今日
12時ぴったりに起きた。何も用事のない日は何時に起きたって構わないと思ってはいるものの、あまりに寝てしまい過ぎると起きてから1日を無駄にしてしまった気がして後悔しがちなので、そんな日の前日も12時にアラームをセットしておく。どうせなら起きた瞬間からテンションが上がっている方が良い1日を送れそうだと言う理由からT.Rexの『20TH CENTURY BOY』をアラームのサウンドにセットしているわけだけど、セットして数週間は良い目覚めを出来ていた気がするが、慣れてしまったのかもうただの音でしかない。最近蝉がうるさいのも夏がこの時期にしか訪れないからなのか。仮に日常というものが蝉ありきのものだったなら、蝉の鳴き声なんてただの風の音となんら変わらないのだろう。
言ってももう12時で、今からなにか行動しようにも大したことは出来ないと思ったためお酒を飲もうと決めた。夏休みという特殊なタイミングだからか、どこか外に出て飲みたいなと思った。とりあえずコンビニまで車を走らせて500mlの缶ビールとおつまみと、あまりにもお腹が空いていたためカレーパンを買った。このままぼくのお気に入りの人気の無いあの公園に行こうかと思ったが、公園でお酒を飲んでしまっては車で帰れないじゃないかという気付きに1人でニヤニヤしながら帰宅した。外で飲みたいという固い意思を持ってコンビニまで行った以上、もう家で飲むことをぼくは許せなかった。
近所の神社にでも行って飲もうかと思い、日焼け止めを塗って家を出た。イヤホンを持ってくれば良かったと軽く後悔をしつつ、小高い山の上にある神社を目指して階段を上る。小学生の頃には全力で駆け上がれていたこの階段も、今では息を切らしながらゆっくりと登りきるのが精一杯だ。神社に着くとそこには誰もいなかった。誰もいなさそうだから選択した場所ではあったが、知らない人を横目に特に会話することもなくお酒を1人で飲むなんてシチュエーションを階段を上りながら妄想していたため、ちょっぴり寂しくもなった。
境内に腰掛け、空きっ腹に酒は良くないと聞くのでとりあえずカレーパンから食べ始めた。外だからって特別美味しく感じることもない、いつも通りの味だ。カレーパンを食べ終わって缶ビールのプルタブに指をかける。真っ赤なアニキュアを塗った爪がプルタブに引っかかり少し痛みを感じ、マニキュアの赤さが、爪が剥がれたらこうなるだろうなぁって赤さをしてるなと思った。コンビニで買ってから多少時間が経ってしまったため、ガン冷えでは無いものの、暑すぎるそこでは期待以上の美味さを感じた。カレーパンの辛味をビールの炭酸が増幅させる。辛味って味覚でなく痛覚によるものだと言うが、なら辛いものを食べたいという感情はメンヘラがリスカしたい時と同じなのかもしれない。自傷行為が癖になっているぼくは、セブンで103円の辛口カルパスを一齧り。幼い頃からカルパスが大好きだったぼくは、駄菓子屋に売っているちっこいカルパスやあらかじめ薄くスライスされたカルパスを日頃から沢山食べていた。当時はカルパスに原木のままかぶりつくことが夢だったが、まさかそんな夢の対象が103円で手に入るなんて知らなかった。母親と買い物に行った時に、本当は300円ぐらいの知育菓子を買ってもらいたいものの、高いからとグミで我慢していたあの頃はなんだったのか。辛味が炭酸で増すあの感覚が好きなぼくがメンヘラだったなら、リスカした傷口に塩を塗るかもしれない。
友達とどこかへ出かけたり、なにかイベントが起きたわけでもないただの1日。でもいざ振り返ってみると自分の中で要所要所に様々なことを感じ、考えている。特別でもなんでもない今日だったし、思い出となる今日でもなかったけど、今日のうちは楽しかったと思える今日だった。