中山道600km自転車旅ハネムーン(DAY3 後編・溢れ出る涙)
こんにちは。アラサー女のOtamaです。
私達夫婦は2021年4月30日から5月8日にハネムーンチャレンジをしました。
自宅から目と鼻の先の「蕨宿(埼玉県)」からオットの生まれ故郷「京都」を結ぶ「中山道(約600km)」を自転車で駆け抜るというものです。
トラブルありケンカあり愛情ありの濃密な9日間。
それでは、しゅっぱ~つ!
中山道600km自転車旅ハネムーン(DAY3 前編・観光デーのはずが)の続きです。
V. 疲労でバグる脳
お腹が満たされて二人とも少し元気が出てきました。
ところがここで急な大雨。
びしょ濡れになりながらオットは最後の力を振り絞って最後の数センチのタイヤを押し入れます。
なんとか最大の難関を乗り切り、あとは本体にタイヤをはめ込み、芯を差し込んで固定するだけ♪というところで、芯が貫通しないではありませんか。
何度やっても貫通しません。
穴を覗き見ると、向こう側が見えません。
ということは、どうやら地面にあった小石や土が、作業の最中で穴の中に入り、詰まってしまったようです。
これは工具がないと小石などを取り出せなさそうだったので、諦めてサイクルショップに向かうことにします。
オットがスマートフォンで検索すると「碓氷自転車」がヒットしました。しかも現在地から1.5㎞のところにあるだと!!!
電話をかけると本日も営業していました。
作業を始める前にサイクルショップを探したのは私です。
その時にも「碓氷自転車」があるのは確認していましたが、1.5kmという距離ではなかったはず。
そんなに身近にあったのならさっさとサイクルショップに行けば良かったのです。
度重なるミスで気分がどん底な私。
オットは私に怒りはしないし責めもしませんが、心中穏やかでないことでしょう。自然と二人の会話がなくなります・・・
15分ほどして「碓氷自転車」に到着。
しかし、シャッターが閉まっていて本日営業しているようには見えません。
再び電話をかけると、
「開いていますよ。」
「店先に来てもらえると入口はすぐに分かると思います。」とのこと。
もう一度看板をよく見るとそこは・・・
碓氷自 「動」 車!!!!!!?!?
そして碓氷自「転」車はここから7㎞「戻る」方向・・・
やはり「碓氷自転車」は近くではなく隣の市に所在していたのでした。
この時17時少し前。
19:00まで営業しているということなので、急いで向かうことにします。
VI. あなたとわたし、さくらんぼ
・Guskにワクワクしながら向かう道中でのパンク
・お腹を満たして元気が出たところでの大雨
・パンクが直ったと思った途端、自転車にはまらないトラブル
・サイクルショップに着いたと思ったらまさかの自動車屋
・・・気持ちが上がっては落とされるを繰り返し、心身共に疲弊した二人。
もはや何も言葉が出てきません。
そして何より私の方は、穏やかな性格のオットも今回ばかりは怒っているだろうと気がかりで、そういう意味でも話しかけることができません。
そんな沈黙のなか、突然オットが歌い出しました。その曲とは・・・
私達はこのとき、交際を初めてちょうど2年でした。
歌詞があまりにも今の私達にピッタリなのと、この状況でこれを選曲してくれること、二人で歌って空気を変えようとしてくれるオットの優しさに胸打たれました。
私の目がうるうるしましたが、涙が流れ落ちないようにグッとこらえました。
VII. 暗闇での走行
17:30
碓氷自転車に到着。状況を説明し、穴に挟まった小石などを工具でひねり出してもらいます。念のため、オットが交換してくれたチューブも正しく入っているか確認してもらいますが、問題ないとのこと。
18:00
無事に修理が完了。
宿に電話し、到着が遅くなると伝えます。
すると、いま私達がいる小諸市から宿のある長和町までは田中駅を経由した方が楽だということを教えてもらいました。
どうやら私達が予定していたのは最短ルートで30km弱の道のりですが高低差があるとのこと。田中駅経由だと山を迂回するので43kmになりますが高低差が少なくそちらの方が良いのではないかということです。
もうすぐ日も落ちてくるので田中駅経由で向かうことにしました。
碓氷自転車を出発して間もなく、あたりが暗くなっていきます。
周囲は店などもなく車の通りも少ないので、見えるのは自分のライトが照らす範囲のみ。
しかし先を行くオットは私のライトが照らす範囲にはいません。
少し先にいるのか、それともかなり前に行っているのかもわかりません。
人影もなく、ただただ孤独な気持ちになります。
そして一応私も女なので、通りすがりの車に引きずり込まれたら・・などと想像して不安にもなります。
進めども進めどもオットに追いつけない・・・
やはり怒っているから私を置いていくのか、と悲しい気持ちにもなります。
様々なマイナスの感情が渦巻き、けれども必死にこらえます。
時折、ゼッケンをつけて歩いている人が見えたときはホッと安心しました。
定かではないですが、おそらく彼らは東京都から新潟県に横断する「川の道フットレース」の参加者だったのではないかと思います。
1時間ほど経ったころ我慢の限界が来てしまいました。
そしてオットに電話をかけます。
「どこにいるの?」
「田中駅の近くにいるよ。」
「じゃあ田中駅で待ってて。」
さらに30分ほどしてやっと追いつきオットの姿が目に入ったとき、何かがプツンと切れて涙が泉のように溢れ出てきました。
オットは困惑してアタフタ、アタフタ・・・
合流してからは、年甲斐もなく泣きながら自転車をこぎました。
今度は、オットが私の後ろで付いてきてくれます。
VIII. 心に沁みた生姜焼き
21:00
「民宿みや」に到着。
入口のすぐそばは食堂になっておりますがもう真っ暗。
その1か所だけ電気をつけて、おかみさんが待っていてくれました。
想像していたよりうんと遅い到着だったと思いますが、嫌な顔一つせず温かく迎えてくれました。
食事は部屋に向かい合う形で一皿一皿にラップをかけて2セット用意してくれていました。
この日のメニューは生姜焼き、野菜の煮つけ、野沢菜の和え物など。
心に染みる優しいお味で、なんと美味しいことか・・・
怒涛の一日を締めくくるのに最高の夕食でした。
23:00
1人ずつシャワーを浴び、布団に入ります。
やはりオットは少々いらいらがあり、頭を冷やそうとして自転車を漕ぐ足が早まってしまったそうです。
でもまさか私が泣くほどのことをしているとは思わなかった、ということできちんと謝ってくれました。
私の方も連日の不注意で大誤算続きの展開にしてしまったことを謝りました。そして明日からは地面をしっかり見て走ることを誓いました。
そんなこんなで、長い一日が終わりました。
本日の移動距離78km
(「軽井沢宿」長野県軽井沢町~「和田宿」長野県長和町)
※サイクルショップまでの逆走なども含みます。
DAY4 前編につづく・・・