見出し画像

ドーナツの穴は色眼鏡|問いのデザイン

今回読んでいる本はこちら▼

本書の2章に、私の好きな本が引用されていた。
『ドーナツを穴だけ残して食べる方法:超越する学問ー穴からのぞく大学講義』である。大阪大学のさまざまな専門分野を持つ研究者が、同じ問い「ドーナツを穴だけ残して食べるにはどうすればいいか?」に、その分野の視点から挑むもので、以前新聞の書評欄で見つけて買っていた。

そのお題のばかばかしさからは想像できない、内容の面白さに惹かれ、事あるごとにいろんな人に紹介してきた本だった。特に、数学の研究者の「4次元空間なら可能」という解答は、文系の私でもわかりやすく、とても印象に残っている。

本書では、問題を捉えるための心構え(マインドセット)を作るのに必要な思考法の一つ、「道具思考」の具体例として紹介されている。

本書(『ドーナツの中だけ残して食べる方法』)から学べることは、同じ問題であっても、どのような専門性を通して眺めるのかによって、問題の解釈の仕方は変わってくるということです。心理学者のレフ・ヴィゴツキーは、人間は、道具(言語、方略、文字、図解、記号)を媒介して対象に働きかけることを、モデル化しました。(中略)
ヴィゴツキーは、主体が対象を対象として捉える心理的操作の背景には、何らかの道具としての人工物が媒介されていることを指摘したのです。
(pp70-71)

道具が、それを持つ人の世界の見え方に影響を与える、とする説は、これもまた私の好きな映画『メッセージ』の題材にもなっている「言語的相対論(サピア=ウォーフ仮説)」にも通じるところがある気がする。

普段、世界はひとつで、客観的に唯一の現実世界があるように振る舞ってはいるが、結局、自分の持つ道具を通してしか、世界を認識できないのかもしれない。

だからこそ、本を読み、学び、道具を持ち替える努力をしている。

今日読んだのはこちらの2章あたり▼



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?