起業はツラいよ日記 #26
まだ最新刊を営業している最中ではありますが、次号についても徐々に取り組みはじめています。次号の特集は「食べる」です。
書店で偶然見つけて購入した本があります。『7袋のポテトチップス 食べるを語る、胃袋の戦後誌』(湯澤規子、晶文社)です。
まだ読みはじめたばかりなので序章しか読めていないのですが、多くの人の食の遍歴や思い出が語られています。食というのは自身に染みついた記憶をありありと想起させるんですよね。
わたしも思い出しました。それはわたしが小学生の頃です。時代でいえば1990年代半ば。わたしは父親が会社員、母親が看護師の家庭に生まれました。祖父母が同居していたので6人家族です。父も母も朝は出勤の準備で忙しく、わたしたち兄妹はよくククレカレーを食べていました。イチローが朝はカレーだなんて騒がれていましたが、わたしも朝からカレーを食べていたんです。ご存知のようにレトルトカレーは、ご飯さえ炊いておけば湯煎して簡単に食べられる忙しい時には重宝される商品でしたよね。美味しいとか、カレーが好きだとか、そういうんじゃなく、そういうものだと思って食べていました。
また、両親が仕事から帰ってくるのも19時を過ぎた頃だったので(今思えば急いで帰ってきてくれたのだと思います)、祖父母と同居していたのでご飯と簡単な付け合わせは祖母が用意してくれていましたが、晩御飯はスーパーで買ったお惣菜がメインになることがしばしばでした。帰ってから晩御飯の支度をしていたら遅くなってしまうので、そうするしかありません。子どもの舌なので、それに何ら不満はなかったわけです。むしろ、唐揚げやコロッケなどを喜んで食べていたように思います。これも成長してから分かることですが、母親と祖母の関係を思い出せば、母親はスーパーで買ったお惣菜になど手を出したくなかったはず。しかし、働いている女性はそうせざるを得ない状況でした。
当時はそんなこと考えもしませんから、家庭の状況に疑問を持ち始めたのは大学生になった頃です。わたしは横浜市で一人暮らしをしていたのですが、当時の友人や恋人からの話を聞くに何やら家庭の味というのがあるというではないですか。今思えばそれはテレビの影響だろと思うんですが「お袋のポテトサラダ」とかそんなものだったと記憶しています。しかし、当時はそれがとても羨ましかった。別にどんなメニューであっても良かった。きっと専業主婦の母親がいて、晩御飯の準備にしっかり時間を掛けてくれていた家庭なのでしょう。たまには凝ったメニューも提供されていたようでした。よくよく考えてみれば、わたしが通った私立大学は所得階層的には高水準の家庭が多かったのでそれも今思えば納得なのです。
なんだか、わたしが育った家庭では満足な親の愛情というのを受けていなかったのではないか?そんな疑念が頭から離れなくなりました。
まぁ、こんな感じで食の原風景というのは誰にでもあるように思います。それが良い思い出か、辛い思い出かは人によるのだと思いますが。
とにかく次号は「食べる」を特集します。尻切れトンボになってしまった上記の文章も本誌にはしっかり掲載していきたいと思う次第です。もし需要があるようであれば、期待してお待ちください!
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