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【フエ王宮と世界遺産の地】ベトナム中部「北中部地方」の省・市まとめ

ベトナムには全国で63の行政区があり、そのうち中部には17の省と2つの中央直轄市(フエ市とダナン市)がある。

本記事では、ベトナム中部の行政区を「旅行者向け」と「出張者向け」の両方の視点から解説

観光スポットやグルメ、ローカル体験はもちろん、ビジネス環境やアクセスの利便性まで徹底網羅。ベトナムへの旅行や出張を計画している人は、ぜひ参考に。



ベトナム中部とは?

ベトナム中部は、2つの中央直轄市(フエ市・ダナン市)と17の省からなる地域で、北中部・南中部・中部高原に分かれる。

観光業が盛んで、フエの歴史遺産、ホイアンの古い町並み、ダナンやニャチャンのビーチリゾート、高原地帯のダラットが有名。

農業・水産業のほか、工業・物流の発展も進み、ベトナム経済の重要拠点となっている。

北中部地方とは?

北中部地方は、ベトナム中部の北側に位置する5の省と1つの中央直轄市(フエ市)で構成され、農業・漁業・観光が主要産業の地域である。

■特徴

  • 地理的特徴:東側は南シナ海(東海)に面し、西側はラオスと国境を接する細長い地域。

  • 経済基盤:農業・漁業が中心だが、近年は工業団地の開発も進む。

  • 観光地:フエ(フエ王宮)、フォンニャ=ケバン洞窟など、歴史・自然遺産が多い。

  • 交通インフラ:国道1号線、南北鉄道、ヴィン国際空港などが整備され、南北の要衝。

  • 気候:台風や洪水の影響を受けやすい地域。

■構成する省・市

  1. フエ市(Huế)※中央直轄市

  2. タインホア省(Thanh Hóa)

  3. ゲアン省(Nghệ An)

  4. ハティン省(Hà Tĩnh)

  5. クアンビン省(Quảng Bình)

  6. クアンチ省(Quảng Trị)

フエを中心とする歴史的・文化的な価値と、発展途上の経済が共存する地域である。では、それぞれの都市について紹介する。


1. フエ市(Huế)※中央直轄市

グエン朝王宮(フエ王宮)

■フエ市とは?

フエ市は、2024年まではトゥアティエン=フエ省であったが、2025年1月1日から省全域は中央直轄市のフエ市に改編された。同市には世界遺産に登録されている廟・寺院・王宮等多くの文化的構造物が存在し、壮大な景観の順化皇城や堀及び石垣などがある。

■旅行者向け

  • 観光スポット:グエン朝王宮(フエ王宮)、カイディン帝廟(Lăng Khải Định)、ミンマン帝廟(Hiếu Lăng - lăng mộ Minh Mạng Đế)、トゥドゥック帝廟(Lăng Tự Đức)、ティエンムー寺(Chùa Thiên Mụ)

  • グルメ:ブン・ボー・フエ(フエを代表する米麺料理)、バイン・コアイ(ベトナム版お好み焼き)、ネムルイ(レモングラスの茎に豚肉のつくねが巻かれた料理)、コム・ヘン(シジミまぜごはん)

  • ローカル体験:ドラゴンボートでフォーン川クルーズ、伝統的な宮廷音楽鑑賞

■出張者向け

  • ビジネス環境:観光業が主要産業、ハイテク産業の誘致も進行中

  • アクセス:フバイ国際空港あり、ダナンから車で約2時間


2. タインホア省(Thanh Hóa)

胡朝の城塞(Di tích thành Nhà Hồ)

■タインホア省とは?

タインホア省は、ベトナム中部の省(地方自治体)の一つ。省都はタインホア市。西はラオス、東はトンキン湾(北部湾)に接している。黎朝(ベトナムの王朝)の皇帝・黎利(レ・ロイ)の出身地。

■旅行者向け

  • 観光スポット:胡朝の城塞(Di tích thành Nhà Hồ)、サムソンビーチ(Bãi biển Sầm Sơn)、ベンエン国立公園(Vườn quốc gia Bến En)、ロンクアン洞窟(Động Long Quang)

  • グルメ:ネムチャウ(発酵豚肉ソーセージ)、バインイット(米粉団子)

  • ローカル体験:漁村でのシーフード体験、歴史遺産巡り

■出張者向け

  • ビジネス環境:観光業が強み、エネルギー産業、製造、ハイテク農業、物流などの分野で北中部の主要な中心地になることを目指す、日系大手セメント企業や日系縫製工場も進出している

  • アクセス:ハノイから車で約3時間


3. ゲアン省(Nghệ An)

キムリエン博物館(Khu Di tích Kim Liên)

■ゲアン省とは?

