「普通」とは。「幸せ」とは。「怪物」とは、
『誰かにしか手に入らないものは幸せって言わない。しょうもないしょうもない。誰でも手に入るものを幸せって言うの。』
監督・是枝裕和
脚本・坂元裕二
最強の二人がタッグを組んだ映画「怪物」
加えて、音楽・坂本龍一ときたらそりゃ観るしかない。
多くのSNSであらすじやネタバレが公開されている今、詳しくは綴らないが、感想を一言で言うなら、怪物は今私も生み出しているかもしれないという恐怖。
と、子役の二人が演技が上手すぎる。。(二言になっちゃった)
三者の目線で描かれるストーリーを追っていく度に、数分までの自分の凝り固まった見方や考えを恥じる二時間だった。
子どもを想う余りに無自覚に”普通”を押し付けてしまう親。
保身に走る学校と、生徒たちと真剣に向き合いたい気持ちとに揺れ動く教師。
淡い気持ちから生まれる初めての衝動に戸惑う子どもたち。
ラストの「Aqua」が流れる中、子どもたちが草原を駆け抜けるシーンは目の奥が熱くなるのを感じた。
世界は生まれ変わらない
僕たちは生まれ変われたのか
生まれ変わらなくとも僕たちは・・・?
“多様性を受け入れよう”と広告や様々な企業が謳っているこの時代、まだその本当の意味に辿り着けず、側にいる人が大事に想う人を私たちは大事にできずに、知らず知らずの内に傷付けてしまっているようにも思う。
本当のことは、当人でしか分からない。
理解できなくてもいい。
理解できないことも一つの結果。
でも、生き方や考え方が違う人を傷付ける・攻撃する権利なんて誰も持っていない。
「こうであって欲しい」「これが普通だから」
幸せを願うあまりに、自分の価値観を押し付けてしまわないように。
優しい顔で放った言葉が、相手にとっての刃にならないように。