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『去年の雪』〜読んだものがつながっていくこと〜

「なにか答えがあるにちがいない」「きっとなにかつながるに違いない」

そう思いながら読み進めていった小説。
なのに、その“なにか”が結局見つからなかった。

読書する時って、自分が、どこかで答えを求めていたり、結論を求めているものなんだろう。でも見つからなかった。

大好きな作家だったから、ちょっと消化不良を起こしたような気持ちになったのだった。

じつは読み終えるのに2〜3ヶ月かかったのだ。

『去年の雪』江國香織 著

1年ほど前、この小説を読み終えた。
実は随分昔からの江國香織フリークだ。若い時からずっと読んでいたので、新刊だ~といつも通り飛びついた。その結果の読了感が冒頭に書いた通り。

正直なところ、拍子抜けしたのだった。

いつもものすごい勢いで物語にのめりこませてくれるから、あららって感じだったのが本音。

でも最近、この小説のことについて江國香織さん自身が語ったインタビューを見つけて、「ハッ」となった。ああそうか。江國さんは「断片的なもの」を書きたかったのだと

そして、この間読んだ「断片的なものの社会学」を思い出した。

ふせんだらけ

ああ、そうだった。この世の中のこと、自分の目に映っているものって、全部断片なんだ。その記録って、答えがあるわけじゃないんだと改めて思い直した。

それからもう一度「去年の雪」を読み直したくなっている。
答えを求めるんじゃなくて、風景を眺めるように読めるような気がしている、今。きっとまた新しく思うことがある。

全然違うジャンルの本だったとしても、なぜか、自分の中でつながっていくことがある。そこから発見がいっぱいある。色々な感情を知る。そして、生きることももっと楽しくなる。

だから読書はやめられないんだなあと改めて思う。

『去年の雪』

ちなみにタイトルは「きょねんのゆき」じゃなくて、「こぞのゆき」って読むんです。ああ、なんてロマンティック。


ありがとうございます。