耕作放棄地を引き継ぎ、町の農地を守っていく。「おてつたびは希望する日程でお手伝いに来ていただけるので、とてもありがたいです」【おてつたび/受入先インタビューvol.21】(長野県松川町・マルカメ果樹園)
南アルプスを望む長野県・松川町(まつかわまち)は、標高が高く、日照時間が長いため果樹の栽培に適した土地です。りんごや桃が名産で「信州・くだものの里」として知られています。
松川町で80年以上続いているマルカメ果樹園。果物狩りやBBQイベントも開催しており、『みんなが集い、非日常を味わえる場所』として農園を開放しています。
今回は、マルカメ果樹園の4代目、北沢毅(きたざわ つよし)さんにおてつたびを利用した感想をお聞きしました!
マルカメ果樹園はどんな農園ですか?
長野県松川町で、りんご、梨、プルーンといった果樹を栽培しています。当果樹園では市場出荷をほとんど行わず、生産量の90%以上を直接お客様にお届けしています。
いちばん美味しいものを食べていただきたいので、収穫時期には毎日畑に出て、その日樹上で完熟した果物だけを収穫して発送しています。
また、果物の栽培だけでなく自社での農産物加工、シードルの醸造、BBQ事業も手掛けています。
果物狩りでは、もぎたての果物を最高に美味しいと感じられる環境で味わっていただくことにこだわっています!どうやったらお客様の満足度をあげられるか試行錯誤しているところです。
北沢さんのご経歴を教えてください
小さな頃から農園は身近な存在でした。両親や祖父母たちがすごく楽しそうに働いていたので、将来的には家業を継ごうと思っていました。
大学を卒業した後は、まず証券会社に入社しました。家業を事業として成り立たせていくためのノウハウや考え方を、多くの経営者から吸収したいと思ったからです。
新規開拓の営業を経験したうえで2018年に就農。現在、農家6年目です!
SNSでは「リンゴ野郎」として発信に力を入れています。りんごはメジャーな果物なのに、旬はいつなのか、どうやって育つのかなど、知らない方もたくさんいらっしゃると思います。
りんごが持つ本当の魅力を知ってほしいと思いながら、日々活動しています。
おてつたびを利用したきっかけ
ある日、おてつたび代表の永岡さんのXを見て、サービスの存在を知りました。その後、長野県安曇野市の農家さんが「おてつたびを利用してすごく良かった」と発信しているのを見て「あ、確かにこれは良さそうだな」と思って登録したんです。
農家は繁忙期に人手不足になりやすいです。松川町にはりんご農家が約200軒あって、間引きの時期などは地域内で人の取り合いになってしまうんですよね。
おてつたびだと地域外から人が来てくれるのでいいなと思いました。
うちの場合、今までは人手が足りない時、両親の知り合いなどにお願いしていました。例えば、ぼくの学生時代の友人のお母さんとかですね。
でも、だんだんその方に加工に回っていただくようになって、収穫の方が手薄になってきたんですよね。
また、ここ2、3年で農地の面積を1.5倍くらいに増やしたという背景もあります。
松川町では耕作放棄地が増えていて「農地を引き継いでほしい」と地域の方から声がかかったんです。
高齢化も進むなか、町としてどうやって農地を守っていくか議論されているところなんですよね。
引き受けた新しい農地には苗木を植えているので、そこが育つと新たに収穫作業が発生します。
これから収穫量が増えていくうえで、未経験の方が現場に入ったとしても、業務をスムーズに回せるようにしたいと思いました。
初めての方はどの作業に引っかかるのか?どんな指示だとちゃんと伝わるのか?業務を棚卸し、体制を整えたいという気持ちも強かったです。
どんなお手伝いをしてもらっていますか?
4月中旬から5月にかけては、りんごや梨の花摘みや幼果の間引きをお願いしています。ハシゴで登り下りをしながら、一日6時間ほど作業していただいています。
りんごや梨は、咲いた花のうち95%以上を人の手で間引く必要があります。
間引きの作業は早ければ早いほど良く、秋の収穫時の品質を決める重要な作業を一緒に行っていただいています。
また、秋頃には果物狩りのサポートや、BBQイベントの設営準備をお願いしたこともあります。
おてつたびを利用してみての感想
おてつたびは、こちらが希望する日程で確実にお手伝いに来ていただけるので、本当にありがたいですね。
例えば1日単位のアルバイトですと、人によって作業の習熟度が異なってくるため、仕事の組み方を個々に変える必要が出てきます。
おてつたびでは数週間の単位で来ていただけるので、最初にやり方を説明した後は「今日はこのエリアをお願いします」とお任せできるようになります。業務がとても組みやすいんですよね。
いろいろな人材サービスがありますが、うちではおてつたびがめちゃくちゃフィットしていると感じています。
おてつたびの魅力はどんなところですか?
まず、複数の応募者の中から、採用する方をこちらで選べるのがいいですよね。ミスマッチを減らせると感じています。
みなさんの応募動機を読んだうえで、主体的に取り組んでいただけそうな方を採用しています。これまで本当に素晴らしい方々に来ていただいて、とても助かりました。
また、おてつたびで出会った方とは関係が長く続くのも魅力だなと思います。
以前、キッチンカーを運営されている女性が『おてつたび』に参加してくださり、その後、ご自身のキッチンカーで当園(マルカメ果樹園)のジュースを仕入れて販売してくださったんです。その方は、おてつたび後のりんごの摘花イベントにも、わざわざ足を運んでくれました。
おてつたび期間中は、休憩などで一緒にお茶を飲みながらおしゃべりする時間があります。そういったコミュニケーションを通して関係が深まるのを感じますし、外部からの意見をいただけることもあって、すごくいいなと思います。
最後に一言お願いします!
ぼくらが何より嬉しいのは、おてつたびを通してみなさんに生産現場を知ってもらえるということ。
生産過程に関わってもらうと「こんなに手間がかかっているんですね」「りんごの価格、安すぎません?!」と言ってくれるんですよね。
現場を知ってもらうことで、りんごが手元に届いた時の価値って絶対上がるよなって思っていて。
これからも現場から一次情報をお届けし、りんごの美味しさや魅力を、最大限に伝えていきたいと思っています。
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【取材:園田 稚彩 執筆:やまくぼ】