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秋の夜にたゆたうインディーロックの調べ。 - Sisters In The Velvet

最近触れて、速攻でお気に入りに追加した、日本のインディーロックバンド、Sisters In The Velvetをご紹介したい。
自分にとって新たな音楽との出会いを求めてる方、よかったらお付き合いください。

Sisters In The Velvet

2019年に東京で結成したオルタナティブロックバンド。
翌年4月にファーストシングル"Into It"をリリース。同年には「出れんの!?スパソニ!?2020」の最終選考に選ばれる。
90年代初期のオルタナ、グランジ、シューゲイザー系の音楽にルーツをもち、抒情的なメロディ、折り重なるギターサウンド、クールでありながら深みも感じさせるボーカルが特徴的。
2024年にアルバム"Leaves"をリリース。

私がいちばん初めに聞いたのは、2021年リリースの"Capy"という曲だったのだが、もろ90s!!

まず、ボーカル青山氏の声に魅了される。
エモーショナルに表現しないクールさが非常に良い。
比較的スタンダードな進行の楽曲に、がなりたてないボーカルがとてもオツな印象。
ナンコレー!となりまして、続いて聞いたのが2022年リリースの"Bottles"。

これでまた吃驚したんだけども、1年でこんなに変わるかというほど音楽性が変貌している。
重複的に奏でられるギターに、爽やかなシンセの音が気持ちいいアクセントになっていて、ゆらめく音の芳醇な響きにしばし酔いしれる。

どうやらいくつか記事を見たところでは、90年代初期のグランジ系に影響を受けつつも、その過程で、従来の(という表現もいささか妙ではあるが)グランジとは異なるアプローチのRadioheadに、自分たちの音楽性との親和を感じたらしく、勝手にレディへ感を読み取っていた私は、なるほどーと膝を打った。

こんなバンドがいるなんて、もっと早く知りたかったなー。

勝手な印象になるのだけれど、今ではすっかりDTM的な音楽が主流になっていて、こういうバンドサウンドを鳴らしてくれる若手のアーティストがいることがとても新鮮な驚きだった。
(他にも素晴らしいバンドはいるし、私が物知らずなだけだとは思う)

今年リリースの"Leaves"に収録されている"speedy?"は、由緒正しくグランジっぽい。

イントロのリフやちょいちょい入るギターのアクセントに、NirvanaのHeart-Shaped Boxみがありますな。
曲の展開が個性的で、非常に面白い。
カートがもし生きてたら、こういうのを面白がってくれたかもなーなどと感傷に耽るなどした。

最後に、やはりアルバム"Leaves"から"The Remains"を。

イントロからギュギュギューっと胸を締め付ける。
低温感漂うサウンドから徐々に熱くなっていくかと思いきや、沸点に近づく手前で終焉を迎えるという曲の構成がたまらない。

彼らの歌詞は英語詞で歌われており、そのことでより、曲そのものに没頭でき、自分の内側にある「まだ言葉にならない感情」を掘り起こしてくれる感じ。
失ったものを数えかけのお年頃の私に、まだこんな感情あったんだなと…。

発露的な激しさだけじゃないし、逆に単に「チル」の枠でおさまるわけじゃないし、形容のしがたい範疇にいて、とても興味をそそるアーティスト。

作品ごとにどんどん進化を遂げていく音楽性は見逃せず、これからも自分たちの思う最高の音楽を奏でつづけてほしいと切に願う。

"Leaves"は、90sのオルタナ系が好きな方にもぜひ聞いてほしいアルバム。
秋の夜長に、Sisters In The Velvetをおともにいかがでしょう。


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