ゲアン省は、ベトナム中部の省(地方自治体)の一つ。省都はビン市。ベトナム独立の父ファン・ボイ・チャウ氏やホー・チ・ミン氏の出生地であるほか、詩人ホー・スアン・フオン氏も輩出している。

■旅行者向け

  • 観光スポット:ホーチミン像とホーチミン広場、キムリエン博物館(Khu Di tích Kim Liên)、プーマット国立公園(Vườn quốc gia Pù Mát)、クアロー・ビーチ(Bãi biển Cửa Lò)

  • グルメ:ウナギのおかゆ(Cháo lươn)、ゲアン省ディエンチャウ名物の米粉蒸しクレープ(Bánh mướt Diễn Châu)、タインチュオンの鶏肉スープ(Xáo gà Thanh Chương)、ナムダン醤油(Tương Nam Đàn)

  • ローカル体験:ホーチミン氏の歴史探訪、海辺でのシーフード体験

■出張者向け

  • ビジネス環境:食品・飲料生産、採鉱、建設資材・石彫刻、手工芸品の生産が盛ん、省都のビン市は外港として、またラオス国境付近は国境貿易の要所として栄えている

  • アクセス:ビン国際空港あり、ハノイから飛行機で約1時間


4. ハティン省(Hà Tĩnh)

ケゴー自然保護区(Khu bảo tồn thiên nhiên Kẻ Gỗ)

■ハティン省とは?

ハティン省は、ベトナム中部の省(地方自治体)の一つ。省都はハティン市。西はラオス、東はバクボ湾に接する。ラオスとの国境地帯は豊かな自然の残る山岳地帯であり、ベトナム戦争終了後に新種の動植物が多数発見されている。

■旅行者向け

  • 観光スポット:ケゴー自然保護区(Khu bảo tồn thiên nhiên Kẻ Gỗ)、ケゴー湖(Hồ Kẻ Gỗ)、ティエンカムビーチ(Bãi biển Thiên Cầm)、ブークアン国立公園(Vườn quốc gia Vũ Quang)、フオン寺(Chùa Hương Tích)

  • グルメ:サバのサラダ(Gỏi Cá Đục)、ドーチャイの牛肉米麺スープ(Bún bò Đò Trai)、活イカ(Mực nhảy)、シジミと揚げゴマせんべい(Hến xúc bánh đa Đức Thọ)、揚げ春巻きと米粉蒸しクレープ(Ram bánh mướt)

  • ローカル体験:伝統的な漁村訪問、仏教寺院巡り

■出張者向け

  • ビジネス環境:太陽光発電や風力発電のプロジェクトが盛ん、自然を生かした観光業も主力

  • アクセス:ハノイから車で約6時間


5. クアンビン省(Quảng Bình)

フォンニャケバン国立公園:天国の洞窟(Động Thiên Đường Paradise Cave)

■クアンビン省とは?

クアンナム省は、ベトナム中部の省(地方自治体)の一つ。省都はドンホイ市。ラオス国境とバクボ(北部)湾に挟まれてベトナム南北を回廊のように繋ぐ場所にある。1976年のベトナム統一までは、ベトナム民主共和国(北ベトナム)の統治区域の中で最南端の省だった。

■旅行者向け

  • フォンニャケバン国立公園(世界遺産)、天国の洞窟(Động Thiên Đường Paradise Cave)、ダークケイブ(Hang Tối)、ティエンソン洞窟(Tien Son Cave)、フォンニャ洞窟(Động Phong Nha)、ソンドン洞窟(Hang Sơn Đoòng)、タムトア教会(Nhà thờ Tam Tòa)

  • グルメ:干しサツマイモ(Khoai deo)、チャオカイン(小麦粉の太麺を使ったスープ麺)、クアンホアのバインセオ(薄くパリパリの生地、ライスペーパーに包んで食べる)

  • ローカル体験:カヤックで洞窟探検、トレッキングツアー

■出張者向け

  • ビジネス環境:観光業と農業が中心、鉱物資源に恵まれている

  • アクセス:ドンホイ空港あり、ハノイ・ホーチミンから飛行機でアクセス可能


6. クアンチ省(Quảng Trị)

クアンチ古城(Di tích Lịch sử Thành cổ Quảng Trị)

■クアンチ省とは?

クアンチ省は、ベトナム中部の省(地方自治体)の一つ。省都はドンハー市。1954年のジュネーヴ協定で省内を流れるベンハイ川が軍事境界線に定められたため、ベトナムが分断国家であった時代は省内も境界線で二分されていたが、ベトナム統一と共に境界線は消失した。

■旅行者向け

  • 観光スポット:クアンチ古城(Di tích Lịch sử Thành cổ Quảng Trị)、ヴィンモクの地下道(Địa đạo Vịnh Mốc)、チュオンソン戦没者墓地(Nghĩa trang liệt sĩ Trường Sơn)

  • グルメ:チャオ・カー・ヴァットジュオン(クアンチ省の郷土料理で、魚を使ったお粥)

  • ローカル体験:歴史ツアー(ベトナム戦争遺跡)、地元市場巡り

■出張者向け

  • ビジネス環境:観光業が中心、建築材料の製造・林産業の開発と加工が盛ん、経済特区開発が進行中

  • アクセス:フエまたはドンホイ空港経由でアクセス可能


まとめ

北中部地方は、歴史的・文化的な遺産と豊かな自然環境を有する一方で、経済発展のポテンシャルも秘めた地域である。

フエ市を中心に観光業が発展し、タインホアやゲアンなどの省では工業や貿易の拠点としての成長が期待される。

クアンビンやクアンチでは自然遺産や戦争遺跡が観光資源として活用されており、それぞれの地域が独自の魅力を持っている。

近年ではインフラ整備や工業団地の開発が進み、国内外の企業の進出も増えている。観光業・農業・製造業のバランスを取りながら、さらなる発展が見込まれる地域といえるだろう。

ビジネスや観光の観点からも、今後の北中部地方の動向に注目していきたい。


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