カフェpotto×タニタカフェで頂きました。

COOL JAPAN PARK OSAKAのチケットを持っていると豆乳ソフトクリームのプレゼントがあるので、デザートに頂きました。
忘れずにチケット見せて、言った方が絶対お得ですよ。

とっても楽しい観劇でした。良き、良き。

過去の舞台感想

宝塚OGさん出演の舞台感想はこちら
宝塚OGさん出演 舞台感想まとめ|おとぼけ男爵 (note.com)

宝塚舞台感想はこちら
宝塚歌劇 舞台感想まとめ|おとぼけ男爵 (note.com)

宝塚以外の舞台感想はこちら
宝塚歌劇以外の舞台、映画感想まとめ|おとぼけ男爵 (note.com)


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