【チャートで簡単創作】王道ラブコメの作り方【③︰自覚編】
こんにちは、渡柏きなこです!
今回はラブコメ展開の作り方、いよいよ最終・第3回です。前回、前々回と、下のチャートに沿ってラブコメストーリーを作る実演と解説を行なって来ました。
さて、それぞれどんな内容だったかをざっと振り返ると……
こんな感じでしたね。前記事ではこれを『涼宮ハルヒの憂鬱』や『僕の心のヤバいやつ』などを大変な好例として取り上げつつ、作例としてオリジナルのお話も作りました。よかったらぜひそちらもご参考にどうぞ🙇♂️
さて、ではいよいよ本日はその続き。チャートのPart.3の部分について詳細を解説していきます。今回のお題は『自覚』です。
Part.1〜Part.2である程度仲が深まった二人。しかし彼らの関係性は友情? 愛情? まだまだどっちとも言えない感じ。それでは彼らはどうなったら恋愛関係に発展するでしょうか? というお話です。
大切なのは、他者から指摘され、考えること。そして「もしかして俺はあいつが好きなのか!?」となった主人公の行動が変化することです。以下、詳しく見ていきましょう。
はい、こんなところでしょうか? この部分はラブコメの真骨頂といいますか、一番面白い部分ですよね。世の中の多くのラブコメ漫画はこのパートに【遅延】を使うことで長期の連載を継続させているように思います。
例えばカップリングの教科書『WORKING!』では『好き』の気持ちを自覚した後の『3−3:行動の変化とギクシャク』に遅延を使って、いつも通り振る舞おうとしているのに相手が好きすぎて可愛くていつも通りにできない、というシーンがめちゃめちゃ入ります。
『とらドラ!』では『3−2:特別という認識』の完了までにかなりの遅延を入れ、お互いがお互いのことが好きである、と自覚させるまでの描写をメインで楽しむ構成になっています。
ラブコメディはキャラクターがくっつくまでが花。なのでいかに『易々とくっつけさせないか』が鍵になります。だから主人公が告白しそうになったタイミングでライバルキャラが出現したり、ちょっとした言葉のあやで喧嘩したり、親の介入が起きたりするのです。『ラブコメにおける遅延』についてはまた後日!
ともかく今回はこのチャートを使って、前回まで展開してきた実例・仮面ライダー555好きの青年とお金持ちお嬢様のお話の続きを実作してみましょう。いったいどうなることでしょうか?
はい、ここまでが『周囲からの指摘』のパートですね。Part.1の主人公がクラスメイトと話すシーンと読み味が似てしまう気がしたので、お嬢様側の視点に変えてみました。
このシーンがあることによって、客観的には主人公とヒロインが仲良しさんに見えるということがわかります。趣味が合っていて仲良くお話ができるわけですから、読者的にみても二人が仲良くなってきているのはわかりますからね。クラスメイトたちは読者の代弁者でもあるわけです。
さて、指摘を受けたヒロインのお嬢様。主人公とはそういうのではなく、と言っていますが、実際のところはどうなのでしょうか。さっそく次のパートで自問自答してもらいましょう。
はい、ここまでが『特別という認識』のパートです。周囲から指摘されたことをキッカケにあらためて考えてみたところ、どうやら自分は相手のことが好きらしい、とここで自覚を持つことになります。相手の『咄嗟の救助』のパートや『仲良しの儀式』がここで役に立っていて、好きだなあという気持ちの説得力を増しています。
ここで遅延を入れて延々話を続けてもいいのですが(その場合、お嬢様が段々「ああ自分は主人公のことが好きなのだ」と自覚させられていくお話になります。ヒロインの赤面が描きたいならオススメです)今回はすんなり続きのパートへと入っていきましょう。次は自覚が芽生えたことによる行動の変化を描きます。
はい、ここまでが『行動の変化とギクシャク』のパートです。いままで気にしていなかった相手が、気になるようになってしまったお陰でいつも通り話せなくなる、挙動が落ち着かなくなる、という部分を生かしてコメディを成立させましょう。
ここまでくればもうこの二人は安泰です。両片思いが成立しているので、あとは適宜イベントを起こしさえすれば色々な恋愛模様を見せてくれることでしょう。相手を喜ばせたい……でも気持ちが伝わってしまったら変に思われるかもしれなくて怖い……そんな付かず離れずな距離感をそのまま書いて行けばラブコメになります。
3−3に『咄嗟の救助』っぽい文脈があったように、これ以降のシーンはここまで描いて来たパートを別の形で起こしたり、流用したりすることによって延々描くことができるはずです。学園ものなら学園ならではのイベントで、ファンタジーならファンタジー、バトルならバトルの、それぞれ『らしい』イベントを二人の間に起こすことで独自のラブコメディを描いていってください……!
さて、三週間に渡って解説してきた創作初心者向けのラブコメストーリーの作り方、いかがでしたでしょうか? 今回ご紹介したのは、私が二十万字ほど作品を書いて来て思った、『王道のラブコメ展開』によく見るシーンをまとめて言語化したものです。なので絶対のものではなく、あくまで初心者の方向けに『こう考えると作りやすいよ』というのを解説しているにすぎません。
チャートが頭に入ってくると、このシーンは飛ばそうとか、このシーンは尺をとってたっぷりやろうとか、順番を変えてみようとか、色々にアレンジして独自の物語が紡げるようになってくるはずです。たくさんチャレンジして、あなただけのラブコメディを作ってみてください。
それでは、また来週の記事でお会いしましょう! あなたの創作がうまくいくことをいつも願っております! 渡柏きなこでした✨
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?