みんなの溜まり場「食堂たんぽぽ」を守る「あっちゃん」(水門通り商店街振興組合)
お金に変えられない+αの価値観
笑顔と思いやりであふれる居酒屋たんぽぽの店主をしているのは古沢敦子さん。ここ、水門通り商店街で1998年から街のお母さん的な存在として多くの人と交流してきた。街の人から「あっちゃん」の愛称で親しまれ、街には家族同然とも言えるような人たちがたくさんいる。
1998年4月に開店し、2019年の1月にご家族が引退された。そして2019年4月より、古沢さん1人でお店をきりもりしている。
なぜ家族が引退しても家業を継ごうと思ったのかを尋ねた。「この地域に残りたかった。もともと、両親が経営するから2年の約束で手伝ったんだけど、23年いちゃったかな。居心地が段々良くなって。お給料よりもそれ以上の+αの価値観を求めてここで商売をやらせてもらっている。」と語っていた。また、お客さん一人一人に合わせてメニューを考えられるのは個人店の魅力だと話してくれた。例えば、お客さんが玉ねぎを残していったら、次から玉ねぎを入れないようにするなど、その人に合わせて料理を出しているという。時にはトマトが苦手な人にあえてトマトを出すこともあるそうだ。そのため、お店に来る人は常連さんが多いという。日々そのようなお客さんとの関わり合いができるのがとても楽しいと話してくれた。
みんなも笑顔に。
それだけ人とのつながりが大好きな古沢さん。休日にはイベントを開き、100人以上の人が集まるそう。夏には流しそうめんをやったり、会館でちゃんこを作ってみんなにふるまったりなど、みんなで楽しめて笑顔になれるイベントをたくさん開いている。
そんな古沢さんの結婚パーティーは会費5,000円でマグロの解体ショー付きだったという。「結婚指輪の代わりにマグロにしたの」と満面の笑みで話してくれた。髪の毛は近所の美容室でセットしてもらい、お酒は近所の酒屋さんからお酒を持ってきてもらい、飲み放題で振る舞ったという。なぜマグロの解体ショーにしたのか尋ねたところ、「みんなの思い出に、私の指に輝くものなんて要らないから。おもてなしはできないけど、楽しんでもらえたら。結婚式は自分のためだから。人のためなんて思わずに。」とおっしゃっていた。古沢さんは、自分のやりたいマグロの解体ショーというものを通じて、みんなを楽しませようと、来てくれた人のことを一番に考えていることが伝わってきた。そんなパーティーには1部2部合わせて500人の人が集まったという。しかし、それでも呼べなかった人がいたそうだ(笑) 形式的なものではなく、きちんと古沢さんの思いが感じられる結婚式だったのだと話を聞きながら思った。
人生はカレーライス
古沢さんからの話の中でとても印象に残った言葉がある。それは「人生はカレーライス」という言葉だ。「カレーライスの素材一つ一つは苦かったり辛かったりするけど、最後には美味しくなればいい。」と。
地域の人達と多く交流し頼られる存在だからこそ、相談をたくさん受ける古沢さん。
「学校で悩んだことも今ではそんなこともあったねぇ。って最後に笑えるようになれれば良いと思う。」と語ってくれた。きっと学生の相談にも親身になって聞いているのだと思う。
古沢さんは人と繋がり、地域の人と関わっていく楽しさを感じて生活するのに生きがいを感じ、近くにいるからこそ分かり合えるところを大切にしている。そのような日々が古沢さんにとってお金に変えられない+αの価値観になり、この地域に残る理由になっている。
『たんぽぽ(居酒屋/食堂)』
大田区東六郷2-13-6
03-3730-7080
17:00〜23:00(L.O.22:00)
土曜・日曜定休
愛顧頂き 23 年。地元の皆様と繋がって居たくて、父が 21 年営んだ『食堂たんぽぽ』を引き継ぎ、2019 年『居酒屋たんぽぽ』としてリニューアルオープンしました。
普通のお料理と普通のお酒をご用意しています。
『お家』に帰って来た気分になって頂き、お寛ぎ頂けたら幸いです。