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第33話『天空バトルだオセロッチ!!あれ!?オセロッチの手が!?』

      ☆白黒★オセロッチ!


【前回までのお話】
オセロッチと、南野ケムシのバトルは終わった。
オセロッチは気持ちを新たに、天空闘技場のバトルに挑むのだが・・・。



前回



第33話『天空バトルだオセロッチ!!あれ!?オセロッチの手が!?』



ここは地上60階・・・オセロ天空闘技場・・・
今宵も札束が飛び交うオセロバトルが繰り広げられていた。



甲高い声の実況アナウンサーが、観客を煽るため、これからはじまる対局の紹介をしている。


「さあ!今夜のバトルの挑戦者はー!?平凡な主婦だったが突如オセロに目覚め!コツコツとレーティングを積み上げ初の天空闘技場へのチケットを手に入れた新進気鋭のオセログラディエーター!!寒林アキ子!!!」


真っ暗な闘技場に突如スポットライトが差し、
50代ぐらいの女性が照らされた。

「どうも、初出場ですが、がんばります!」

「おーっと意気込みはじゅうぶんのようだー!健闘をいのってますよ!!さあ対して!こいつぁ運が悪いですよ寒林アキ子さん!!今最も勢いのあるスーパールーキー!破竹の勢いで強敵を撃破しまくる!飛ぶ鳥落としまくりボーイ!天才オセロ少年オセロッチが対戦相手だぁーーーッ!!!」


スポットライトがオセロッチを照らす。

「・・・。」

青ざめた顔をしたオセロッチの顔が現れた。


「おーっとオセロッチ選手、覇気が無いぞー?!ダイスオンチップインは事前に済ませてあります!!先攻が白!オセロッチ!後攻が黒!寒林アキ子!!さあー!!それではああああああああッ!!!」


「ジャッジ!!!」

白審がコクリと頷く。

「ジャッジ!!!」

黒審もコクリと頷く。


「レディいいいいいいッ!!!!ファイッッッッ!!!!」




カーンッッ!!!



対局開始のゴングが鳴った。



「さぁ、先攻白オセロッチ選手、初手はいったいどんな手で来るんでしょうか?目が離せません、」


闘技場は静寂に包まれている。誰もがオセロッチの一手目に注視している。



が、オセロッチは手を打たない。



「おや、初手から長考でしょうか?これは珍しい」


オセロッチは白チップを持ち上げ、ブルブルと震えている。

盤上に手を伸ばす気配が無い。




「おーっと長考過ぎて失格にならないといいのですが・・・」


観客がざわざわとしてきた。

審判席も顔を見合わせている。



「ま、まさかの事態です・・・オセロッチ選手、どうしたことでしょうか、初手から手が出ませんッ!!」



規定通り、タイムキーパーが手で合図を送ると、
主審が秒読みを始めた。



「に、20秒・・・19・・・」


数字がゼロへと近づいていく。



そして…



「3・・・2・・・1・・・」



「おーーーっと、秒読みが・・・・終わる・・・・・オセロッチ選手まさかの、失格、時間切れッ!!勝者ー、寒林アキ子ーーーーーッ!!!!!」



祝砲が打ち上げられ、紙吹雪が舞う。


が、観客席からはブーイングの嵐だ。

「なんだよコレぇ!!!」
「金返せやクソが!!!!」
「ぃよっしゃあああああッ!!大穴当てたぜぁ!!!」

怒号が飛び交う観客席の中で、
ユメちゃんはがっくしと肩を落とし
手で目を覆った。
指の下からは涙がこぼれていた。

「オセロッチ、やっぱり、あの時のこと・・・まだ・・・」



それは、あの時・・・


オセロッチが南野ケムシに敗北を喫した時だった。








「ふーっ、危なかったー。オセロッチ、お前強いな。」

相変わらずセリフを棒読みするようなケムシの言葉もオセロッチの耳には届かない。


オセロッチは負けたのだ。

両者投了することなく、最後まで打ち切り、
ケムシが3目半差で勝ったのだった。




「あーはっは!!20万負けた奴がいるぞー(笑)」
「自分からフッかけて負けやがった!!(笑)」
「ケムちゃんつよーい!」


ギャラリー達はバカ騒ぎしている。



「さて、10万でも20万でも払うって言ってたよな?」

ケムシはニタニタと笑いながらゲームボーイアドバンスの電源を入れた。




オセロッチは俯いて呆然としている。

「オセロッチ!大丈夫でやんすか???」
「だいじょぶか!?オセロッチ!!!」

ミジンコとユメちゃんがオセロッチに駆け寄り、肩を揺らすも、オセロッチは全く反応が無い。


「間を取って15万にしとくか。」

ケムシは椅子に深く腰掛け、ゲームボーイアドバンスを操作し始めた。


「オイ!ケムシ!20万払わせろやッ!!」
「そうだ!!こんなナメた奴を甘やかすな!!!」



ケムシの興味はもうゲームボーイアドバンスに移っている。

「15万でじゅうぶんだ。次来たら払ってくれよな。ミジンコ、お前もな。今日のとこはもう帰れよ。」

ケムシはひらひらと手を振った。




オセロッチは焦点の定まらない目をしている…。
顔面は真っ白だ…。



ユメちゃんはこの時のオセロッチを見て、こう思った。
「(オセロッチの、心が息をしていない・・・ッ!!!)」




ミジンコの借金を帳消しにするどころか、
自分のほうがバカでかい借金を作ってしまった・・・。


そんなことよりもオセロッチは、

黒い光が、オセロッチの未来を貫いて、
一瞬間にオセロッチの前に横たわる全生涯をものすごく照らしたのを感じていた・・・。


(つづく)




☆白黒★オセロッチ! 次回 第34話『オセロッチがオセロを失う日!?目を覚ますんだオセロッチ!!』
2021年12月15日更新!


☆白黒★オセロッチ! 第1話はコチラから



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