京都移住(1) 移住前―京都旅行記2016.2
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透明な病と生きる 第5章 ”退職、それから”|月 (note.com)
そうだ移住しよう
前章にて、私が “透明な病” を患い、その元凶たる仕事を辞め、さらなる解放を求めて環境を一変させるべく移住を決意するまでを書きました。
結論を先に述べると、私はこの後京都に移住することとなります。
それまで関西圏に住んだことがあるわけでもなく、京都とはなんの縁もゆかりもなかったのですが、移住先をいろいろ考えている中で一つのきっかけを得て京都に移り住むことにしたのです。
その時はどこでも自分が好きな地域に住むことができる身の上であったので、
「そうだ京都行こう」
くらいのノリで決めたといえば決めました。軽すぎる。
なにゆえ京都に住むことにしたのか、そこに至るまでを書いていきたいと思います。
旅行迷子
前職を辞める直前、私は余りに余った有給休暇を消化するのに(有給なんて基本的に取れないブラック風潮だったので)、業務の都合上ごっそり長い休みではなく、ウイークデー勤務5日のうち2日を休みにすることでコンスタントに消化していました。しかし、前職で勤める間、激務と休日出勤により旅行というものに一切行けなかったので、まとまった休みも入れて旅行に行ってみることにしました。
働いてお金があってあちこち旅行へ行って記念撮影ウェーイ、みたいなのが社会人だと思っていたので、いざ社会人のフタを開けたら何もできないなんて思いもしませんでしたね。周りがうらやましくて仕方ありませんでした。休日出勤の合間でたまにある休み。合コンなんかでお決まりの
「休みの日なにしてますか?」
という質問に、
「旅行とか行ってますね、この間〇〇行ったんですけどよかったですよ」
とか言いたかったですが、
「休みの日なんてないし休めるときは休まないと死ぬわ!」
というのが本心にならざるを得ない状況でした。まあその場では言いませんでしたけどね。
さて仕事を辞めるとなって、やっと来た旅行の機会。どこに行こうか迷いましたが、一人旅に適した土地、つまり街歩きが楽しい場所で考えました。
私は歴史や文化、自然など、興味の幅は元々広い人間だったので、
「そうだ京都行こう」
ということで中学校の修学旅行以来、2度目の京都旅行をすることにしたのです。そうだ京都行こう、って単純なのにものすごくパワーのあるフレーズですね。使ってみるとつくづく感じます。
日程は3泊4日。時間はあるので、 “修学旅行では行かなかったスポット”を軸に予定を組みました。
ちなみに修学旅行で行ったときは、京都で「1日タクシー研修」というのがあって、班ごとにタクシー1台が割り当てられて自分たちで組んだスポットを回るという形式でした。
その時に行ったところは、覚えているもので清水寺、鹿苑寺(金閣)、二条城、京都タワーとかそんなものだったと思います。歴史の教科書の知識しか頭にない田舎の中学生、当時の私(たち)は奥行きのない子供だったので、「お寺や~、お城や~ へえー」くらいにしか思わず、鴬張りの床をキイキイ鳴らして遊んだことくらいしか記憶に残っていません。でも実際あんまり感動がなかったんです。教科書で見るほうがよっぽどスゴイものに見えていたので、現地で見ると「金閣、意外とちっちゃ」という感じでした。
それを考慮に入れて、社会人一人旅では
「行ったことないところに行く!」
「できるだけ歩く!」
「大人の目で京都を見る!」
をモットーに、以下のようなプランにしました。
2016年2月当時の写真とともに見ていってください。
おとなの修学旅行
【1日目】
京都駅着
↓
嵐電
↓
嵐山周辺
↓宿
【2日目】
宿
↓
マンガミュージアム
写真はないですが、訪れた時は精華大学マンガコースの卒展中で無料開放されていました。
↓
鴨川を歩く
↓
京都大学
↓
一乗寺
↓
下鴨神社
↓
京都御所
↓
宿
【3日目】
宿
↓
八坂神社・円山公園
↓
岡崎美術館巡り
↓
木屋町・先斗町歩き
↓
居酒屋で夕食
↓
夜の鴨川散歩
↓
宿
【4日目】
宿
↓
四条烏丸近辺でお土産を買う
↓
京都駅
↓
帰宅
ざっくりまとめるとこんな感じです。行ったのがキンキンに底冷えしている冬だったので、この行程の多くを徒歩で移動しました。上記は行ったスポットのみ書いてあるので、実際にはそれぞれの間に路地やらなんやらをかなりウロウロしています。
あとでスマホの歩数計を見ると、4日間で総歩行距離100㎞近くに達していました。2日目が最も移動しており、丸1日かけて40㎞とかになっていましたね。びっくり。
しかし、もしも電車やバスに乗っていたら見られなかったであろう景色、音、匂い、地元民と町の空気などをたっぷり味わえたので、修学旅行の時とはまるで本当に違う場所に来たような感覚になりました。
もちろん、それだけでも「ああ、京都いいなあ」という気分にはなったのですが、京都がいかに素敵な、魅力的な街であるかを決定的に印象付けてくれたのは、そう、行程表にある「宿」の存在が大きかったです。
私の運命を変えた、その「宿」については次回書かせていただきます。