デプスインタビュー体験記録 〜実施編〜
UXUIデザイナーの asakoです◎
すごくすごく間が空いてしまった記憶の記録で恐縮ですが、UX調査備忘録の実施編(後編)です。
※準備編(前編)詳細はこちら
(復習)調査の概要
当時開発・運用していたIoT的なAppについて、実際のユーザーの声・あるべき姿像を探るために以下形式の調査をトータル1ヶ月間で実施しました。
01. 定量調査(ネット回答調査)
02. 定性調査(日記調査)
03. depth interview
6.それぞれの調査内容・目的
01. 定量調査(ネット回答調査)
内容:
現行Appに対する調査ではなく、類似商品群に対する興味関心・ライフスタイル・競合含むブランドイメージ調査を中心に行いました。
目的:
・市場サイドが当ブランドに対してもっているイメージの認識・評価
・現行アプリ/サービスの価値の市場浸透率の認識
02. 定性調査(日記調査)
内容:
はじめてAppをインストールするところから体験してもらい、どこでつまづいたか、どの機能が楽しく感じたかなど、ユーザビリティー・UXの調査を中心に行いました。
目的:
・現行アプリのユーザビリティー調査(使い勝手改善点の抽出)
・次のインタビュイーのスクリーニング
03. depth interview
内容:
日記調査でのコメントの深堀りや、実際にApp操作をしている様子を観察し改めてユーザビリティーを確認しました。また、次期Appのあるべき像の仮説コンセプトとプロトタイプを見せ、率直な意見をもらいました。
目的:
・現行アプリのユーザビリティー調査(使い勝手改善点の抽出)
・サブラインAppの企画に乗せた先行テーマに対する評価
7.設問をつくるポイント
設問を作るポイントは、「目的」です。
その設問は何を明らかにするために聞くのかを明確にすることが大事です。
そのためにも、まず上記6の各調査の目的を明記します。明記することで、そこからブレない指針を作ります。
設問表を作る際、「目的」の欄も作成してください。
そうすることで、まず考え得る設問の候補をブレスト的に出していった中で、設問を絞る指標にもなります。
その上で、「その設問は本当に必要か?」「目的の答えを導くためにその聞き方が適当か?」を見直すことができます。メンバーからのレビューももらいやすいです。
インタビューの設問表は、回答の想定時間と、累計想定時間の欄を作っておくと、時間配分の目安になります。会話になると思い通り進まないことも多いので、絶対漏れてはいけない設問の目印も大事だなあとつくづく感じました。
8.結果分析
01. 定量調査(ネット回答調査)
調査会社が集計してくれた各設問の数字を、グラフ化していきました。
集計する数字には、複数設問の組み合わせもいくつか作りました。これはやりすぎると沼に陥るので、ある程度の仮説を持って検証のために確認したいものだけに絞ることがおすすめです。
例:
Q1.スポーツは好きですか?(好き/まあまあ好き/あまり好きでない/嫌い)
の回答と、
Q2.好きなスポーツを1つ選んでください(ランニング/バスケ/サッカー/野球/水泳)
の回答を組み合わせ、関連傾向を見るために使います
グラフの選び方は、「何を見せたいか」によって異なるので、下記リンクなどを参考にしてみてください。
また、何を母数としたのかをわかりやすく明記することも大事です。
先ほどあげた「複数設問の組み合わせ」の場合は、母数がパネラー全員でなくなることがあります。定量調査の資料は一人歩きしがちなので、誤解の生まれない書き方には十分注意が必要だと感じました。
例:
Q1で「好き」と答えた人が全体の60%で、その内Q2で「サッカー」と答えた人が40%の場合、全体母数で見ると、24%になります。
02. 定性調査(日記調査)
この調査は目的がスクリーニングということもあり、インタビュイーとして尖った意見や深堀れそうなコメントを主にマークしていきました。また、調査前に持っていた仮説に対し、正誤に関わるコメントについても注意深く見ました。
最終的には、インタビュイーとしてバランスが取れるよう、その人のパーソナリティー(年齢・性別・職業など)を見てスクリーニングしました。
03. depth interview
モデレーションを自分たちで実施し、記録・文字起こしと、各設問ごとの回答に整理した資料を調査会社さんの方で出してもらいました。
それを元に、社内報告のキーワードとなるものを抽出し、この調査を元に「訴えたいこと」が伝わるような流れで報告資料を形成していきました。
インタビュー中は、ルームの外にいる事業部や協力会社さんメンバーも各々設問シートに印象的だと感じた答えを書き留めていました。
9.調査をして感じたこと
・仮説と目的と大目的
実施する調査は何(=仮説)を明らかにしたいのか(=目的)、明らかにした事実を持って何に使いたいのか(=大目的)を常にもっておくことが大事だなーと痛感しました。特に前述のとおり、調査で出てくるユーザー個々人の情報は追えば追うほど沼…。目的がないと果てしないことになります涙
また、まとめ資料については、調査の結果全てを提示しなくても訴えたいことが伝わる見せ方という点については、インタラクションデザインの範囲だと思いました。(嘘や、事実隠蔽はもちろんダメ)
・首都圏の調査パネラーの危険性…?
完全に個人主観ですが、パネラーが調査慣れしている感覚がありました。地方出身の身としては、首都圏生活者と地方生活者の視点にはギャップがあるように感じ、一都三県に絞った調査を全て鵜呑みにしてはいけない気がしました。本当にリアリティあるユーザーの声かな?ってところに疑問を感じました。同じ調査を地方でもやってみたかったな…と思います。
・UX調査ってどれくらい実施されているの?ノウハウってオープン?
社内の調査専門部隊・調査会社さんと一緒に進めたのですが、定性調査・インタビュー調査は、既存の型にハマったやり方とは違うUX調査としてのノウハウがもっとあるのかも…と調査の入り口が見えて気がしました。とはいえ、実際「UX調査」にお金をかけるタイミングと規模はなかなか取ることが出来ないのが実情としてありそうなので、何かの機会に調査に参加できることは貴重なのかも。勉強会でも調査のやり方テーマってあんまり見ないなあと思ったので、ひとまずこの備忘録を記録しておくことに至りました。
以上、長々となりましたが、一年ほど前の備忘録でした◎
各種SNSやGoogleなどでも簡単にアンケートフォームが作れるので、簡単な調査とかどんどんやってみたいですね!◎
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