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求める人物像の罠

20年来の友人である弁護士の武内先生のnoteで紹介されました。

大学卒業から年に1~2回程度会って、あーだこーだ酔っ払いながら語り合っていた「法律事務所アルシエンの武内先生」のnoteでご紹介いただきました。

先輩後輩の間柄ということもあり、偉そうに勝手な意見を述べてお恥ずかしい限りです・・・。

この時の会話自体はよく覚えています。四谷にある、これまた旧友が経営している居酒屋での一コマでした。

当時、アルシエンでは採用活動を行っていて、なかなか「良い人」が来ないという悩みを持っていました。

当時のホームページを見ると、確か、

・前向きに頑張れる

・自己研鑽できる

といった(ごめんなさい。正確には覚えてないです・・・)文言が並んでいたと記憶しています。

つまり、一方的に「事務所起点で欲しい人」の条件を羅列していた状態でした。

そしてこうも仰っていたと思います。

「ホームページに求める人物像を書いてるんですけど、よく読んでないのか、それに当てはまる方、ようはこちらが欲しいと思う方からの応募がないんです・・・」と。

そこで私はこう問いかけました。

「欲しい人に来てもらうための情報発信はしているの?つまり、その欲しい人がアルシエンで働くベネフィットって、明確にしてる?」と。

答えはNOでした。

欲しい人が来ない罠

つまり、これは一般企業でもあるあるなのですが、一方的にこちらから欲しい人物像を羅列しながらも、その欲しい人が「入りたい」と思える情報がなかったのです。

アルシエンは大手弁護士事務所ではありません。3人の専門分野を持つ若い弁護士たちが寄り添い合い、彼ら自身の「大儀(弁護士として成し遂げたいこと)」を大事にすることを是とした事務所でした。

一般的な弁護士事務所は「先生」と呼ばれる大先生に連なり、弟子的な弁護士たちがそこから学び、やがて独立して自分の事務所を設立する、というのが私の持っているイメージでした。

そこからすると、成り立ち、考え方、経営方針などなど。アルシエンには特徴的なことが沢山ある。その考えや活動方針に共感した弁護士さんが集まることが、アルシエンらしい採用だと考えたのです。

それはホームページで羅列されている一般的な「求める人物像」とは異なります。逆に足かせにもなると考え、武内先生にお伝えいたしました。

「アルシエンの考え方に共感して入所してくれた人みんなが輝ける事務所を目指す方針に変えました。」というのは素晴らしい決断だと思います。一方で、これはそもそも武内先生をはじめとするアルシエンの先生方が共通して持っている「不文律」を「言語化」したに過ぎません。

求める人物像を明らかにすることはとても大事です。ただ、罠として「すぐに成果が出せる人」「一般的に優秀とされるイメージ」になってしまうことがあります。

今、流行りのジョブディスクリプションも、細かく規定すればするほど良いと一般的に言われていますが、細かく書けば書くほど「そんな人はいない」という悪循環に陥ります。特にこの変化の激しい時代に「スキル」や「できること」にフォーカスすると陥りやすい罠です。

では、求める人物像はどのようにして明らかにするか

求める人物像を描くときは、自社がどんな会社なのか。なにを大事にしているのか。どんな価値観を持っているのか。まずはそこから明らかにし、且つ、オープンにすることが一番大切だと思います。

「価値観」に共感していただくというのは、どんな会社・組織でも最上位にくるべき事項だと思います。

その上で、どんな人が欲しいかを第三者的視点を交えて、明らかにしていく。これは自己分析よりも他己分析の方が客観視点もあるので、正しいことが多いからです。

中小企業(一般的に「入りたい!」と思われにくい)にとって一番良いのは、アルシエンのように求める人物像を書かずに「ここで働いてみたい!」という方を集めることだと思います。

その為にはまさに武内先生がnoteで行っているように、外に向けて広く「ウチはこんな場所です」と発信していくことは、とても大事なことだと思います。

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